FP(ファイナンシャル・プランナー)とはじめる賢い生き方

 

介護に必要なお金は3,000万円?介護不安の解消法

長寿化が進む中、介護に不安を感じる人は9割

平成26年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は、男性80.50歳、女性86.83歳で、年々、上昇しています。長生きすることは素晴らしいことですが、いつまでも健康なままでいられるとは限りません。日常生活に支障がない健康寿命は、男性70.42歳、女性73.62歳です(平成22年)。つまり、日常生活に支障がある不健康な期間は、男性10年、女性13年ぐらいはあるのです。

長寿化が進むほど、私たち自身の介護に対する不安感も増します。「平成25年度生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)によると、自分の介護に対する不安を持っている人の割合は、9割に上ります。その不安の内容は、「家族の肉体的・精神的負担」(64.9%)に続いて、「公的介護保険だけでは不十分である」(61.8%)、「家族の経済的負担」(52.6%)、「介護サービスの費用がわからない」(49.3%)となっていて、経済的な不安が上位を占めています。

介護に必要なお金は3,000万円!? 本当に必要?

実際に介護費用は、どのくらい必要なのでしょうか? 「平成24年度生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)を参考にみてみましょう。同調査では、世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の公的介護保険の範囲外の費用に対する経済的備えについて、必要と考える介護費用を尋ねています。

介護費用の総額は、初期費用(一時的な費用)+毎月の費用×介護期間で求められます。必要と考える初期費用は262.1万円、毎月の費用は17.2万円、要介護状態となった場合の必要期間168.5ヶ月なので、先の計算式に当てはめると、必要と考える介護費用の総額は3,160万円と計算されます。確かに、この金額をみると、介護に対する不安は大きくなるのでしょう。

ところで、実際にかかる介護費用は、どのくらいなのでしょうか? 同調査では、過去3年に介護を経験した人に対して、初期費用(一時的な費用)、毎月の費用、介護期間を尋ねています。実際にかかった介護費用は、初期費用91.3万円、毎月の費用7.7万円、介護期間56.5ヶ月とのことです。先の計算式に当てはめると、実際にかかった介護費用は、526万円と計算されます。526万円は、決して少ない金額ではありませんが、介護に必要と考える費用の総額3,160万円と、大きく離れています。今後、自己負担額が増えることも予測されていますが、介護費用を頭の中で、多く見積もり過ぎる傾向にあることが、介護費用に対する不安を余計に大きくしているのではないでしょうか。

介護不安解消の条件は、「正しい情報収集」と「計画立案」

必要と考える介護費用と実際の介護費用に大きな差があったように、介護に関して、イメージではなく、実際にかかる費用や公的な介護保険で補えることなど、正しい情報を収集することが不安解消の第一歩と言えます。

その上で、介護の費用について、計画的に準備することが大切です。「計画的に」とは、介護にかかる費用について、「いくらかかる?」ではなく、「いくらかけたいか?」という視点で見積もることです。自分や家族がどんな状況になるかはわかりませんが、大切な家族にしてあげたいことを、家族から介護に対する希望を聞いて整理し、どのくらいの費用を準備すればよいかを見積もります。40代の場合でも介護が必要になるまで時間がありますので、少しずつ準備していけば安心です。計画があることが、不安解消の条件です。

お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談する 年金減少時代、老後のお金はいくら必要?

提供:特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
掲載期間:2016年6月24日~2017年3月31日【PR】