老舗漆器メーカーに学ぶ! 漆器のお手入れ術


urushi

使えば使うほど味が出る道具を持つことは男の憧れだ。ただ、料理道具が味のある逸品となるか、使い物にならないなまくらになるか、道具を愛する主の器量が試される。

料理の味を引き立てる道具は、包丁、まな板といった調理器具だけではない。調理を終えた後に料理を盛り付ける器も、味に深く関係する。なかでも、英語で“japan”と呼ばれるほど日本を代表する伝統工芸、漆を使った漆器は料理の特別感を演出し、さらに味を引き立てる。今年で創業100年を迎える老舗漆器メーカー、株式会社島安(しまやす)汎工芸製作所の四代目で、モダンなデザインを取り入れ、NYギフトショーに出展するなど幅広く活躍する島平(しま・たいら)さんに漆器の取り扱い方を教えてもらった。

 

 

洗い方のコツ


優しく手洗いを徹底すること

■やさしく洗う、こびりつきは緩めてから
漆器といっても食器から家具まで幅広いものがありますが、今回はお正月に使うお重箱をはじめとする食器のお手入れ方法についてご紹介します。まず、使った後は、やわらかくきめの細かいスポンジを使ってぬるま湯で洗いましょう。油を使った食べ物をのせた場合は、薄めた中性洗剤を使って洗ってください。
厄介なのはお弁当箱や飯椀などについたご飯もののこびりつきです。爪でこそげとる、という方も多いかもしれませんが、それはNG。こびりつきができた場合は、内側にお湯をはって10分程度置いておきます。汚れが浮き上がってきたら、スポンジで軽く洗うだけで簡単に落ちますよ。菓子皿にお餅がこびりついたときも同様です。

■水滴はすぐに拭き取るべし
お重箱でも汁椀でも、洗い終わって水をきった後、乾いたときに水滴の跡が表面に残りやすいので、すぐに布巾で全体を拭くことが、表面をきれいに保つポイントです。また、布巾は綿のやわらかいものが最適。塗り物に指紋を付けたくないという方は、石鹸できれいに洗った手で扱えば、ほとんど付くことはないので心配無用です。

■食洗機で漆器を洗ってはいけない理由
漆が高温に弱いと考えている方もいらっしゃいますが、家庭用の食洗機なら高温といっても知れてますので、その点は問題ではありません。漆器を食洗機に入れてはいけないのは、食洗機に使う専用のコンパクト洗剤に含まれている磨き粉成分が漆の光沢を消してしまうから。漆器の美しさを保ちたいという方は、食洗機で楽をせず、優しく手洗いすることを心がけましょう。

 

収納のコツ


漆をダメにする3つの大敵

■割れて剥がれる原因は傷、ひび割れ
漆器はまず木材で型を作り、その上に漆を塗って乾燥させ、磨いて、また塗って乾燥させてという作業を何度も重ねて作っています。そのため、落としたりぶつけたりして、傷つきやひび割れができると、その間から中に水が入り込み、染み込んだところから木が膨らんでしまいます。するとそこから塗りが割れて剥げる元になるのです。

■紫外線、乾燥はNG!
漆を紫外線に当て続けるとくすんだり、表面が荒れることがあります。また、乾燥しすぎは割れの原因。紫外線が当たりにくく、適度な湿気もある押入れが良い保管場所といえます。また、年に一、二度使うお重箱のような大切な漆器は、柔らかい紙か、布に包んで箱に納めてください。普段使いのお椀や銘々皿(菓子小皿)のように数枚を重ねて保管する漆器の場合は、間に布やキッチンペーパーをはさめば、ほかの食器と同じように保管して問題ありません。

 

漆器メーカー四代目の思い


常に新しいものをつくり続ける

■失敗作が芸術になった「根来塗」
私が代表取締役社長を務める島安汎工芸製作所は和歌山県発祥の漆器メーカーで、2016年4月12日に創業100周年を迎えます。和歌山県の漆器は「紀州漆器」「黒江塗り」などと呼ばれ、そのルーツは室町時代に紀州木地師によって渋地椀が作られたことあります。それが高野山から移り根来寺を建立した僧侶たちによって洗練されていったようです。また、紀州漆器は「根来(ねごろ)塗」といわれる独特の塗りが有名です。黒漆で下塗りをし、その上に朱漆を塗ったもので、未熟練な僧徒の失敗作がかえって趣深いと評判になり、それを芸術の域まで高めた技法という、ユニークな塗りです。

■伝統を守るだけではない、“島安”のこだわり
島安汎工芸製作所には「白漆」といったオリジナルの霞根来、変り根来もあります。白色の塗にゴールドの研ぎ出しに仕上げた現代感覚の漆器で、色彩が軽やかなイメージなので、洋風のインテリアにも活用できる新しい漆器です。私は伝統的で奥深い仕事に携わってさまざまな知識をもてたからこそ、新しいことができると考えており、今後もこてこての和ではなく、わっとびっくりするような器を作ってみたいと思っています。

 

提供┃All About

maidasan

毎田 祥子┃Syoko Maida

家事アドバイザー。生活用品や全国の食品生産者への豊富な取材経験と実践に基づく家事の極意に定評がある。著書には『魔法の“朝だけ家事”―ラクしてちゃんとした暮らしができる!』『おばあちゃんの歳時記暮らしの知恵』など。

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