自動車保険/自動車保険関連情報

車両保険は自動車保険に必要?不要?

車両保険の加入は、自動車保険の保険料に大きな影響がある要素の一つです。しかし車両保険は、対人賠償・対物賠償、傷害の補償と並んで重要な補償の一つ。単純に「保険料が高いからいらない」と考えてはいけません。どんなときに車両保険が役に立つのかを知った上で、必要性について改めて考えてみましょう。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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自動車保険には賠償(対人・対物)、傷害、車両の補償がある

車両保険の有無は自動車保険の補償の中でも私たちが支払う保険料に大きく影響します。対人賠償・対物賠償、傷害の補償と並んで車両保険は、重要な補償の一つです。
自動車保険に車両保険は必要?

自動車保険に車両保険は必要?

保険料の負担がそれなりにすることから敬遠する人もいますが、車両保険が具体的にどのようなときに役に立つのか、どのようなとき必要性が下がるのかを知っておくことが大切です。 その上で自動車保険における車両保険の必要性について考えてみましょう。
   

車両保険の加入率は約4割

自動車保険にはどのくらいの人が加入しているものなのでしょうか? 任意自動車保険の普及率を見てみましょう(2017年度末 日本損害保険協会ファクトブックより)。
  • 対人賠償保険 74.6% 
  • 対物賠償保険 74.7%
  • 搭乗者傷害保険 26.7%
  • 車両保険 44.4%
  • 人身傷害保険 69.3%

対人・対物賠償保険で10年前より7割超でここ数年と比べて大きな変化はありません。搭乗者傷害保険の2003年3月の加入率は61.2%だったので、低くなっています。これは傷害関係の補償では、人身傷害保険を中心に付帯するケースが多くなったためと考えられます。そのため人身傷害保険の加入率が上昇傾向です。

一方、車両保険の付帯率は約4割。対人・対物賠償と比べると少ない加入率にとどまっています。但しこの10年でみるとほとんど横ばいながらも毎年じわじわ上昇しています。ちなみに2007年度末の車両保険の加入率は39.4%です。
 

なぜ車両保険の加入率が低いのか?

車両保険の普及率が低い理由については、一概にこうであるからとは言えません。求める補償のニーズが個々の契約者で様々だからです。しかし、保険料が高いということが理由の1つであることは間違いないでしょう。

車種や自動車保険の契約内容、割引率などによるところはありますが、車両保険の有無やプランによっては掛け金が倍くらい変わることも。また車両保険金額が年々下がっていくことも関係していると考えられます。

200万円で購入した国産の新車でも、例えば10年以上経過すれば車両保険金額がぐっと下がります。車両金額が20万円にも満たないようなら、車両保険だけの保険金請求だと、翌年以降数年の保険料アップの方が大きくなってしまいます。

また、事故相手への賠償と、自分の自動車をぶつけてしまったのでは、かかる手間や精神的・経済的負担は比較になりません。特に事故の相手がいるときは色々面倒になるケースもあります。
 

車両保険の種類を確認しておこう

車両保険の種類について確認しておきましょう。損害保険会社によって多少の差異はありますが、一般的に主軸で販売されている車両保険は以下です。
  • 一般車両保険
  • 車対車+限定A(*)

個人向けの自動車保険では、一般車両保険と併せて各社大体2つの種類の車両保険を提供しています。一般車両保険以外のもう一つの補償範囲を限定する方は損害保険会社や自動車保険の種類によって名称等は異なります。

*エコノミー型、限定カバー型、車対車+A、限定タイプ、エコノミー車両保険、車対車限定危険など。

ほとんどがこの2種類ですが、中にはこれらに加えて車対車の補償のみの車両保険を取り扱っているところもあります。名称の通り車対車の事故の限定した車両保険です。
 

車両保険の種類による補償の違い

「一般車両保険」はいわゆるオールリスクの補償になっていて、補償の範囲が最も広いものです。一方、「車対車+限定A」は基本は対車の事故に限定したものです。そのため、自損事故などのいわゆる自爆は支払いの対象外になっています。車が相手の事故でも、相手が確認できないときはNGです。

