芸術の秋に訪れたいアートの祭典

涼しくなって感受性が高まるこの季節は、「芸術の秋」としても知られています。今回は、大人旅で訪れたいアートの祭典3つを厳選して、代表的な作品とともに紹介します。

閉幕まで、あと10日! 見逃せない「あいちトリエンナーレ2016」

開催期間:2016年10月23日(日)まで

「あいちトリエンナーレ」は、3年に1度、愛知県で開催される国内最大級の国際的な現代アートの祭典です。第3回目となる今回は、「虹のキャラバンサライ 創造する人間の旅」というテーマのもと、日本をはじめ世界38の国と地域から119組のアーティストが集結! 現代美術に加えて、ダンス・演劇・オペラなどの舞台芸術を同時開催します。また、まちなかでの作品展示や、様々な普及教育プログラムがあることも大きな特徴です。会場は、名古屋を中心に、岡崎、豊橋で開催されています。10月23日(日)までなので、まだ観ていない方は急いで!

出典: アートの祭典「あいちトリエンナーレ2016」の見どころ [名古屋の観光・旅行] All About

アーキテクツ・オブ・エアー 「ペンタルム・ルミナリウム」

10月16日(日)までの期間限定で見逃せないのが、英国ノッティンガムを拠点に活動するアーキテクツ・オブ・エアーによる色と光の巨大な家「ペンタルム・ルミナリウム」。五角形を主な構造体とし、全長50メートルにわたって連なる巨大な作品で、岡崎公園多目的広場に登場しています。作品の見どころは、カラフルな光と色で彩られる幻想的な内部空間。外から浸透する自然光が構造の内部を鮮やかに照らし出し、時間帯や天気によって様々に表情を変えていきます。デザインは、イスラム美術やゴシック建築、現代建築などに着想を得ています。日本初登場です。

出典: アーキテクツ・オブ・エアー | あいちトリエンナーレ2016 ©あいちトリエンナーレ2016展示風景 アーキテクツ・オブ・エアー《ペンタルム・ルミナリウム》2016 photo:菊山義浩

大巻 伸嗣「Echoes Infinity―永遠と一瞬」

様々な空間を利用してダイナミックかつ繊細なインスタレーションを発表してきた大巻 伸嗣氏が、2002年から手掛けてきたシリーズの最新作。1600枚の白いフェルトの上に、日本画の顔料(岩絵の具)を用いて、花や鳥などの文様を描いた作品。一辺が約20メートル、広さ約420平方メートルという自身にとって最大となる空間を、約1か月の制作期間をかけて文様で埋め尽くしました。これまでは敷石の上からのみ鑑賞が可能でしたが、10月11日(火)以降は作品の上を直接歩くことができます。来場者が作品を踏みしめることによって文様は次第に姿を変え、時間と記憶が刻まれていきます。

出典: 大巻 伸嗣 | あいちトリエンナーレ2016 ©あいちトリエンナーレ2016展示風景 大巻伸嗣《Echoes Infinity―永遠と一瞬》2016 photo:菊山義浩

ジョアン・モデ「NET Project」

好きな色の紐を、好きな長さで、好きなところにつなげていく―鑑賞者たちが動きのある作品に立ち寄り、参加することができるプロジェクト。結ばれた紐によるネットは、生き物の姿のように形を変え、参加した人の数だけ大きくなり、強くなります。名古屋市美術館の敷地入口、岡崎の籠田公園内、豊橋のPLATの敷地の芝生、さらには県内を巡回して展示するモバイルトリエンナーレの各会場で制作が進行中。あいちトリエンナーレ2016の会期最終週には、それぞれのネットが、愛知芸術文化センターの2階デッキ部に集結して、巨大なネットが出現します。

出典: ジョアン・モデ | あいちトリエンナーレ2016 ©あいちトリエンナーレ2016展示風景 ジョアン・モデ《NET Project》2016 photo:福岡栄

岡山初の芸術祭「岡山芸術交流 2016」

開催期間:2016年11月27日(日)まで

「岡山芸術交流」は、芸術を通じて国境や文化、世代を超えた様々な交流が生まれることをめざす大型国際展覧会です。世界16カ国から31組のアーティストたちが集結する第1回目は、アーティスティックディレクターに、イギリス出身でニューヨークを拠点に世界で活躍するアーティスト、リアム・ギリック氏を迎えました。彼が第1回岡山芸術交流のテーマとして掲げたのは「開発」。見慣れた日常の風景の中に突如出現する映像や大型インスタレーション、日本初公開となる作品や、アーティストが事前に岡山を訪れて制作した、ここでこそ生まれた貴重な作品も展示します。会場を巡る中で、作品を見るだけではなくアーティストの思考に遭遇し、時間や歴史、国境など行き来するような芸術交流ともいえる体験がここ岡山からはじまります。

出典: 岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2016

リアム・ギリック「多面体的開発」

岡山芸術交流2016のアーティスティックディレクターであるリアム・ギリック氏も、アーティストとして、本展覧会に参加しています。この塔は、しろちか広場に光を入れるための採光塔。誰も気にしなかった既存の構造物として存在していたものに手を加えることにより、街ゆく人が足を止めカメラを構えるほどの魅力的な存在となりました。鮮やかなイエロー、オレンジ、アイスブルーなどで彩られたカラフルな塔は、一見の価値ありです。

