コーヒーがもっと楽しくなる! 自宅でドリップ、始めてみませんか?

いつでもおいしいコーヒーを飲みたいなら、お店だけに頼らず、自分でも淹れられるようにしたいもの。All About『カフェ』ガイドの川口さんも、自宅では自らコーヒーを淹れて楽しんでいるのだとか。そんな川口さんに、昨今のカフェ事情や自分で淹れる楽しさ、必要な抽出器具などを教えてもらいました。

提供:キーコーヒー株式会社

お話をうかがった方

川口 葉子

All About『カフェ』ガイド:川口 葉子

ライター、喫茶写真家。雑誌、Webなどでカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆などを行っている。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。『東京カフェ散歩 観光と日常』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』(実業之日本社)など、著書多数。

主流の淹れ方は? トレンドは? 知っておきたいカフェ事情

コーヒーの味わいは、抽出方法によっても変わるもの。川口さんによると、「家庭でもカフェでも、主流はペーパードリップ」なのだそう。

川口さん(以下敬称略)「お店の場合、古くから自家焙煎をしてきた珈琲専門店はネル、演出効果を大切にする昭和の喫茶店はサイフォン、といったイメージがありますね。また、スペシャルティコーヒーと呼ばれる高品質なコーヒーの啓蒙につとめてきたコーヒーロースターの一部は、コーヒープレスを推奨しています」

加えて、テクノロジーを駆使した新鋭の抽出マシンも次々に登場しているとか。

川口「たとえば、スチームパンクは、タッチパネルで湯温などの要素を細かく制御できるマシン。見た目にもスタイリッシュで美しいので、お客さまがよく抽出風景を写真に撮っています」

こうした抽出方法を選ぶにあたり、お店では何を決め手にしているのでしょうか? そんな質問に対し、「味と、オペレーションと、お店のスタイル、価格、ヴィジュアル効果といった要素のバランスから決定していると思います」と川口さん。

川口「抽出器具によって表現するコーヒーの味が異なるので、まずはお店が理想とする味を出せる器具が第一候補となります。しかし、スムーズにお客さまに提供できることも大切な要素。ネルでじっくりお湯を点滴しながら抽出するスタイルは、提供までに15分はかかります。これでは、オフィス街などにあるテイクアウト主体のお店は採用できません。なので、5分以内で抽出可能なペーパードリップ、コーヒープレス、エアロプレスなどを採用することになるでしょう」

抽出方法に違いはあれど、おいしいコーヒーの基本は淹れたてであること。 「注文を受けるつど豆を挽いて、ドリップしたての新鮮なコーヒーが一番おいしいもの。お客さまも、マシンでまとめて抽出して保温してある劣化コーヒーは飲みたくないので、そういうお店は選ばれないと思います」と川口さん。

抽出方法に違いはあれど、おいしいコーヒーの基本は淹れたてであること。「注文を受けるつど豆を挽いて淹れる、ドリップしたての新鮮なコーヒーが一番おいしいもの。お客さまも、マシンでまとめて抽出して保温してある劣化コーヒーは避けたいので、そういうお店は選ばれないと思います」と川口さん。

おいしいコーヒーを自分で淹れる楽しさって?

自宅で楽しむ、おいしいコーヒー。淹れる作業も気分転換にもってこい!

自宅で楽しむ、おいしいコーヒー。淹れる作業も気分転換にもってこい!

カフェでいただく香り高いコーヒーを、自宅でも味わえたら幸せですよね。お店の人たちと同じように、好みの味を表現できる抽出器具を探したり、そのときの気分によってコーヒー豆を選んだり……。

「1日中、自宅にいるときは5回淹れる」という川口さんの場合は、飲む時間帯によって豆を変えているそうです。

川口「1日5杯までと決めていて、多いときは朝、10時の休憩、昼食後、3時のおやつ、夜10時の休憩……といった感じで淹れています。朝は焙煎度が浅めのフルーティーな豆、昼は中深煎り、夜は焙煎度が深めの苦味系の豆を選ぶことが多いですね」

また、お気に入りのカップを揃えるなど、コーヒーを味わうための演出も楽しいもの。こうした雰囲気作りには、コーヒーの香りも一役買ってくれます。

川口「コーヒーの香りが最も華やかに広がるのは、豆を挽いたとき。私にとって、その素晴らしい瞬間に立ち会えるのが、自宅で淹れる楽しみのひとつです」

そう語る川口さんが以前、カフェの店主から教わったのが、自宅に人を招くときの“香りの歓迎法”だとか。

川口「家をきれいに片付けて花を飾り、お料理の下準備などを整えたら、お客さまが到着する直前に、自分のために新鮮なコーヒー豆を挽き、コーヒーを淹れて飲みながら待つのです。そうすると、家中にコーヒーの芳香がふんわり漂っているところにお客さまが到着。まず、香りでお迎えするというわけです」

なんて素敵な歓迎法! これなら訪れた人も、まるでカフェで過ごすようにくつろいでくれそうですね。

自宅でおいしく淹れるには、どんな器具が必要?

