損害保険/火災保険の入り方

火災保険をマンションで契約するポイント

火災保険をマンションで契約する場合、一戸建と異なる点に注意が必要です。マンションの評価額の決め方や商品を選ぶ上の注意点を解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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マンションの火災保険、保険料の傾向や評価額の決まり方

マンションの火災保険、評価額や保険料

マンションの火災保険の特徴は?評価額の決まり方は?

マンションに火災保険を契約する場合、一戸建とは違った別のポイントについても気を付けておく必要があります。特にマンション固有の事情を考慮しておくことが大切です。

マンションで火災保険を契約する際の評価額や商品比較、選び方などについて解説します。
   

マンションを取り巻く火災保険の現状

火災保険は2015年10月頃、2019年10月などに大手損保を中心に改定されています(損保によって違いがあります)。改定の背景は、自然災害による保険金支払い増の他に、水濡れ事故、いわゆる漏水事故の増加もありました。

特に80~90年代に大量に建築したマンションの設備が古くなってきており、数が多いことから漏水事故が問題視されています。いずれの改定も地域差はあるもののマンション構造(火災保険ではM構造)の保険料は、一般的に上昇傾向です。そのため適正なマンション管理を行うことが、結果的に保険料の節約にも繋がるのです。
 

マンションの専有部分と共用部分と、火災保険

マンションの場合、少々分かりにくいのが、専有部分(居住している空間)と共用部分に分かれているところです。

専有部分は自分が居住などして専有しているいわゆる部屋の中、共用部分は階段やエレベーター、玄関ホールなど他の所有者と共用している部分をいいます。それぞれについて個別に確認していきましょう。

■共用部分
共用部分については通常、マンション管理組合で契約するのが一般的です。管理組合の理事にでもなっていない限り、どんな火災保険にするのがいいのかなどの議論に加わることは少ないと思います。

ただし自分の生活のリスク管理に関わることですので、どんな火災保険に加入しているのか把握しておきましょう。管理会社にお任せ、丸投げになっているケースも少なくありません。

■専有部分
所有しているマンションの専有部分には、居住用であればこの建物の専有部分と家財に火災保険をつけることになります。専有部分というのが一つのポイントですから、マンションを購入した際の購入額とイコールではないと思っていてください。
 

マンション所有者が住んでいる場合、賃貸の場合

また、所有しているマンションをどのように使っているかで、「何に」「誰が」保険の契約をするかが変わります。

■所有者が自分で住んでいる場合
建物の専有部分及びそこに収容されている家財+個人賠償責任保険 など

■所有者が住まずに賃貸にしている場合
建物の専有部分:所有者
家財:賃借人
賠償責任保険:物件の所有者は施設賠償責任保険、賃借人は個人賠償責任保険+借家人賠償責任保険

マンションの場合には上下左右にもご近所さんがいます。賠償責任の関係の保険の付帯は忘れないようにしてください。
 

マンションの火災保険の評価額

マンション火災保険 評価額

マンション火災保険の評価額は、購入額とイコールではない

マンションの火災保険でよく質問を受けることの一つが、この建物部分の契約における評価額についてです。マンションを購入した際の購入額と評価額はイコールではありません。

マンションを購入した金額には、土地や共用部分の金額も入っていますから、これを考慮します。所有者がマンションに火災保険をつける際の評価額には次のような方法があります。
  • 専有部分+共用部分
  • 専有部分(上塗基準)
  • 専有部分(壁芯基準)
最近はあまりないと思いますがマンション管理組合がなく、共用部分に火災保険をつけていなければ、所有者がそこも含めて火災保険を契約します。今はマンション管理組合があれば、たいていは共用部分に火災保険をつけますから、通常はそこを除いて専有部分のみを考えましょう。

その場合でも2通りの方法があって、上塗基準(壁の内側の面積を基準にする)と壁芯基準(壁の中の中心線を基準にする)方法があります。壁芯基準のほうが面積が広くなりますから評価額も高くなります。

評価額が高いということは、保険料も当然高くなります。

国交省のマンション標準管理規約では、上塗基準としているようです。自分の住んでいるマンションについては、それぞれのマンションの管理規約がどのようになっているのか確認してください。
 

マンションの火災保険の評価額の評価の仕方

マンションの火災保険の評価額の計算方法は以下の2つです。
  • 建築費倍率法
  • 新築費単価法
購入金額が分かっていれば建築費倍率法が使えます。ただ、ここには土地代なども含まれていますので、まずはそれを抜いて計算する必要があります。土地代には消費税を含みませんので、消費税額から逆算すると土地を抜いた金額が分かります。

消費税額÷0.10=建物の金額 
*購入時の消費税率で調整してください。

その上で、専有部分と共用部分の割合を加味します。一般的に専有部分が40%程度、共用部分の割合は60%程度ですので、土地を抜いた金額にこの割合を乗じると大まかな金額が算出できます。

平米単価から算出する方法は、所定の単価表がありますので、これに専有部分の面積を乗じて計算します。上塗基準か壁芯基準かで単価が変わりますので、先ほどお話したようにマンション管理規約を確認してください。
 

マンションの火災保険で必要な補償

マンションの場合、多いのが水漏れや漏水です。原因がすぐに分からないことも多く、そうなると責任の所在がはっきりしません。

上階より水が漏れてきて階下の人が多額の被害を受けた場合、真上に住んでいる人がお風呂の水を溢れさせたのか、共用部分の設備に何か不備があったのか、雨漏りなのかによって対処の仕方が違います。

■漏水等の原因調査費用、賠償責任保険
一つ問題なのが、こうした原因を調査するための費用がすべての火災保険に付帯されているわけではないことです。マンション管理組合専用の保険では、こうしたものが特約などで付帯されているのが一般的です。

マンション管理組合が損害賠償請求を受けた場合の各種賠償責任保険の付帯も同様です。所有者ごとでは個人賠償責任保険の契約があれば問題なしですが、所有者全員が契約しているかどうか分かりません。

漏水などがあったときに揉めるもとにもなるので、マンション管理組合で契約する保険に各所有者の個人賠償責任保険を付保してしまうのも一つの方法です。

■自然災害に対する補償
近年自然災害が多発しています。マンションは一戸建てとは違うので比較的自然災害に強いのが特徴です。

火災保険で自然災害にかかる主な補償は次のとおりです。
  • 風災、雹災、雪災
  • 水災
  • 地震保険
風災などは通常はまず付帯されていますが、水災や地震保険は補償の選びづけが可能です。

マンションの立地にもよりますが、水災の補償は共用部分はともかく専有部分は上階部分であれば必要性は減ってきます。水災の補償には土砂崩れを含みます。近隣に川だけでなく山などがある地域ではこうした点も考慮しておいてください。

同様に風災や雹災、雪災など専有部分は構造上は比較的被害が少ないケースが多いでしょう。可能であれば自己負担を増やして保険料を削減できないか考えてみましょう。

地震保険は人によって意見が分かれるところでしょうが、共用部分は必要でも不要でも自分の考え通りになるとは限りません。必要だと考える場合は、専有部分に地震保険の上乗せ補償を検討してみる方法もあります。

※保険会社によって保険商品の名称や内容が異なることがある点はご留意ください。

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