老舗包丁店に学ぶ!包丁のお手入れ術~研ぎ方編~


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使えば使うほど味が出る道具を持つことは男の憧れだ。ただ、料理道具が味のある逸品となるか、使い物にならないなまくらになるか、道具を愛する主の器量が試される。

正しい砥石で、正しく包丁を研げている人がどれほどいるだろうか。最近はシャープナー(簡易研ぎ器)を使う人も増えたようだが、それでも太刀打ちできないとき、あきらめて捨ててしまってはいないか?包丁は正しく研ぐことさえできれば切れ味も長持ちし、料理のクオリティも約束されるといった主の手腕が問われる味ある道具だ。逆もまたしかり、正しい研ぎができていなければ、かえって包丁を悪くしまう。第2回「味ある道具の育て方」では、老舗包丁専門店「日本橋木屋」の石田さんに包丁の研ぎ方のコツを教えてもらう。

 

砥石の選び方


ちぐはぐな組み合わせはNG

■砥石は包丁の素材で選ぶ
包丁を研ぐには砥石選びからこだわらなければなりません。たとえば、ステンレスの包丁を研ぐのにレンガ色の砥石を使っている人があまりにも多い。 包丁の研ぎ方に関する講習会で講師をする際、生徒にこの問いを投げかけると、「きゃー私だ!」という声がたくさん上がります。

砥石には研磨力の順に、荒砥、中砥、仕上げ砥といった目の粗さや、炭化ケイ素質、アルミナ質といった原料にも種類があり、包丁に合った適切な砥石があります。硬めの性質であるステンレスや超硬金属は研ぎにくい材質なので削る力の強い砥石(炭化ケイ素質)を選んだ方がよいです。また、一般向けには合成砥石(2種類の主原料が混合)が、鋼にもステンレスにも使えて値段も手ごろなのでおすすめです。ちなみにレンガ色の砥石は研ぎ味がやわらかくなるアルミナ質で、鋼の包丁に使います。

■砥石代わりになると噂のモノは嘘だらけ?
「アルミホイル」「メラミンスポンジ」「火であぶる」など、包丁研ぎの代替方法に関しては、信じられない噂が多くあります。誰がそのようなことを言ったのでしょう……。火であぶるなんてとんでもないこと。作り手が熱処理をして整えているのに、そんなことをしたら金属原子が動いて品質低下してしまいます。「大根」「コルク」「クレンザー」などは、サビやこびりつき汚れ落としに有効です。

■シャープナーは研がないよりマシ
昔はシャープナーの砥石に硬い金属が使われていて、それで研ぐとかえって刃こぼれの元になっていましたが、最近のものは改善されています。使うなら、一度の研ぎで5~10回行き来させれば十分。やりすぎても効果は変わりませんが、小まめに使うことをおすすめします。シャープナーでも改善される見込みがなければ砥石を使いましょう。

研ぎ方のコツ


和洋で異なる包丁の研ぎ方

前回の記事でご紹介したように、洋包丁は両面に刃がついた「諸刃(もろは)」、和包丁は片刃が基本です。研ぐのは「刃」の部分。「平」の部分は研がないこと(平はコルクでお手入れを)。刃は全体を一度に研ぐのではなく、全体を4カ所に分け、順次位置をずらしながら研いでください。

以下、和・洋別の包丁の研ぎ方を詳しくご説明します。

■洋包丁の研ぎ方

1.砥石を濡らし、包丁をのせる(砥石と刃の角度は常に一定に)

洋包丁①▲峰の下に10円玉を3枚重ねたくらい浮かせて研ぐ

砥石を約5分ほど水に浸してから、流し台などの上に濡らした雑巾(滑り止めのため)を敷き、その上に砥石を縦向きにのせる。包丁を斜め(砥石の縦線に対して約50度)に置く。刃を砥石に着け、峰の側は下に10円玉を3枚重ねたくらいの隙間を保つ。

