アデノウイルスとは?
アデノウイルスには、51種類以上の血清型があるといわれています。
咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすもの、流行性角結膜炎(はやり目)を引き起こすものなど、種類によって様々な症状を引き起こします。肺炎、胃腸炎、出血性膀胱炎、肝炎、膵炎、脳炎を引き起こすものもあるので注意が必要です。
流行時期は、例年7~8月がピークですが、一年中感染する可能性があります。
感染者は5歳以下が約6 割を占め、子供が感染しやすいですが、大人にも感染します。
出典: 咽頭結膜熱とは
潜伏期間は型によって異なりますが、5~7日程度のことが多く、一般的なウイルスよりもやや長い傾向があります。まだ症状が現れない潜伏期間中でも、他人に感染する可能性があります。
アデノウイルスが原因で起こる「結膜炎」
「結膜」はまぶたの裏と眼球の表面を覆う無色透明の粘膜で、眼球の露出している部分を保護して、目を動かしやすくするという役割があります。アデノウイルスが原因で起こる「結膜炎」は2種類あり、どちらも白目の部分が赤くなることや目やにが増えることが多いという共通点がありますが、症状が異なる別の病気です。
咽頭結膜熱は、プールでうつることが多いため「プール熱」とも言われます。感染後5~7日で発病し、目の充血や目やにが出るほかに、結膜にブツブツができます。目の症状自体は「流行性角結膜炎」より軽いのですが、5日程度続く38~40℃の高熱、咽頭炎など、全身の症状が強く現れます。
主な症状は、結膜炎、発熱、咽頭炎の3つですが、発熱と咽頭炎の2つしか症状が出ない場合など、必ずしも3つ現れるとは限りません。
出典: 沖本眼科 | はやり目・結膜炎
感染すると、7~14日後に発病します。目に現れる症状が非常に強く、まぶたの裏側にブツブツができる、充血してまぶたが腫れる、涙がたくさん出るなどの症状を引きおこします。「咽頭結膜熱」と比べて、全身の症状はあまり強くありません。
出典: 沖本眼科 | はやり目・結膜炎
アデノウイルスの引きおこす「結膜炎」の治療法
アデノウイルスに対する特効薬はなく、抗体ができるのを待つしかありません。
医療機関では、高熱には解熱剤、喉の痛みには鎮痛剤、目のかゆみや充血には目薬が処方され、症状を和らげる対症療養がとられます。
1週間~10日ほどでよくなります。
はやり目もプール熱と同様の治療法がとられます。やはり特効薬はないため、対症療養をとりつつ、自然治癒するのを待ちます。
2週間ほどで症状は改善していきますが、角膜の斑点状の混濁については、数ヶ月間症状が続くこともあります。
会社の出勤停止、保育園・幼稚園の出席停止について
咽頭結膜熱・流行性角結膜炎ともに、他人を感染させる可能性のある期間は1~2週間です。
学校保健法で第二種伝染病に指定されていて、咽頭結膜熱は主要症状がなくなってから2日経過するまで、流行性角結膜炎は医師の許可が出るまで、学校は出席停止になります。保育園や幼稚園も休ませます。
ウイルス性の結膜炎と診断されたら、感染を広めないように注意しなければなりません。集団感染を防止するためにも、社会人でも完治するまでは、できるだけ会社を休むのが望ましいと考えられます。
感染を予防するには
アデノウイルスの感染経路は、感染者の唾液が咳やくしゃみなどで飛び散り、それを吸い込むことで感染します。これを「飛沫感染」といいます。飛沫感染には、手洗い・うがい・消毒・マスクの着用などが有効な予防手段になります。手洗いは、石鹸で指の間まで洗い、アルコール消毒までしっかり行いましょう。
小さいお子さんがいる家庭では、ウイルスが付着したおもちゃなどを口に入れることでも感染しますので、おもちゃやドアノブなども家族が触れる場所も消毒しておくことをおすすめします。
また、タオルや寝具などを介しても感染するので、タオルや寝具を一緒に使うのはやめましょう。
感染してしまった場合は、家族や周りの人に広めないように注意が必要です。
お風呂でもうつる可能性があるので、お風呂はいちばん最後に入りましょう。
目を拭いたハンカチやティッシュからも感染するので、目を拭くときは使い捨てでいるティッシュペーパーを使い、すぐに捨てるようにしましょう。
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