作品賞 『ノートルダムの鐘』

『ノートルダムの鐘』

“圧倒的な歌声の力”が際立った2016年のミュージカル界。その代表作と言えるのが、偏見のない社会の希求をテーマとして、“今”の世界にジャストフィットする上演となった『ノートルダムの鐘』(16年12月11日初日、四季劇場[秋])です。16人の聖歌隊(クワイヤ)の荘厳な歌声に支えられた中世の熾烈な愛憎ドラマは、観る者の胸を激しく揺さぶりました。またテクノロジーや“仕掛け”に頼らず、アナログな手法を旨とした“人間回帰”の表現形態(演出・スコット・シュワルツ)は、既にその後の演劇公演に影響を与え始めてもいます。  撮影:上原タカシ(C)Disney

出典: 『ノートルダムの鐘』完全レポート 開幕までの軌跡 [ミュージカル] All About

スタッフ賞 『わたしは真悟』フィリップ・ドゥクフレ(演出&振付)、トクマルシューゴ、阿部海太郎(音楽)

『わたしは真悟』

『ノートルダムの鐘』とは対照的に、映像や音を想像力豊かに駆使しながらも、舞台上の俳優たちの声、身体表現を際立たせていたのが『わたしは真悟』。ロボットアーム“真悟”の冒険を通して人生の一瞬の輝きと残酷さを語る物語を、楳図かずお原作の世界観を損なうことなく、ドゥクフレ氏が舞台化。トクマル、阿部両氏による音楽も、“真悟”の進化に沿ってテクノからオーガニックへと変化自在、日本語の“間”や語感を生かした旋律も観客の耳をとらえました。(16年12月2日プレビュー、KAAT神奈川芸術劇場) 写真提供:ホリプロ

出典: 3/4 2016年11~12月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

主演男優賞 橋本さとし『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』

橋本さとし『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』

挫折続きで精神を病んでゆく画家ヴィンセントと、唯一の理解者である弟テオ。二人の心の交流を、プロジェクションマッピングをふんだんに取り入れつつ描いた『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』で、迫真の演技を見せたのが橋本さとしさんです。韓国発ミュージカル特有のパワフルな楽曲を強靭な喉でこなしつつ、人間味豊かなヴィンセントを体現。幕切れでは、彼自身のヴィンセントへの敬意、愛情を凝縮したかのような表現が生き、悲痛な物語に温かな余韻を残しました。(16年9月7日初日、紀伊國屋サザンホール) 撮影:桜井隆幸

出典: 2/3 2016年9~10月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

主演女優賞 大竹しのぶ『ピアフ』、真飛聖『マイ・フェア・レディ』、木村花代『Marry Me A Little』

大竹しのぶ『ピアフ』

愛と歌に生きた歌手の半生を描く『ピアフ』(16年2月7日初日、シアタークリエ)。主人公のエディット・ピアフは歌手として成功をおさめながらも孤独に苛まれ、男たちへの愛と薬物に溺れてゆく……。今回が再再演となるヒロイン役を、大竹しのぶさんは無心に、壮絶に生き、観る者の“人生に対する本気度”を問いかけました。年末に出演したNHK紅白歌合戦でも「愛の讃歌」を歌い、一曲で場の空気をがらりと変える姿に舞台本編の衝撃を思い出した方も多かったことでしょう。写真提供:東宝演劇部

出典: 3/5 2016年1~2月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

真飛聖『マイ・フェア・レディ』

名作を“今”の感性で軽やかにリ・ステージした『マイ・フェア・レディ』(16年7月10日初日、日生劇場)で主人公イライザの成長を健気に、生き生きと演じた真飛聖さん。名曲「I could have danced all night(じっとしていられない)」では、できなかったことができるようになった瞬間の感動を躍動的に歌い、観る者の心を掴みました。淑女としてエンパイア・ドレスで登場する場面では、輝くばかりの美しさ。写真提供:東宝演劇部

