寒冷蕁麻疹とは
寒冷蕁麻疹は、寒さが原因で起きる蕁麻疹で、秋から冬にかけて多く見られる疾患です。外気の温度変化ではなく、自分の皮膚温度の低下がきっかけになります。鳥肌と思ったのに急にかゆくなったら、寒冷蕁麻疹の疑いがあります。
寒冷蕁麻疹になりやすいのは、寒がりな人、鳥肌が立ちやすい人、厚着のため冬場でも汗をかく人、脱衣所の温度を寒いと感じる人、ジョギングなどをしていて汗をかきやすい人などです。当てはまる項目の多い人ほど、寒冷蕁麻疹を経験する可能性が高いようです。
寒い朝に素足で冷たい床を歩いたときに足に出る、外で寒い風に当たったときに顔に出る、お風呂で温まった後に脱衣所を寒く感じて全身に出るなど、冬場に多い傾向があります。一方、夏にエアコンの冷気に当たったときなど、夏場に発症することもあります。
寒冷蕁麻疹は、子供が発症しやすい蕁麻疹のひとつです。プールサイドで日光浴をした後に急にプールに飛び込んで冷えたり、冷たいものを飲み過ぎたりなど、冬場だけでなく夏にも起こります。
寒冷蕁麻疹が起こるメカニズム
皮膚の下(真皮)には、ヒスタミンという物質を蓄えた肥満細胞があります。この肥満細胞が急激な温度変化などの刺激を受けると、ヒスタミンが放出されます。
ヒスタミンには血管を拡張させる作用があり、血液成分が血管外に漏れ出すことで、皮膚が赤く盛り上がり、発疹を生じさせるのです。
寒冷蕁麻疹を回避する方法
寒冷蕁麻疹は、皮膚温度が急に低下したときに発症します。そのため、厚着をしたまま暖かい部屋にいて、そこから急に寒い外に出るときなどにも注意が必要です。上半身の温度を調節しやすいように、セーターよりもカーディガンにするなどの対処をしましょう。
寒冷蕁麻疹を、「寒いときに出る、たかが蕁麻疹でしょ」と侮ってはいけません。寒さに触れたところに出るという特徴があり、部位は限定されていますが、全身に広がると命に関わるショック症状を起こします。少しでも早く、体を暖めましょう。
蕁麻疹が出たときには冷やすと良いといわれますが、寒冷蕁麻疹の場合は冷やすとさらに悪化します。症状が現れたら、すぐに暖めましょう。何度も繰り返す場合は医療機関に行って診てもらい、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を処方してもらいます。また、蕁麻疹を繰り返す状態が1か月以上続くなど慢性化している場合は、漢方薬を試してみるのもひとつの方法です。根気よく治療をすることで、完治するケースもあります。
寒冷蕁麻疹を予防する方法
寒冷蕁麻疹になりやすい人は、急激な皮膚温度の低下に気をつけます。冬は素足で床を歩かずにスリッパを履く、暖房が強い場所では薄着になる、冬に外出するときはマフラーなどで外気に触れる顔の面積を少なくする、などの方法があります。
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