重症化すると、命に関わる合併症を引き起こすと可能性のある「麻疹」。麻疹ウイルスは非常に小さいため、「飛沫感染」や「接触感染」に加え、「空気感染」によっても広がります。一般的なウイルスの中で感染力が最も強く、1人が感染すると、免疫のない12~18人にうつすといわれます。インフルエンザですら2~3人ということを考えると、いかに麻疹の感染力が強いか分かります。

麻疹の確実な予防手段は「ワクチン」だけ

1回だけでは不十分!「麻疹のワクチン」

麻疹の予防接種をすると95%以上の人が免疫をつけることができますが、残り数%の人は1回のワクチンでは抗体ができず、のちに麻疹になってしまうという統計があります。免疫を定着させるには、2回の予防接種がマストです。

出典: 麻疹(はしか)の治療・予防 [子供の病気] All About

いつ受ける?「麻疹のワクチン」

回数は2度で、1期は生後12か月~24か月未満、2期は小学校入学前の1年間が対象です。国や自治体が「できる限り受けなさい」と推奨する定期接種に分類されるため、費用はかかりません。麻疹と風疹を予防する「MR2種混合ワクチン」が多く使われます。

出典: 予防接種スケジュール:よしだクリニック

厚生労働省の発表する「学校における麻しん対策ガイドライン」により、学校は児童や生徒およびその保護者に、必要な予防接種を受けるように通知することが義務づけられています。

平成2年4月1日より早く生まれた人は、接種回数が足りない可能性も

年代によるワクチン接種回数の違い

図は「麻疹の予防接種状況」をグラフにしたもの。ワクチンは2回接種しないと十分な免疫がつかないため、緑色部分のみが安全ゾーンです。2015年に16歳以上だった人のうち半数以上の人たちが、麻疹に対する十分な抗体を持っていないことが分かります。

出典: 国立感染症研究所(画像はオールアバウト編集部が加工)

平成14年(2002年)以降の生まれの人

1歳のときと小学校入学前の1年間に、合わせて2回、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が定期接種として実施されました。接種率が100%ではないため、平成14年以降の生まれの人であっても、必ずしも予防接種をしたと断言できるものではありません。

出典: 風しんワクチン接種歴の学年・年齢のめやす | 逗子市

平成2年(1990年)4月2日~平成13年(2001年)生まれの人

平成19年から麻疹が流行したことを受けて、平成20年度~平成24年度までの5年間、中学1年生と高校3年生に相当する年齢の人にMRワクチンが定期接種として実施されました。あまり周知されなかったため接種率が悪く、今後の対策が必要とされています。

出典: 風しんワクチン接種歴の学年・年齢のめやす | 逗子市

昭和54年(1979年)4月2日~平成2年(1990年)4月1日生まれの人

日本では昭和53年に麻疹の定期接種が始まりましたが、この期間に生まれた人の接種回数は1回のため十分とはいえません。さらに平成元年より平成5年までに用いられたMMRワクチンに問題があったため、現在の10歳~30歳代の人の接種率は低下しました。

出典: 一般社団法人日本ワクチン産業協会

女性で昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの人

中学生のときに学校で、集団定期予防接種が実施されました。

出典: 風しんワクチン接種歴の学年・年齢のめやす | 逗子市

女性で昭和37年4月1日以前に生まれた人・男性で昭和54年4月1日以前に生まれた人

定期接種の機会はなく、麻疹に感染することで免疫をつけるという考え方でした。

出典: 風しんワクチン接種歴の学年・年齢のめやす | 逗子市

予防接種の有無を確認する方法

麻疹の予防は時期をずらして2回のワクチンを受けることが大切ですが、予防接種をしたかどうか記憶が定かでないかもしれません。そのような方は、母子手帳で確認する、病院で抗体検査をするなどの方法があります。費用は3000~5000円程度です。

出典: HOME|保健館 HOME|麻しん(はしか)の予防 ~予防接種について~

自費でワクチンを受けたい人はどうする?

予防接種を自費で受ける場合の費用・受けられる場所

大人が麻疹の予防注射をする場合は自費となります。費用は病院によって異なりますが、MRワクチンで1万円前後、麻疹の単独ワクチンでは6000円程度が目安です。予約が必要な病院や、ワクチンの在庫がない場合があるため、事前に電話で確認しましょう。

出典: 麻疹(はしか)の予防接種 効果、受ける時期、回数、費用、副反応を解説 受け忘れた時にどう対応?|アスクドクターズトピックス

病院を探すときは、役場に問い合わせて予防接種のできる病院を紹介してもらう、近所の内科に聞いてみるなどの方法があります。内科が見つからないときは、小児科に問い合わせをするのもひとつの方法です。

妊婦さんが感染するとどうなる?妊娠中に予防接種は受けられる?

妊娠中に麻疹に感染すると流産や早産の危険性が

妊婦さんが麻疹にかかると、流産や早産の危険性が高くなります。胎児への影響については、大きな影響はないとされています。

出典: 2/2 大流行の麻疹(はしか)の予防は可能か [子供の病気] All About

妊娠中はワクチン接種を受けられない

すでに妊娠している場合は、ワクチン接種を受けることができません。また、ワクチン接種後2ヶ月間は、胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠を避ける必要があります。
すでに妊娠していて、予防接種を受けていない人は、麻疹が流行している時期には人混みを避けるなどの予防策をとってください。
同居している家族で、予防接種を受けていない人がいる場合は、家族からの感染を避けるため、予防接種を受けることをおすすめします。

出典: 麻しんについて|厚生労働省

予防接種の副作用は?

副作用として、注射した部分が赤くなる、発熱、発疹、蕁麻疹(じんましん)などが報告されています。1回目の副作用では、発熱が最も多く、17%の人にみられますが、1~3日で症状は治まります。
脳炎や脳症といった副作用も報告されていますが、100万~150万人に1人以下とごく稀です。

発熱、発疹などは接種後7~10日後に見られます。1期で、発熱が約17%、発疹が約5%、2期で、発熱が約7%、発疹が約2%程度です。これらの症状は1~3日で治ります。

リンク: MRワクチン(麻疹・風疹)の接種・時期・副作用 [予防接種・ワクチン] All About

稀な副反応として、脳炎・脳症が100万~150万人に1人以下の頻度で報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。

リンク: 麻しん(はしか)に関するQ&A|厚生労働省

自費でも予防接種を受けたほうが良い人は?

2回接種受けていない人、麻疹に罹ったことがない人は要注意!

ワクチンを1回も受けたことのない人、平成2年4月1日以前に生まれた人でワクチンを1回しか受けていない世代の人、麻疹に罹ったことのない人、妊娠を考えている人は、かかりつけの医師に相談しましょう。

出典: 麻しん(はしか)に関するQ&A|厚生労働省