2.包丁の表を研ぐ

洋包丁②▲左手の3本の指先で力を入れずに添えて、リズミカルに動かす。

刃元から切っ先まで4カ所に分け、順次位置をずらしながら、刃元から刃先へ向かって砥石の真ん中付近を使って研ぐ。指先に力を入れ過ぎないこと。研げているかはどうかは、研いだ部分の刃先を指の腹でなでて「ザラッ」とした感触があればよい。これは、「カエリ」と呼ばれる金属のまくれできちんと研げている証拠。
※研ぐ位置をずらす場合、次に研ぐ部分が真ん中へくるよう包丁全体を置き直し、表面を刃先から切っ先まできちんと研ぐ。

3.裏を研ぐ

洋包丁③▲表よりも軽く研ぐ

裏も表同様に刃元から切っ先まで4回に分けて研ぐ。刃の角度は表より少し寝かせた10円玉2枚挟んだくらいに保つこと。表より軽めに、刃先に出ているカエリが反対側(表側)にめくれるまで研ぐ。

4.砥石の裏の木台で仕上げる

洋包丁④▲引き切りで刃先をきれいに。砥石の裏を傷つけたくなければ蒲鉾板で代用してもよい

仕上げに、砥石の裏の木台に刃を当てて軽く引き、刃先の細かい金属のカエリをとる。最後に包丁を水洗いして、刃と柄を十分に乾拭きして終了。

■和包丁の研ぎ方

洋包丁同様以下の基本的なポイントをチェックしてから始める。和包丁の多くは片刃のため、凹みのある裏面は砥石にぴったりつけて研ぐ。

1.砥石を濡らし、包丁をのせて表を研ぐ

和包丁①▲刃は全体を一度に研ぐのではなく、4つに分けて刃元部分から

洋包丁と同様に、砥石を水に浸し、雑巾の上にセット。包丁を斜め(縦の線に対して約45度)に向けてのせる(砥石と刃の角度は常に一定に)。

刃を着けたまま峯を少し浮かして刃を研ぐ。刃元から切っ先まで4カ所に分け、順次位置をずらしながら刃先へ向かって。砥石は真ん中付近を使い、研ぐ部分に左手の3本の指先を力を入れずに添えてリズミカルに動かす。

研げたかどうかの確認は洋包丁と同様、カエリの感触があればよい。

2.裏を研ぐ

和包丁②▲片刃の和包丁は特に、裏を表より軽く研ぐ

裏も図のように持ち、包丁の裏を砥石で平らにペタリと当てる(洋包丁のように浮かせない)。刃元から切っ先まで表同様に4回に分けて研ぐ。刃先に出ているカエリが反対側(表側)にめくれるまで研ぐ。

3.砥石の裏の木台で仕上げる

和包丁③▲砥石の裏でなく蒲鉾板を使ってもよい

仕上げに砥石の裏の木台に刃を当てて軽く引き、刃先の細かい金属のカエリをとる。最後に包丁を水洗いして、刃と柄を十分に乾拭きして終了。

※和洋問わず、適切にお手入れをしていても限界があるため、手に負えなくなったら専門店で研いでもらうことも長持ちの秘訣

■最後に

今回ご紹介した日ごろのメンテナンスをしっかり行うことで、洋包丁で25年から30年、和包丁でも長く使い続けることができます。何もしないで度々買い替えてくださるのはいいお客さまではありますけどね(笑)。できれば小まめに適切な手入れをし、切れなくなったら専門店でメンテナンスを行って、末長く使っていただきたいです。

提供All About

maidasan

毎田 祥子┃Syoko Maida

家事アドバイザー。生活用品や全国の食品生産者への豊富な取材経験と実践に基づく家事の極意に定評がある。著書には『いつのまにか家事上手になるシステム家事のすすめ』『おばあちゃんの歳時記暮らしの知恵』など。

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