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自分で淹れたコーヒーを楽しみたい! そう思ったら、抽出方法と必要な器具を選ぶことから始めましょう。ここでは、代表的なものとそれぞれの特徴を、川口さんと共にご紹介します。

まずは、「手軽なうえに、技術さえあれば好みの味にコントロールできます」と川口さんが言うペーパードリップ。挽いた豆を入れた紙製のフィルターをドリッパーにセットし、お湯を注いで抽出する方法です。

同じドリップでもひと味違うのが、布製フィルターを使ったネルドリップ。ペーパーよりも目が粗く、コーヒーの油分が多く抽出されると言われており、「まろやかでコクのある味わいになる」そうです。ただし、布フィルターは使用後、洗ってから水につけて保管する必要があるため、「慣れるまでは管理が少し面倒」だとか。

ポットに入れたコーヒーの粉にお湯を注ぎ、しばらくおいてから金属製のフィルターを押し込んで抽出するのがフレンチプレス。コーヒーの成分を濾過しないので、豆の持ち味を余すことなく楽しむことができます。また、注射器のような形状の器具がエアロプレス。圧力をかけるという点では、フレンチプレスと同じですが、味わいは変わってくるのだとか。

川口「どちらも、コーヒー豆の個性をそのまま表現する抽出法だと言われています。フレンチプレスは高品質のコーヒーの甘みが強く感じられる印象ですが、コーヒーに微粉が交じるのが好みの分かれるところ。エアロプレスはその微粉をペーパーでこすので、クリアな味わいになります」

また、レトロな印象のサイフォンは、アルコールランプでお湯を熱し、上部にあるコーヒーの粉と混ぜながら抽出する方法。川口さんによると「美しく、抽出の光景は何度見ても楽しめますが、おいしく淹れるには技術が必要」とのことなので、ペーパードリップなどに慣れてから試すのがよいでしょう。

このほか、最近になって見られるようになったのが、クレバー。コーヒーの粉をドリッパー内でしばらくお湯に浸し、ペーパーでこしながら抽出できる器具です。

川口「ペーパードリップとフレンチプレスの長所を組み合わせた、技術を必要としない注目のドリッパー。クリアな味わいで、フレンチプレスで淹れたときのザラザラ感が苦手という人に最適です」

左から、ペーパードリップ、ネルドリップ、フレンチプレス、エアロプレス、サイフォン、クレバー。選ぶ際は、好みのコーヒーが淹れられるかと、自分にとって使いやすいかを基準にしましょう。

左から、クレバー、ネルドリップ、ペーパードリップ、フレンチプレス、エアロプレス、サイフォン。選ぶ際は、好みのコーヒーが淹れられるかと、自分にとって使いやすいかを基準にしましょう。

ガイドがお試し! 初心者もおいしく淹れられるドリッパー

さまざまな抽出方法をご紹介しましたが、手軽に淹れられるのは、やはりペーパードリップです。「最近は多くのコーヒーショップで、円すい形のドリッパーが使われているのを目にしますね」と川口さん。同じ円すい系でも、多様なバリエーションが登場しているのだそう。

その中でも今回、注目したのは、表面にダイヤカットが施された円すい形構造の『クリスタルドリッパー』です。こちらは、ダイヤカットの斜辺に添って、お湯がジグザグに流れ落ちる仕組み。抽出に最適なスピードを保ちながら、コーヒーの粉全体にお湯が行き渡るので、誰でもおいしく淹れることができるんです。

川口「キラキラと輝く美しいドリッパー。このダイヤカットが視覚効果のためではなく、お湯が流れ落ちる速度をコントロールするためのものだと知って、ちょっと感動しました。穴は小さめなのですが、ペーパーとドリッパーの接触している面積が少ないからか、意外に速くお湯が落ちるのがおもしろい。コーヒー粉の量と挽き目、湯温を一定にすれば、毎回、安定して雑味の少ないおいしさになるので、初心者にも扱いやすいですね」

この『クリスタルドリッパー』を開発したのは、キーコーヒー。1920年の創業以来、コーヒーと真摯に向き合い、探求し続けるメーカーです。そんなキーコーヒーが扱う『トアルコ トラジャ』には、思い入れがあるという川口さん。

川口「近年、カフェを併設するパン屋さんが増えていますが、残念なことに、コーヒーはおまけ程度と考えるお店が少なくありません。そんな中、行列ができる銀座のパン屋さんで出会ったのが、キーコーヒーの『トアルコ トラジャ』。このお店のサンドウィッチと一緒にいただいたところ、期待を超えるおいしさに、ちょっと驚いたのです。パンのイートインでおいしいコーヒーに出会ったのは、これが初めてだったかもしれません」