FP(ファイナンシャル・プランナー)とはじめる賢い生き方

 

親の遺産をめぐる「争族」が急増中。その対策は?

親の遺産をめぐる「争族」は、身近なものに!

40代・50代になると、両親が高齢になり、ある日、突然、相続が発生ということも珍しくありません。家族が円満に遺産を分け、無事に相続の手続きが済めばそれに越したことはありませんが、年々、相続人の間で遺産を分ける際に揉める、いわゆる「争族」が増えています。

「うちは、揉めるほど財産はないから大丈夫」と考える人が多いのですが、相続で揉めて家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件約9,000件のうち、遺産総額5,000万円以下のものが全体の4分の3です。1,000万円以下に限ってみても、全体の3分の1を占めているのです。これからは、「争族は、お金持ちの問題」ではなく、「争族は、身近な問題」と考えなければなりません。

一度「争族」になると、争いは長期化する傾向にあります。家庭裁判所に遺産分割事件として持ち込まれてから解決するまでに、1年を超えるものが全体の3分の1を占めています。争いが長期化すればするほど、これまで円満だった家族関係も失われ、修復できない状態になってしまう可能性もあるのです。

※平成25年司法統計年報よりグラフ作成

「争族」を防止するには「遺言書」、親にどう書いてもらう?

「争族」を防止するのに最も有効な手段は、「遺言書」を書くことです。亡くなった人(被相続人)の相続財産の処分・分配方法は、そもそも亡くなった人の意思が尊重されるべきものです。従って、遺言は遺産分割協議や法定相続分(民法で定められた相続分)に優先する効果があります。遺言書が「争族」防止に有効なのはわかっているけれども、子どもの立場から親に「遺言書を書いてほしい」とは、なかなか言い出せないものです。

いきなり、遺言書の話を切り出すと、「財産目当てなのか?」と思われてしまう恐れもあります。そこで、いきなり遺言書の話をするのではなく、両親の老後の暮らしに対する希望や不安をじっくり聞きます。その中で、自宅をどうしたいのか、将来、介護状態になった場合にどのようなサポートをしてほしいかという話が出てくるでしょう。それら両親の生活設計と合わせて、相続のことも両親に考えてもらうようにすると、自然と「相続対策として大切な遺言書」という話もできるようになるでしょう。

相続対策はいつするのが最適?

相続対策は、「いつかやる……」ではなく、「今すぐに!」が大原則です。相続対策は、ご両親の生活設計を基本に考えるものです。生活設計は、残された老後をより豊かに生きるためのものです。作る時期が早ければ早いほど、たくさんの希望が叶えられます。

逆に、時期が遅くなると、いつまでも健康でいられるとは限りません。厚生労働省の発表によると、認知症高齢者は、2012年には全国に462万人いると推計されており、2025年には700万人を突破すると予想されています。判断能力が低下してからでは、ご両親の老後の生活設計の希望も聞くことはできませんし、相続対策として有効な遺言書を書くにも、支障を来たすことが考えられます。ご両親が元気な時こそ、老後の生活設計と相続に関することを家族で話し合うのに最適なのです。

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提供:特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
掲載期間:2016年6月24日~2017年3月31日【PR】