出典: 2/5 2016年7~8月の注目! ミュージカル [ミュージカル] All About

木村花代『Marry Me A Little』

NYのアパートで一人住まいをする男と女が、それぞれの部屋で満たされない内面を吐露する。明確なストーリーがあるわけではない“ソング・サイクル形式”の難度の高い作品ですが、ヒロイン役の木村花代さんは、予測不可能で難解な旋律の中に美しい一節を織り込む「ソンドハイム節」をじっくり聴かせつつ、“あきらめきれない恋”を情念たっぷりに表現。(16年2月5日初日 早稲田大学どらま館)写真提供:TipTap

出典: 4/5 2016年1~2月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

助演男優賞 成河 『エリザベート』『わたしは真悟』

成河『エリザベート』『わたしは真悟』

近年、大作ミュージカルで次々と確かな存在感を示している成河さん。『エリザベート』(16年6月28日初日、帝国劇場)ルキーニ役では、音楽を先導するかのような序盤の動きで、作品世界全体が彼の回顧であることを明示。ちょっとした台詞も豊かに膨らませます。『わたしは真悟』(16年12月2日プレビュー、KAAT神奈川芸術劇場)では、黒子たちが操るロボットアームの“本体”と連動し、次第に目覚めてゆくその“自我”を、コンテンポラリーダンス的な動きを交えて体現。感情を排した台詞廻しながら、真悟の報われない奮闘を感動的に描き出しました。 写真提供:東宝演劇部

出典: 4/4 気になる新星インタビューvol.22 古川雄大 [ミュージカル] All About

助演女優賞 ソニン『キンキーブーツ』、濱田めぐみ『王家の紋章』、王子菜摘子『泣いた赤鬼』

ソニン『キンキーブーツ』

傾きかけた靴工場の跡取り息子とドラァグクイーンの葛藤、友情と成長を描く『キンキーブーツ』(16年7月21日初日、新国立劇場中劇場)。靴工場のさえない女の子ローレンを演じたソニンさんは、もっさりとした姿勢で“いけてない”感を漂わせつつ、恋する女子の本音ナンバー「The History of Wrong Guys~間違いだらけの恋の歴史~」をチャーミングに歌い、作曲者シンディ・ローパーに通じる、親しみやすいキャラクターを体現しました。 写真提供:フジテレビジョン

出典: 2016年7~8月の注目! ミュージカル [ミュージカル] All About

濱田めぐみ『王家の紋章』

現代から古代エジプトへとタイムスリップした少女と若きエジプト王メンフィスの愛を描く『王家の紋章』(16年8月5日初日、帝国劇場)。主人公たちの恋の鞘当てが“胸キュン”要素たっぷりに描かれるなかで、弟メンフィスへの愛ゆえに、3000年の時を超えた呪いをかけるアイシスを演じたのが濱田めぐみさん。報われぬ愛に悶えるその内面を抑制された動きと情感豊かな歌唱で表現し、影の主人公的存在感を放ちました。 写真提供:東宝演劇部

出典: 2/5 2016年7~8月の注目! ミュージカル [ミュージカル] All About

王子菜摘子『泣いた赤鬼』

童話作家・浜田廣介による児童文学の名作を、糸あやつり人形「一糸座」が映像や音楽を駆使して舞台化した、俳優と人形の音楽劇『泣いた赤鬼』(16年1月8日初日、赤坂RED THEATER)。王子菜摘子さんは鬼の世界と人間世界を繋ぐ“少女”役などを演じつつ、本作の“歌声”を担当。無国籍風の不思議な風合いで描かれる“無償の友情と喪失の物語”を、凛とした声で力強く纏めました。 写真提供:一糸座

