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示談交渉サービス、あなたの保険には付いている?

示談交渉は、「水漏れを起こした」「自転車で歩行者に怪我をさせた」など、日常生活で起こりうるさまざまな損害賠償事故で発生します。しかし、保険には示談交渉サービスが付いていないケースもあります。それはなぜか? 損害賠償事故と保険の示談交渉サービスについて解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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損害賠償事故と保険の示談交渉サービス

私たちの日常にはさまざまなリスクが潜んでいますが、第三者に対する損害賠償に関する事故やトラブルも例外ではありません。

交通事故や自然災害、病気やケガなども大変なことですが、損害賠償事故は自分が加害者あるいは被害者という立場で関係するため、他の事故などとは違う複雑さがあります。
 
保険によっては示談交渉サービスがないものも

保険によっては示談交渉サービスがないものも


加害者側になった場合には、相手に対して損害賠償責任が生じます。相手に誠実に謝罪して損害賠償する必要がありますが、人の感情が複雑に絡むため当事者同士で示談交渉して話をまとめるには大変な労力がかかります。

そこで必要なのが、保険で対応する際の示談交渉サービスです。しかし、自動車保険ならいざ知らず、保険であれば必ず示談交渉サービスが付帯しているわけではありません。損害賠償事故と示談交渉サービスについて解説しましょう。
 

損害賠償と示談交渉サービスが必要なのはどんなとき?

個人の場合、日常生活に起因する偶然な事故で他人(第三者)にケガをさせたり、その人の物(財物)を壊したときなどが対象です。またこれにより法律上の損害賠償責任を負っていることが前提です。

いくつか具体的なイメージができるように例を挙げてみましょう。
  • マンションで風呂の水を溢れさせて階下に水漏れした
  • 飼い犬が通行人に噛みついてケガをさせた
  • 買い物をしているときに、お店の商品を誤って壊してしまった
  • 自転車で歩行者をケガさせた
  • 子どもがキャッチボールをしていて近所の家の窓ガラスを割ってしまった
他にも挙げていけば色々あるでしょうが、マンションの水漏れ事故などは共同住宅では非常によくあるトラブルです。いずれにしてもこうした事故は、誰でも加害者・被害者いずれの立場でも関わる可能性があります。

加害者からすれば、保険で示談交渉をしてもらい、きちんと相手に損害賠償をしてほしいでしょう。被害者からすれば、加害者が誠意をもってきちんと損害賠償してくれるのか気になるところです。保険にも加入していない、個人で損害賠償するにはお金がないではどうにもならないからです。

こうした日常生活にかかる事故は、保険商品としては「個人賠償責任保険特約」でカバーします。賠償と付く保険は第三者に対して損害賠償する補償ですから、個人賠償責任保険特約も例外ではありません。
 

損害賠償する保険にはどんなものがある?

個人の場合には、交通事故であれば「自動車保険(対人賠償責任保険・対物賠償責任保険)」、日常生活全般に起因する事故であれば「個人賠償責任保険特約」が代表的な保険です。後者は、商品などによって個人賠償責任補償(特約)、日常生活賠償責任補償(特約)などと言います。

個人賠償責任保険(特約)は単独加入できる保険はほとんどありません。火災保険や自動車保険保険、傷害保険などに特約として付帯するのが、現在では一般的です。保険の商品名の中に「賠償責任保険」という言葉が入っていれば、何らかのかたちで自分ではなく、他人に対して損害賠償する保険となります。

なお、企業向けの事業保険でも損害賠償する保険が多数ありますが、個人と違い用途や業種などに応じて、もう少し細かく細分化されています。リスクの高い業種などだと案件ごとに稟議が必要であったり、保険契約できない場合もあります。
 

保険会社は必ず示談交渉サービスをしてくれる?

個人賠償責任保険(特約)では、以前は示談交渉サービスが必ず付いているものではありませんでした。もともと損害賠償における示談交渉というのは法律行為にあたり、弁護士などの専門家を除いて示談交渉することはできないことになっています。これは法律で定められています(非弁行為)。

極端な話、誰でも専門知識の必要な示談交渉ができると社会が混乱するので、こうしたことを防ぐためでもあるのです。


保険に付帯する示談交渉サービスを取り巻く状況もかなり変わりつつあります(個人分野の保険)。個人賠償責任保険(特約)などでも、自動車保険や火災保険、傷害保険に比較的、示談交渉サービスが付帯されるケースが一般的になりつつあります。

しかし必ず示談交渉サービスがあるというものでもないので、契約の際には必ず確認しておきましょう。
 

なぜ示談交渉サービスが必要か?

損害賠償事故は加害者・被害者がいるため、他の事故と違う複雑さがあります。どうしても感情が絡みますので、当事者同士で示談交渉するのは非常に労力がかかります。お互いが感情的になってしまえば、当事者者同士の話し合いで示談するなどまず困難です。

被害者からすれば、相手に誠意が感じられなければ感情的になることもあります。感情的にこじれてしまうと冷静な話し合いをするのはなかなか難しくなります。そのため、第三者を通じて示談交渉を進める方がスムーズなのです。

ただし示談交渉サービスがなくても、保険がないよりあった方がいいのはいうまでもありません。
 

示談交渉サービスがなかったら?

万が一、他人に対して損害賠償するような事故を起こしてしまったが、保険に示談交渉サービスがない場合、どうするかをお話ししておきましょう。保険があるなら、勝手に話をまとめてしまわないことです。損害賠償する際、保険会社も被害者の言い値で保険金を支払うわけではありませんから、根拠資料等が必要になります。

示談交渉サービスがないからといって、保険会社や保険代理店も何もしないわけではありませんし、アドバイスはしてくれます。慌てずに保険会社等に相談して、示談交渉を進めるようにしましょう。

示談交渉サービスの付帯は一般的になりつつありますが、既存の保険の確認はもちろん、これから加入を検討する場合にも、自動車保険、火災保険、傷害保険などの保険を利用する際は、チェックは忘れないようにしてください。

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