もったいない! 規格外食材を提供する「魚治」で考えた


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東京・丸の内に買い手がつかない“もったいない魚”を看板メニューに掲げた居酒屋「築地もったいないプロジェクト 魚治」がある。味や鮮度にはなんら問題がないのに、「規定より小さい、大きい」「獲れすぎ」などの理由で買い手がつかなくなってしまった魚たちを提供して、話題を集めている。

現代の「食」の豊かさを享受する者として、この活動を無視することはできない。どれだけ料理が上手かろうと、いくら手料理で家族をもてなそうとも、「食」にきちんと向き合うことができていなければ、カッコ良い男とは言えない。

 

pub_uoharu-B▲有楽町駅から徒歩3分。ビジネスマンの集まる新東京ビルB1Fに店を構える「魚治」

 

■捨てられる特大のカレイ、極小のアワビ

綿密に計算されて日本全国に敷かれた食品流通網では、“仲間はずれ”に価値はない。毎朝、築地に挙げられる数千tの鮮魚は千差万別、多種多彩で世界有数の数を誇るが、安心・安全を掲げる食品流通の基準では、わずかな違いでもはじかれてしまう。

発泡スチロールに入りきらない特大のカレイや、本来高値のつくアワビでもピンポン玉サイズであれば1円の値もつかなくなってしまう。しかし、自然界の生き物の“個性”は、人間のエゴに付き合ってくれるわけではない。

料理を提供する側にとって、値付けが困難だったり、一人前のロッドに見合わなければ、その命は行き場をなくしてしまうのだ。

 

pub_uoharu-C_fix▲「魚治」のある日の突き出しは極小アワビが提供された。小さくてもアワビはアワビ

 

■“もったいない”余りものこそ、恵みの宝

2015年1月、東京・丸の内にオープンした「築地もったいないプロジェクト 魚治」は、そんな“もったいない食材”を居酒屋のメニューとして提供して、連日多くのサラリーマンたちが集う。

「魚治」のスタッフが接客のときにしっかりと時間を費やすのが、提供時に食材のストーリーを語ること。なぜ流通されずに売れ残ってしまったのか、料理の一皿一皿に対して食材が“ココ”に行き着いた経緯をスタッフ全員が心得、きちんと顧客に説明しているのだ。サイズが不揃いの貝、足の折れたカニ、ウロコにキズのある魚……。それら“はみ出し者”たちが「魚治」に集まる。

この日に目玉として提供されていたのは、「黄ハタの煮つけ」と「ベロカジカの姿揚げ」だ。ともにあまり聞かぬ名だが、形も身もしっかりとした今朝獲れた魚であることに違いはないが、広く流通されることなく、「魚治」で提供されている。これら「未利用魚」と呼ばれ、漁獲対象とされない魚類であったり、前述の“仲間はずれ”たちが分類される。これらの多くは底引き網や定置網で漁獲されている。

 

pub_uoharu-D_fix▲「黄ハタの煮付け」(2180円/左)は定置網で揚がった未利用魚で、若干のウロコはげが見られた。「ベロカジカの姿揚げ」(780円/右)は同じく未利用魚でウロコはげとアミ傷があった

 

■定番のない居酒屋

「魚治」には、目玉料理がない。それは毎朝築地で挙がる魚から、毎日変化する“もったいない食材”を仕入れてメニューを決めているからだ。規格外に大きい骨付きの中落ちマグロが目玉のときもあれば、鼻っ柱に大きな網キズのあるカマ焼きがおすすめとメニューに挙がることもある。

「鮮魚を提供する飲食店であれば、仕入れによって品書きが変わるのは当然ですが、「魚治」に届くのは、極端に大きいものだったり、数があっても大きさがバラバラであったり、われわれ料理する側は、いつも苦労しています」

と大田原店長。宴会も受け付けているが、お客さんは提供されて初めて宴会料理を知らされるという。

「かえってそれがサプライズになっているのだと思います。普通のメニューでも、本来廃棄されるものなので、コスパがよく、みなさん熱心に食材のストーリーに耳を傾けてくれています」

コスパはもちろんだが、気軽にお酒を飲みながらお得感もあって社会貢献としての満足度も高いのだろう。

 

pub_uoharu-E▲大田原店長(右)と飯塚副料理長(左)。オープンから約1年半、テレビ出演の効果もあって連日予約客でいっぱいだそうだ

 

■一切の無駄を許さない献立

「“もったいない”を謳っていて、うちから食材の無駄が出ていたら本末転倒ですからね」

「魚治」には決まった目玉料理はないが、定番料理は存在する。「魚のメンチ」と「なめろう」だ。ともに端材から作れる料理なので、日によってさまざまなバリエーションの「魚のメンチ」と「なめろう」が提供されている。

また、〆の看板メニューとなっているのが、「豆腐メシ」「〆スープ」である。骨や皮、内臓からとった出汁でつくる「魚治」の定番の〆のご飯物とスープだ。「魚治」で捨てられるものは出汁をとりきった端材しかない。

 

pub_uoharu-F▲骨付きで提供される「マグロの中落ち」はこのサイズでなんと500円

 

■規格内に収まった高品質の流通の影

「飲食店では店を閉めるとき、必ず翌日の発注書を業者にFAXします。その発注書に書かれた食材が翌朝に必ず届くことで、毎日変わらないその店の看板料理を提供することができます。

しかし、その発注書の世界がすべてなのか、と思ったことがありました。決まった食材が必ず手に入るということは料理人にとってうれしいことですが、実際に築地に行って多くの“もったいない食材”を見て新しい世界を知りました」

男性が台所に立って、家族に料理をふるまう姿は確かに格好良いが、同時に女性が男性に家庭で料理をしてほしくない理由として、食材の無駄使いや過度な高級食材を使うことが挙げられる。“仲間はずれ”たちをきちんと料(はか)ること、即ち「理を料る」ことこそができてこそ、初めて「料理」と言えるのではないか。

 

DATA
「築地もったいないプロジェクト 魚治」
住┃東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル B1F
電┃03-6269-9099
営┃月~金/11:00~14:30、17:00~23:30
土/16:00~22:00
休┃日曜・祝日

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★★★
「もったいないアクション」で
日本の飲食業界が変わる!
★★★

「築地もったいないプロジェクト魚治」をはじめ、野菜の食品ロスを提供する「ラディーチェ」(代官山)や山陰地方(島根、鳥取)のもったいない食材を提供する「立天○ (たちてんまる)」を企画する株式会社エードットは、日本のもったいないをなくすことに邁進している。

「もったいないアクション」を掲げた飲食店は現在3店舗。今後も新しい取り組みで、「もったいないアクション」を広げていく予定だ。

 

文┃編集部
取材協力┃エードット

 

 

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