FP(ファイナンシャル・プランナー)とはじめる賢い生き方

 

年末年始にお財布がピンチ! 突然の出費の備え方

年末年始、出費は増える?

年末年始は忘年会、帰省、親戚へのお年玉など、何かと出費が多くなりがちです。実際に12月の支出は、年間を通しての1ヶ月の支出平均よりも約2.5万円多いという統計結果もあります(※)。

「彼氏(彼女)との年末年始はどう過ごそうか」、「今年一年頑張ったから、自分へのご褒美は何にしようかな」など、楽しいことをイメージしていると、ついつい財布の紐がゆるみがちです。その一方で、なかなか断りにくい会社の忘年会や「正月ぐらいは顔を見せに帰って来てね」という、親からの帰省の要望など、毎年出ていくお金もあるでしょう。「気づいたらお財布がピンチ!」ということにもなりかねません。

(※)2015年家計調査年報における勤労世帯の1ヶ月の消費支出315,379円、2015年12月家計調査における勤労世帯の1ヶ月の消費支出340,474円

「ニーズ」と「ウォンツ」に、年末年始の出費を色分けする

いざという時に慌てないためには、今からでも1ヶ月の支出の予算立てをすることをお勧めします。できれば収入の範囲内で支出を収めたいところです。

まず、支出をニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの・したいこと)に分けます。ニーズは、毎日の暮らしに欠かせない生活費(食費、水道光熱費、家賃、通信費、日用品など)と、年末のイベントにかかる一時的な支出(会社の忘年会・新年会や実家への帰省費用、親戚へのお年玉など)に整理します。ウォンツは、必ずしも必要ではないが、欲しいものやしたいことで、自分へのご褒美やバーゲンでの買い物、年末年始の旅行、プライベートの飲み会などです。ニーズとウォンツで明確に切り分けの難しいものもあるでしょうが、ある程度ルールを決めてリストアップします。

お金には限りがありますから、ニーズもウォンツも全て叶えられるとは限りません。例えば、1ヶ月の手取り収入が20万円であるとした場合、日常生活費に12万円、必要な一時的支出に4万円必要とすると、残りの4万円がウォンツの予算になります。その4万円の範囲内で、ウォンツのリストから取捨選択することになります。

一時的な出費に対応する3つの方法

ニーズとウォンツを分けると支出の優先順位がつけられますが、それでも、一時的な支出を含めると、収入に対し支出がオーバーしてしまうこともあるでしょう。予算オーバーしてしまう一時的な支出にはどのように対処したらよいでしょうか。一時的な支出の対処法を整理すると、「我慢する(支出しない)」、「お金を借りる」、「貯蓄を取り崩す」の3通りに分けることができます。

1つ目の「我慢をする」ですが、支出項目がウォンツに分類されるものであれば、多少の我慢は仕方のないことかもしれません。けれども、ウォンツは欲望や欲求によるもので、生活をさらに快適にしてくれるもののため、すべてのウォンツを我慢すると精神的にもあまりよくないですし、人生そのものに楽しみがなくなってしまうかもしれません。また、一時的な支出が「必要なもの」であった場合は、我慢するわけにはいきません。

では、2つ目の「借りる」はどうでしょうか。最近は、クレジットカードでキャッシングができたり、カードローンを手軽に利用することができたりするようになりました。けれども、お金を借りた場合は、利息がかかるのが一般的です。利息を払ってまで本当に支出するべきものなのか?を、今一度確認すると良いでしょう。また、お金を借りてモノやサービスを購入する習慣が身につくと、なかなかその習慣から抜け出せなくなる傾向もあるので注意が必要です。

では、3つ目の「貯蓄を取り崩す」というのはどうでしょうか。例えば、「年末年始の旅行やその他のイベントで15万円くらいお金が必要(使いたい)だから貯蓄しよう」と決めておいて、毎月計画的に1万2500円ずつ貯蓄をし、12月にその貯蓄から一時的な支出をするというのならば、理想的です。厳密にいくらと見積もることができない場合には、年末年始用に10万円とか20万円とか、毎月1万円ずつというように、ある程度きりの良い金額を目標に設定すると良いでしょう。そうすれば、急な出費にお財布がピンチになることも少なくなり、さらには、できるだけ多くのウォンツも実現できるようになると思います。

提供:特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
掲載期間:2016年6月24日~2017年3月31日【PR】