探偵顔負けの解決者たち。ユーモラスで明晰な切れ味に唸る3作

江戸にそびえる大店の病弱若旦那。大正ロマンを傍若無人に生き抜く女スリ。喫茶店を営む人見知りの乙女。際だつキャラの主人公達がそれぞれの立場から事件を解決してみせる。

畠中恵『しゃばけ』

主人公は江戸版セレブファミリーの御曹司。なんと妖怪の血を引いているが病弱だ。家族、番頭から甘やかされながらも、自立の道を探している。そんな彼が巻き込まれる事件。妖怪、人間入り乱れての混乱を、見事に解決してみせる。

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久山秀子『久山秀子探偵小説選〈1〉 』

この作品は、その存在自体がミステリーだ。説明しよう。主人公は久山秀子という女スリ。しばしば男装し、事件に関わってくる。著者は女性作家の久山秀子。だが、現実の久山は男性であり、女装してまで読者を攪乱させていたのである。こりゃ、すごい。

出典: Amazon.co.jp: 久山秀子探偵小説選〈1〉 (論創ミステリ叢書): 久山 秀子: 本

東川篤哉『純喫茶「一服堂」の四季』

主人公は古風な喫茶店の店主。極度の人見知り、とうてい接客には向かぬ乙女だ。だが、客が語る怪事件を耳にするや傲慢な推理女史に豹変。あっと驚く、しかし納得の推理を展開する。現場に出向かずに解決する「安楽イスもの」の逸品である。

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インテリジェンスとハードボイルドの融合。そのスリルに唸る3作。

知性だけでは解決できぬ怪事件。金、権力、闘争、陰謀、そして、過去。混沌と絡み合う闇の世界。体当たりで挑む探偵や刑事達の壮大な物語に唸る。

江戸川乱歩『怪人二十面相』

怪人二十面相と名探偵明智小五郎の宿命の対決。小林少年率いる少年探偵団の活躍。大正昭和の躍動混乱の時代を背景にしたハードボイルド・ミステリーの原点がここにある。世代を超えて受け継がれるパワーを感じていただきたい。

出典: 怪人二十面相―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック) | 江戸川 乱歩 | 本-通販 | Amazon.co.jp

藤原伊織『テロリストのパラソル』

おぞましき爆弾テロ。嫌疑をかけられた主人公が、踏み込んでいくのは、陰謀というクモの巣が張り巡らされた迷宮。過去が現在にからみつく悪寒にも似た感覚を、みごとに描ききった必読の書。帯にある「史上初!乱歩賞&直木賞W受賞作」はダテじゃない。

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大沢在昌『新宿鮫』

体制からはみ出した刑事「新宿鮫」。知性あふれる頭脳を持ちながら、鮫のように食らいつく男。登場する女性達の振る舞いもクール。ハードなシーンの連続を、それでもサイレントに進める作風に、思わず唸る傑作である。

出典: Amazon.co.jp: 新宿鮫 新装版: 新宿鮫1 (光文社文庫): 大沢 在昌: 本

これぞ、名探偵。短編から長編まで、現場で勝負する切れ者達に唸る3作

東野圭吾『探偵倶楽部』

VIPのみを顧客とする探偵倶楽部。登場する探偵(男・女)のビジネス徹底ぶりも面白い。短編集でありながら、読み応え抜群。いわゆる「どんでん返し」で、読者を底からひっくり返してくれる。すご技を堪能させてくれる作品集だ。

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綾辻行人『十角館の殺人』

本格的なミステリーといえば、この作品。大がかりだが緻密なトリックは圧巻。ゾゾゾと背筋を寒くさせられる描写は、事件の現場へと読者をいざなう。これから続く綾辻「館シリーズ」の第1弾である。

出典: 十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫) | 綾辻 行人 | 本 | Amazon.co.jp

横溝正史『犬神家の一族』

おどろおどろしい人間の暗部を思い知らされる作品。そんな中、さわやかな風を感じさせる主人公・金田一耕助の活躍が光る。映画やテレビに映像化され、メディアミックスの先駆けとしても有名な作品だが、原作には悪夢にうなされそうな迫力がある。

出典: Amazon.co.jp: 犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル): 横溝 正史: 本

以上、3つの角度から、これぞという作品を紹介してきた。どれもこれもが個性豊かな登場人物が躍動する。その躍動感がファンタジーとリアリティーの絶妙なバランスにつながっている。時代を問わず、日本のミステリーのすごみを見せつけられる作品群だ。読後の充実感は格別ですぞ。投了!