ゲームをめぐる専門家の様々な見解
「ゲームは有害」と主張する説もあれば、「ゲームは学力と関係がない」という説もあります。ゲームソフトは誕生から40年程度の新しい媒体。1つの説にのめり込む前に、家庭にとっての「ベターな方法」を探してみては?
「現代のゲームにある複雑なキャラクターやストーリー設定は、子供の問題解決能力を高め、ゲーム以外の場に応用する力を促進する」という研究結果もあります。他には「視覚空間推論力」を身に着けるのに役立つという説も。
日本小児科医会は、「親も子どももメディア機器の接触時間のコントロールが大事です。親子の会話や体験をともにする時間が奪われてしまいます」と警鐘を鳴らしています。スマホのアプリゲームで子どもが一瞬で静かになるとラクですが、幼い時に子守の主要ツールとすることで、外遊びや人とのかかわりの機会が減るリスクを喚起しています。
子育て心理学の専門家である佐藤めぐみさんは、ゲームが依存性のある機器であることを踏まえた上で、子どもが小さいうちは親がルールづくりに携わり自制心を養うことが大切だといいます。ゲームやスマホを持たせない選択ができなくなりつつ今、ハマりやすいゲームを通じて、「自制心」を養成することができるという一面も指摘。
ゲームが得意な後輩を自宅に呼んで、子どもも交えてプレイするという芸人の千原せいじさん。奥様が一度ルール決めようと考えたものの、結局「今、ゲームやらせておいたら、風呂にゆっくり入れる」とか「今、ゲームやらせておいたら、メシゆっくり食える」とか親の都合も入ってくるとつじつまが合わなくなってくると思って寛大になったそう。子どもの「やりたい」を尊重しつつ、ゲームが親や別の大人とのコミュニケーションのツールになっているようです。
2016年に炎上した「ゲーム機バキバキ事件」。バイオリニストの高嶋ちさ子さんが、新聞のコラムに執筆したゲームのルールを破った子どものゲームを折ったと書いたことが発端。親の叱り方について試される機会を提供するツールであるということを教えてくれた事件です。
「ゲームのせいで、勉強ができなくなる」と考える方も多いかもしれません。ところが、デニソン大学教授の研究によれば、学業不振は、テレビゲーム自体の問題というよりは、限られた時間の中でゲーム以外のことにかける時間が減るためとしています。
10年ほどの研究結果を総括した分析によると、暴力的なゲームをすると、「攻撃的な行動、思考、感情が増える傾向」「向社会的な行動、共感、暴力への抵抗感が減る傾向」が見られるとのこと。あくまでも傾向であり、証明されているわけではなさそうです。
2002年、「ゲーム脳」という言葉が、議論を呼びました。週4~6回、1回2~7時間ゲームを行うことで、全く前頭前野部の働きが悪くなるというのです。調査内容に賛否両論あるようですが、日常生活がままならない依存状態はとてもリスキーだと言えます。
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