出典: 岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2016 多面体的開発©岡山芸術交流実行委員会 photo: Yasushi Ishikawa

ピエール・ユイグ「未耕作地」

ピエール・ユイグ氏は、人工の構造物に野生の生物を配することで、極端な美的動揺の場をつくり出す作品を発表しています。とくに最近作の映像、彫刻、インスタレーションでは、意味と美の創出における人間の優越性に疑問を投げかけている作品を発表しています。こちらの彫刻作品「未耕作地」は、横たわる女性のコンクリート像に、生きた蜜蜂の群が頭を形作り、蜂の巣が脳の代わりとなっています。活発な蜂の動きは、像の形を曖昧にし、鑑賞者の感覚を刺激します。

出典: 岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2016  Exhibition view Documenta 13, Karlsaue Park, Kassel, Germany, 2012©Pierre Huyghe Courtesy the artist and Esther Schipper, Berlin Photo: ©Andrea Rossetti

レイチェル・ローズ「すべてそしてそれ以上」

レイチェル・ローズ氏の映像作品は、記録と推測を融合します。 現在までに制作された5つの意欲作のそれぞれで、彼女は即興性と同じくらいリサーチに重きを置いたプロセスを用いています。カメラの使用や撮影後の加工を革新的に取 り入れることで、技術的にも美学的にも、各作品で全く異なる結果を生み出し、高い評価を得ています。こちらの作品は、昨年ホイットニー美術館で発表されたもので、宇宙飛行士の複雑な心境を表現しています。

出典: 岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2016 Everything and More, 2015© Rachel Rose; courtesy the artist, Pilar Corrias, London and Gavin Brown's Enterprise, New York.

共につくる、参加する芸術祭「さいたまトリエンナーレ2016」

開催期間:2016年12月11日(日)まで

127万もの人々が生活するさいたま市において、世界に開かれた創造と交流の現場をつくりだすことを目指す国際芸術祭「さいたまトリエンナーレ2016」が開催中。テーマは「未来の発見!」。アートを鑑賞するだけでなく、共につくる、参加する芸術祭です。さいたまトリエンナーレ2016の大きな特色のひとつは、観光地や里山などではない「生活都市」を舞台にしていること。アートを特別なものではなく、街に関わるすべての人に開かれたものにするために、人が暮らし、他者と交流し、創造する現場においてアーティストと共に未来を発見していきます。

出典: さいたまトリエンナーレ2016 ©Aigars BIKŠE, Saitama Businessman

チェ・ジョンファ「ハッピーハッピー」

世界各国で、市民とともにつくられてきたチェ氏の代表的な作品シリーズ「ハッピーハッピー」。新品または使い終わったプラスチックの日用品がつなぎあわされている本作は、2016年の夏にさいたま市内で行われたワークショップで、参加者によって制作された約100本の作品から構成されています。「アートは何も特別なものではないのです。今日は誰もがアーティストになって、思い思いにつくってみてください」とワークショップ冒頭で語ったチェ氏の言葉どおり、日用品がその用途から離れていき、個性あふれる造形ができ上がりました。個々の作品が共鳴し合い、さらなる作品ができあがり、彩の国さいたま芸術劇場の回廊の頭上を文字どおり彩っています。

出典: チェ・ジョンファ|さいたまトリエンナーレ2016 ©CHOI Jeong Hwa, Happy Happy Photo:Yoichiro Kutsuna, Arecibo

アピチャッポン・ウィーラーセタクン「Invisibility」

映画界、美術界、ともに世界で高い評価を得ているアピチャッポン・ウィーラセタクン氏の最新作「Invisibility」は、「影」が物語の語り部。撮影は、タイ・チェンマイの新しい美術館に組まれた小さなセットで夜間に行われました。現れる影を通して、見ることと見えないこと、現実とフィクション、場の記憶と虚無が、眠っていた旧民俗文化センターにうつろいます。映画「光りの墓」(2015)や初のパフォーマンス作品「Fever Room」(2015-2016)の流れを継ぐ映像インスタレーションであり、アピチャッポン氏作品でお馴染みの俳優2人が今回も登場しています。

出典: アピチャッポン・ウィーラセタクン|さいたまトリエンナーレ2016 ©Film Still from Invisibility by Apichatpong Weerasethakul Courtesy of Kick the Machine Films, 2016

川埜龍三「犀の角がもう少し長ければ 歴史は変わっていただろう」

埼玉県内でも多く出土された埴輪。そんな埴輪から着想を得た大型の犀(さい)の埴輪のほか、さまざまな出土品を制作し、圧倒的な造形力による具象性と物語性による存在感で、人々を独特の作品世界に誘い込みます。参加者の多様な参加を促すプロジェクト。現在われわれが存在している世界「さいたまA」、と同時に存在する並行世界「さいたまB」の発掘キャラバン隊の調査活動により発見された埴輪群および発掘現場を視覚化する歴史改変SF美術作品。もし、本当に犀の角がもう少し長 かったら……。そんな想像をしながら、作品と向き合ってみるのもいいかもしれません。

出典: 川埜龍三|さいたまトリエンナーレ2016 ©KAWANO Ryuzo,If Rhino's horn had been longer, the world would have been changed.