全国の両爬ファンの皆さん、コンニチハ!!

暑い夏もようやく終わりそうで、いよいよ秋です!
日本の両爬界での秋と言えばイベントの秋!特に元祖ブリーダーズイベントのHBM、大阪のぶりくらは楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?

もちろんブリーダーズイベントの主役は「ブリーダー」のみなさんです。今回は、そんな日本のトップブリーダーとも言えるような方たちをご紹介いたします!!

日本のブリーダー

さて、歴史的には本場USAやEU諸国に後れを取りはしたものの、ここ数年における我が国の両爬飼育愛好界のブリーディング事情も大きく進歩したと言っても否定される方はいないでしょう。

もちろんある個体を飼育している時に、死んでしまったり事故で失ったりすることの「保険」みたいなモチベーションで繁殖を志すのは自然な流れですし、ベビーを見たいという気持ちから繁殖の道を目指したり、単純に自分の飼育技術のスキルアップも繁殖のきっかけです。
しかし、やはりここ数年で急激にブリード熱がヒートアップしているのは前述のブリーダーズイベントの存在を抜きに語ることはできません。
繁殖成功の報告を正々堂々発表し、それを素直に賞賛してくれる場所ができたのですから。

そしてさらに、2006年の動物愛護法の改正もきっかけでしょう。
つまり、「繁殖しました」の報告会という色合いが強かったブリーダーズイベントに出展するためには「業者」登録をしなくてはならない。つまり看板を掲げなくてはいけなくなったわけですから、私を含めて星の数ほどの「にわか業者」が増えたわけです。
その中で、基本的に「自分のブリードした実績を正当に評価してほしい」という意味からかもしれませんが、特に自家ブリード個体に拘っていく方たちが増えてきました。

このような背景もあり、日本でもいよいよ本格的に両爬ブリーダーと呼べるような方たちが台頭してきたわけです。

今回は、そんな背景の中、さまざまなイベントで自家繁殖個体を販売し、ネット上で自分の販売用のサイトを持って「業」として両爬のブリーディングをされている三人のブリーダーをご紹介しましょう。もちろん私の知り合いの範囲ではあるのですけど。

カメブリーダー・胡散臭い~ず

さて、まず最初のブリーダーさんです。
最初は、西日本を中心に活躍されているブリーダーズ集団「胡散臭い~ず」さんをご紹介しましょう。

「胡散臭い~ず」は、ほとんど思いつきと冗談でつけられたネーミングで、実際にはまったく胡散臭くない方たちです。
主に九州在住で水生ガメのファンの方数名が自家繁殖個体をイベントに出展するために集まったことがきっかけで、継続してブリーダーズ集団としてさまざまなイベントに参加されています。

なんと言っても、特に人気種キボシイシガメの国内CBの安定供給に貢献していることがあまりに有名です。

今回は、実は私の家の近所にお住まいで、胡散臭い~ずの中心的な存在でもある宮崎県在住のキボシ亀男さんからお話を伺いました。

キボシさんはクリーパー誌やビバリウムガイド誌でも紹介されているためご存じの方も多いとは思います。
キボシさんのお宅では、庭でさまざまなカメの屋外飼育を中心に行っていて、どちらかというと自然に任せた繁殖を継続的に行っています。しかしながら、毎朝4時くらいに起きて自家製のエサを作るところから世話が始まると言った、きめの細かい飼育が継続的な繁殖の成功に結びついています。

現在、キボシさん個人としてブリーディングを行っている種類はカメだけでも以下の6種類です。
また、今後はプラテミスの名で知られるヒラタヘビクビガメや、人気が高いモリイシガメの繁殖も目指して準備中であるというのですから楽しみです。

さて、これだけカメを多く飼育し繁殖に成功されているキボシさんにも悩みがあります。
それは、飼育スペースの問題。てかヘビメインの私から言わせれば、あの恵まれた飼育環境で何を...って感じなんですが、やはり相手は広い飼育スペースが必要なカメです。いくらあっても困らないのが飼育スペース。住宅街の一軒家では、どうしても飼育スペースの問題で飼育種が限られてしまうとか。
小っちゃいカメ、カワイイ
キボシ亀男さんCBのキボシイシガメたち
画像提供:胡散臭い~ず

なんでも子供さんたちが成長して独立してくれれば、1部屋空くから、そこで飼育部屋ができる、などととんでもないことを考えているそうです。

また、屋外飼育はカメにとって最適な環境ではあるのでしょうけど、その分、私たち飼育者にとっては管理がしにくいというのも気をつけているようです。
特に、カメの個別の体調管理がどうしても行き届きにくいというのは事実であるようで、体調の変化の発見が遅れてしまい大変なことになることもあるそうです。

