FP(ファイナンシャル・プランナー)とはじめる賢い生き方

 

貯金100万円・年収400万円で一戸建ては本当に買えるのか?

マイホーム購入者の5人に1人は、世帯年収400万円未満

「家賃と変わらない住宅ローンの返済額でマイホームが持てる」「年収300万円台でも夢のマイホームをゲット」といった住宅の広告などを見ると、自分でもマイホームは持てるかな?と関心を持つ反面、「本当に大丈夫なの?」という疑問も沸いてくるでしょう。

「2015年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)によると、フラット35を利用してマイホームを購入した人のうち、世帯年収が400万円未満の割合は21.4%とのこと。5人に1人は、年収400万円未満でマイホームを購入しているのが実態なのです。

貯金100万円、年収400万円の一戸建て購入の実際

山田さん(仮称)一家の事例をもとに、具体的に見ていきましょう。
山田さんは現在、妻と子ども2人の4人家族で、都内近郊の賃貸アパートに住んでいます。ポストに投函された住宅のチラシに目が留まり、マイホーム購入を真剣に考えるようになりました。そこで、気になった物件(概要は図を参照)を取り扱っている不動産販売会社に足を運びました。

●物件価格以外に「自己資金」にも注意が必要
マイホームというと物件価格にばかり目が行きますが、それ以外にも購入時にはさまざまな費用がかかります。契約時の印紙税や不動産登記、住宅ローンにかかる費用など、物件の種類によって異なりますが、新築一戸建ての分譲住宅の場合は物件価格の5%ぐらいが目安になります。山田さんの場合、希望する物件価格は3,000万円なのでおよそ150万円。ところが今の貯金は100万円なので、諸経費が払えないことになります。諸経費ぐらいはなんとか準備しないと、ということで、親に相談し、不足分は援助してもらうことになりました。

●住宅ローン、借りられる金額は? 年収と総返済負担率の関係
物件購入にかかる諸経費は貯金と親からの援助で賄えたので、住宅ローンの借入金額は物件価格と同じ3,000万円になります。不動産販売会社からは、借入期間が全期間固定になるフラット35を紹介してもらいました。ローンの条件は「借入金額3,000万円、期間35年、金利1.37%(融資割合9割超、平成28年7月の実行金利)、元利均等返済」です。毎月の返済額は89,956円。年間返済額は約108万円です。

フラット35の場合、年収に対する総返済負担率(※)の条件が決まっていて、年収400万円未満の場合は30%以下、400万円以上の場合は35%以下です。山田さんの場合、今回の住宅ローン以外に借入がないので、108万円(年間返済額)÷399万円(年収)で、総返済負担率は27%です。30%が上限なので、かなりギリギリということがわかります。

(※)総返済負担率=年収に占める全ての借入(フラット35による借入のほか、フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン[クレジットカードによるキャッシングや商品の分割払い・リボ払いによる購入などによる借入])の割合

「借りられる金額」=「返せる金額」ではない

山田さんは、3,000万円の住宅ローンを組むとどのくらいの返済額になるか心配でしたが、毎月9万円と聞いて、ひと安心。現在の家賃と共益費、駐車場代を合計するとちょうど9万円なので、今の生活を変えずに返済して行けると考えました。

●住宅購入後の追加費用も忘れずに
マイホームを購入した場合は、購入後にも費用がかかることを忘れてはなりません。例えば、引っ越し代やインテリア費用に加えて、 不動産にかかる固定資産税・都市計画税、火災保険・地震保険などの損害保険料、築年数が経過した時の定期的な修繕費用などです。

●今は返せても、将来返せるか? が重要
山田さんの家計を見ると、毎月の黒字額は1万円です。ボーナスである程度貯金ができていたとしても、住宅購入後の追加費用を考えるとかなり厳しくなるかもしれません。また、今は子どもが小さいので教育費はあまりかかりませんが、15年後ぐらいには教育費がピークを迎えます。将来的には、自分たちの老後の生活費の準備もしなければなりません。今はギリギリ返せても、将来にわたってきちんと返せるかどうかが重要なのです。

住宅購入時には、長期的なライフプランを考えよう

将来にわたってきちんと返していけるかどうかは、長期的なライフプランと資金計画(ファイナンシャル・プラン)を立てることが大切です。「夫婦で協力して収入を増やしていこう」とか「家計を見直して支出を見直そう」といった、住宅購入に向けた目標設定も行えます。住宅購入時には、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談して、ライフプランを考えてみましょう。

お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談する 知らずに増える、ネットショッピング支出に要注意!

提供:特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
掲載期間:2016年6月24日~2017年3月31日【PR】