例えばスーパーの駐車場で当て逃げされたり、車同士でぶつかったりした事故でも、相手が逃げてしまって誰だか分からなければ対象外です。ただし、対車の事故だけでなく、それにプラスして補償がついています。そのため、小石が飛んできてフロントガラスが割れた、盗難にあった、といったケースでも補償があります。

「車対車+限定A」は「一般車両保険」よりも掛け金が安いので、その意味では検討してみてもいいでしょう。ただし前述のように、車両保険金の支払対象にならない事項をよく理解しておく必要があります。
 

車両保険が役に立つ理由

それでは、車両保険が役に立つ理由とは何でしょうか? 自分でぶつけたらしょうがないと考えている人も多いと思いますが、最も面倒でややこしいのが、相手のいる事故でもめた場合です。具体的な事例で数字を見てみましょう。

【例】
Aの修理代 50万円
過失割合は70%
(←自分の過失・落ち度の割合)   

この場合の修理代は自動車保険でどのように支払われるのでしょうか? お互いに自動車保険を使うのであれば、下記のようにお互いに、自分の過失割合で修理代を分割します。

修理代の合計50万円のうち……
  • 70%(35万円)=自分の過失=Aの自動車保険の「車両保険」
  • 30%(15万円)=相手の過失=相手の自動車保険の「対物賠償保険」
以上の支払い方が基本です。ただし、これは車両保険があっての話。上記修理代のうち、Aの35万円は車両保険がなければ当然自腹になります。またこの【例】のように、過失割合が決まっている場合はいいのですが、過失割合で相手とトラブルになるケースはたくさんあります。
 

車両保険がなく、過失割合が決まらないと一時的に自費?

お互いに話がつかなければ、過失割合は決まりません。決まらないということは、お互いに修理代を負担する金額も決まらないということです。それでは修理代は誰が支払うのでしょうか?

ある程度の期間は修理工場でも待ってくれるでしょうが、あまり長引くようであれば修理工場も困りますから、クルマの持ち主に支払いを求めてきます。先ほどの【例】であれば50万円です。
 

車両保険なら車両先行払いが可能

【例】のような場合、車両保険があれば相手との話がついていなくても、自分の車両保険から修理代の全額を支払ってもらえます。これを「車両先行払い」と言います。車両保険が役に立つのは、まさにこの部分です。

そんなに大きな事故でなかったとしても、相手ともめてしまって解決まで数カ月、あるいは1年以上かかることもあります(修理代の大小に関わらず)。このときの経済的な負担を車両保険で軽減することができます。

注意したいのは、車両先行払いをした後、相手と話がまとまったが、こちらの過失割合が思ったより低い場合などです。これなら自動車保険を利用せずに、自費で支払うと思っても、車両先行払いをしていると保険は利用したことになるケースがあり、翌年以降の保険料がアップすることがあります。

最近では、車両無過失事故の特約が付帯されている自動車保険があります。相手との示談で自分の無過失が確定した場合や、追突事故などで保険会社が契約者に過失がなかったと判断する場合は、翌年の保険料に影響しません。

なお、相手と事故状況の言い分が食い違うことで示談交渉が長引かないようにするために、ドライブレコーダーなどもあるといいでしょう。
 

自動車保険で車両保険が不要になるケースはある?

車両保険がどのようなときに役に立つか分かったと思いますが、逆に明らかに不要なケースがあるのでしょうか。ポイントは車両金額が下がったときです。加入率のところで解説しましたが、新車を購入しても毎年価値が下がっていくので車にかける車両金額も下がります。

2012年(ダイレクト系などは2013年)に大きな改定があって、事故で自動車保険を使うと翌年以降の保険料のアップの負担が大きくなりました。

例えば車両価格が15万円くらいになった自動車で、車両損害だけの場合(相手がいない事故)だと15万円の保険金をもらっても翌年以降の保険料アップの方が負担が大きくなるケースがあります。

仮に車両保険の免責金額(自己負担額)などまで設定してしまったら尚更です。もちろん車両金額が低くても、対人・対物賠償事故が一緒に起きることもあるので一概には言えません。車両金額20万円を切ってくるくらいだとかなり微妙です。手持ちの現預金などの有無にもよりますが、契約先の損害保険会社の担当や保険代理店の人とよく相談してください。

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