広隆寺 弥勒菩薩半跏思惟像 【国宝】飛鳥時代
広隆寺は、秦河勝(はたのかわかつ)が、聖徳太子からこの「弥勒菩薩像」を賜り創建したと伝わる京都最古の寺。釈迦入滅後、56億7千万年後にこの世の救済に現れるという弥勒菩薩。穏やかな表情で永遠の思惟にふける美しい姿は、見る者を一瞬で虜にします。
神護寺 薬師如来立像 【国宝】奈良(天平)後期~平安初期
「森厳・重厚・神秘的」という表現が似合う仏像。表面が黒く煤(すす)けており、近寄る者を圧倒するような威厳があります。日本の美を撮り続けた写真の巨匠・土門拳は、「好きな仏像は?」と問われ、即座に「神護寺 薬師如来立像」と答えました。(※1)
六波羅蜜寺 空也上人立像 【重文】鎌倉時代
空也上人が念仏を唱えると、口から六体の阿弥陀が現れたという伝承を写実的に表現した作品。6体の阿弥陀像は「南無阿弥陀仏」の6字を象徴。修行と遍歴の果てにたどり着いた澄み切った表情で念仏する空也。深呼吸のように私たちの心を穏やかにしてくれます。
出典: 重要文化財 - 六波羅蜜寺
教王護国寺(東寺) 不動明王像 【国宝】平安時代
密教の教えをビジュアル化した「曼荼羅(まんだら)」を、さらにリアルに伝えるために、仏像をレイアウトした「立体曼荼羅」は、いわば、千数百年前に創り出された3Dアート。「立体曼荼羅」の中で、我が国最古の不動明王像は、憤怒の形相を示しています。
禅林寺(永観堂) 阿弥陀如来像(みかえり阿弥陀) 【重文】平安後期~鎌倉初期
京都を代表する紅葉の名所「紅葉の永観堂」の本尊「みかえり阿弥陀」は、後ろを振り返る姿で彫られています。念仏行道を行う永観律師を先導する仏の姿なのだそうですが、常に民衆とともにあろうとした永観律師の姿そのものではないか、という気がします。
醍醐寺 薬師如来坐像(箔薬師) 【国宝】平安時代
醍醐寺はとても広く、山上の「上醍醐」と麓に広がる「下醍醐」に大きく分かれます。「薬師如来坐像」は、本来、上醍醐・薬師堂の本尊ですが、現在は、下醍醐の「霊宝館」に安置(※2)。しっかりした目鼻立ちやがっしりした体格など、威厳のある仏像です。
出典: 第3回 醍醐寺の宝物たち(霊宝館編)-京都宝物館探訪記|京都で遊ぼうART ~京都地域の美術館、展覧会、アート系情報ポータルサイト~
蓮華王院(三十三間堂) 千手観音坐像【国宝】鎌倉時代/千体千手観音立像【重文】平安~鎌倉時代
千手観音坐像を中心に、左右、計千体の金色に輝く等身観音立像が並び立つ姿は、まさにこの世に現出した仏の世界。千体の観音像の中には、必ず会いたい人に似た像があるとも伝えられています。同じ堂内の風神・雷神像(国宝)も、見逃さないように。
出典: 蓮華王院 三十三間堂
浄瑠璃寺(九体寺) 九体阿弥陀如来像 【国宝】平安時代
9体の金色の阿弥陀如来像が安置された「九体阿弥陀堂」。お堂に一歩足を踏み入れると、まるで極楽浄土に迷い込んだような、恍惚とした気分に。平安時代、京都を中心に競って建立された九体阿弥陀の中で、現存するのは、浄瑠璃寺のみ。(※3)
出典: 真言律宗小田原山 浄瑠璃寺3 九体阿弥陀如来像と吉祥天立像 | マムの素 * 青カバ・ウィリアムはかく語る - 楽天ブログ
三千院 阿弥陀三尊像 【国宝】平安時代
大原三千院の「往生極楽院」にまつられる本尊。中尊の阿弥陀如来が建物より大きいため、天井を舟底型に折りあげています。左右の観世音菩薩と勢至菩薩は「大和坐り(やまとすわり)」で、やや前屈みの姿勢。これは、往生者を迎えにいらっしゃる慈悲深いお姿。
清涼寺(嵯峨釈迦堂) 釈迦如来立像 【国宝】平安時代(中国 北宋時代)
平安時代、中国に渡った僧が、インドから中国に伝来していた、釈迦の姿を彫刻した仏像『優填王思慕像(うでんおうしぼぞう)』を仏師に精密に模刻させ、日本へ持ち帰ったものと伝わります。インド風の頭髪と顔、ボディラインに張り付いた薄い衣の衣文が特徴。
泉涌寺 楊貴妃観音像 【重文】鎌倉時代
その美しさから、中国・唐王朝の時代に、絶世の美女・楊貴妃の死を嘆いた玄宗皇帝が、彼女の美貌に似せて彫らせた仏像が日本に伝来したもの、との伝説を生みました。美人祈願の仏像として、人々の信仰を集めています。
出典: 御寺 泉涌寺|公式サイト|
大報恩寺(千本釈迦堂) 木造六観音菩薩像 【重文】鎌倉時代
均整のとれた美しい六観音像。聖、千手、馬頭、十一面、准胝(じゅんてい)、如意輪(にょいりん)の六観音が、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の六道の世界にそれぞれ配置され、迷える者をあまねく救います。等身大の六観音像が揃って残るのは、希有な例。
※1 この神護寺の「薬師如来立像」は、神護寺の前身寺院のものだったといわれますが、造立時期は定かではありません。平安初期の仏像の特徴が色濃く見られるとされる一方、奈良・唐招提寺の「伝薬師如来立像」(奈良時代)と、衣紋の表現などが非常に似ていることなどから、奈良時代末期の作との説もあります。
混雑期以外は、お堂内で申し出れば、内陣に入らせていただき、近くで拝観することができます。
※2 醍醐寺霊宝館は、非公開時期もありますので、開館スケジュールについては、お寺にお問い合わせください。
※3 「九体阿弥陀堂」は京都を中心に約30ほど建てられましたが、現存するのは浄瑠璃寺のみ。東京世田谷の浄真寺(九品仏)にも九体阿弥陀が現存しますが、こちらは江戸時代のもの。
浄瑠璃寺は京都府木津川市のお寺ですが、JR奈良駅または近鉄奈良駅前からの急行バス利用が便利です。
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