出典: 子連れで(も)観たいMusical 6 『泣いた赤鬼』 [ミュージカル] All About

新星賞 海宝直人『ノートルダムの鐘』、小池徹平『キンキーブーツ』

海宝直人『ノートルダムの鐘』

“次代のミュージカル界の牽引者”の片鱗を見せたのが、海宝直人さんと小池徹平さん。海宝直人さん(写真左)は『ノートルダムの鐘』(16年12月11日初日、四季劇場[秋])で、その演技に対する真摯な姿勢、とりわけ歌に対する探究心が一気に花開いた感。無垢というばかりではない複雑な内面を抱え、役者にとっては肉体的にも発声面の負担も大きいカジモド役に、献身的かつきめ細やかな表現で命を吹き込んでいます。 撮影:阿部章仁(C)Disney

出典: 『ノートルダムの鐘』完全レポート 開幕までの軌跡 [ミュージカル] All About

小池徹平『キンキーブーツ』

音楽やテレビ、映画にとどまらず、近年ミュージカルでも活躍中の小池徹平さん。優しげなルックスながら骨太の作品に続々出演、今回は『キンキーブーツ』(16年7月21日初日、新国立劇場)で、工場を立て直そうと奮闘する主人公チャーリー役に挑戦しました。特に後半、日本のミュージカルではまずあり得ないタフな場面の連続で、ことさら強い喉と気力を要する役どころながら、さらりと好演。無限の可能性を感じさせます。 写真提供:フジテレビジョン

出典: 2016年7~8月の注目! ミュージカル [ミュージカル] All About

ベスト・カップル賞 高畑充希&門脇麦『わたしは真悟』

『わたしは真悟』16年12月2日プレビュー(KAAT神奈川芸術劇場) 

目くるめく映像と音楽の渦に圧倒されることなく、物語の起点である小学生カップル、真鈴と悟の恋を瑞々しく演じたのが、揺るぎない歌声・存在感の高畑充希さんと、男の子らしい発声と所作が光る門脇麦さん。二人の一途さは、彼らの愛を守るためにロボットアーム“真悟”が進化するという奇想天外な設定に説得力を与え、(おそらくは)真悟の夢想として二人が登場する幕切れは、すべての大人たちが失ってしまった“無垢”を永遠化したものとなっています。 写真提供:ホリプロ

出典: 3/4 2016年11~12月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

アンサンブル賞 『壁抜け男』、『The Love Bugs』

『壁抜け男』

ある日突然、壁を通り抜けられるようになった男の顛末を通して、日常のささやかな幸福を描く『壁抜け男』。今回の公演には“腕”も“味”もあるベテラン俳優十名あまりが揃い、ミシェル・ルグランの多彩な楽曲をふくよかに歌い上げながら、人生の滋味を堪能させました。(16年9月27日初日、自由劇場)撮影:阿部章仁

出典: 2016年9~10月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About

『The Love Bugs』

『壁抜け男』とは対照的に、大規模なカンパニーながら抜群の団結力を見せたのが、地球ゴージャスプロデュース公演vol.14『The Love Bugs』。大勢のダンサーたちが集結し、一匹の昆虫のように動く象徴的なオープニングに始まって、岸谷五朗さん演出作品らしいカンパニーの一体感が光りました。(16年1月9日初日、赤坂ACTシアター)

出典: 7/7 Star Talk Vol.32 城田優、「前例」は自分が作る [ミュージカル] All About

来日公演賞 『キンキー・ブーツ』

『キンキーブーツ』(来日版)

2016年に注目を集めた企画の一つが、『キンキーブーツ』の連続上演。三浦春馬さんのドラァグクイーンぶり等が話題を呼んだ日本版上演のすぐ後に、US版が来日(16年10月5日初日、東急シアターオーブ)。日本版の余韻のなかで、異なる演者のテイストを味わったり、日本版の翻訳の妙に気づかされたりと、観客に様々な楽しみを与えました。豪快な言動の中に繊細さを秘めたローラ役J・ハリソン・ジーさんのメリハリある演技も出色。 Kinky Boots National Touring Company. 撮影 Matthew Murphy

出典: 3/3 2016年9~10月の注目!ミュージカル [ミュージカル] All About