このようにカメの繁殖にスペースとエネルギーを費やして、さまざまな人気のカメの国内CBを世に送り出しているキボシさんですが、もちろん「胡散臭い~ず」というグループで活動してこそのモチベーションとか、フットワークがあるわけです。
「胡散臭い~ず」がグループとして、現在繁殖が成功し世に送り出しているのは、キボシさんのリスト以外には
そして、グループとして、国内繁殖個体を今以上に多くの方々に適正な評価をしていただけること、そして繁殖も単発で終わらさずに、同じ種類を毎年繁殖できるようになることを目標にしているそうです。

カメは、世界の各国で保護の対象になっている種が多く、今後もこの傾向は変わりません。
胡散臭い~ずの活躍は、これからも水生ガメ飼育の趣味を楽しむための大きな力となってくれることでしょう。

ヘビブリーダー・桔梗屋

さて、それではカメの次はヘビです。
どこの国でもきっと同じでしょうけど、多くの一般の方から忌み嫌われるヘビたちを、なんと言われようともブリーディングし続けることには、大変な努力と忍耐、そして情熱が必要であったことでしょう。そこにポリシーとこだわりを持ち続けて、日本いや世界に通用する実力を持つブリーダーとして知られているのが桔梗屋さんです。

桔梗屋さんは、愛知県在住の個人ブリーダーで、私の古くからの友人でもあります。

なんと言ってもスジオナメラのブリードに関しては、まず日本に右に出る者はいないと言って間違いないでしょう。さまざまな品種を作出した、その実績はスジオナメラに限って言えば世界一でしょう。

桔梗屋さんはスジオナメラに代表されるようなアジアやヨーロッパのラットスネークや北米のラットスネーク、あるいはカナヘビの仲間やスジトカゲの仲間を中心にブリードを行っています。
また、上に紹介したようなあまりブリードが行われていないややマニアックな種類とは対照的に、非常に多くのコーンスネークの品種をブリードされていることでも知られています。
現在、継続的にブリードを行っているヘビの種類はすべてを挙げるとキリがないのですが、代表的な種類はアオダイショウ、コーンスネーク各品種タイリクシマヘビブルガリアラットスネークタイリクスジオミドリナメラライノラットスネークというラインナップです。

また、これまでにさまざまな飼育難易種のブリードも成功していて、今後もさまざまな種類の繁殖に取り組んでいきたいと語る桔梗屋さんですが、とりあえずの目標はジャンセンラットスネークの繁殖だそうです。また同時に、毎年数百匹の仔を得ているコーンスネークの新しい品種の作出も常に目標としています。どうやら今年も何百匹の仔の中に、おそらく世界初なのでは、と思われるような新しいコーンが混じっているとかいないとか。楽しみです。

もちろん、これだけの数のヘビを飼育するだけでなく繁殖、新品種の作出までされているのですから、さまざまな悩みや苦労があるとは思います。その一つは血統の管理と入手です。他の品種の血がどこかで混じっていないか、あるいは地域個体群が異なる個体ではないかというような血統の維持と管理は非常に難しく気を遣うことでしょう。また繁殖のために同じ品種、あるいは同じ地域個体群の個体をペアで揃えなくてはいけませんが、それを入手する機会が限られているのですから、大変です。
たぶん世界初なんでしょうねぇ
桔梗屋さんCBラベンダーアルビノタイリクスジオ
画像提供:桔梗屋

しかし、何よりも大変なのは「維持費」です。
桔梗屋さんとは、よく電話で話をするのですが、一回のエサ代は我々が想像している以上です。これに種親の購入などを考えてしまうと、黒字になどなるわけがありません。もう本当に好きでなければできない。ヘビのブリーダーさんの最大の悩みでしょう。
しかも、桔梗屋さんのブリーディング場を見せてもらったことがあるのですが、ハッキリ言って私たち人間が生活している場所よりも清潔さが保たれています。何よりもヘビは狭い範囲で大量に飼育可能ですから、万一おかしな感染症などが侵入してしまったら瞬く間にそれが広がって壊滅的な打撃を受けるおそれがあるからです。

何よりも清潔に。これが世界に通じるヘビのブリーダーのこだわりです。

ツノガエルブリーダー・NUANCE

さて、最後のご紹介です。
日本のそして、ネット時代のブリーダーの草分けと言えばこの方です。ツノガエルブリーダーNUANCEの大津さんです。

日本で、本格的にペット用両爬の自家ブリーディング個体の生産と販売を生業とし、それを現在も継続しているのは大津さんがその草分けでしょう。またいち早くインターネットでブリーディングの状況やさまざまな情報を提供し続けるというように、ネットを有効活用しはじめたブリーダーさんでもあります。

言うまでもなく、大津さんは最初から現在まで一貫してベルツノガエルクランウェルツノガエルアマゾンツノガエルと言ったツノガエルを中心にブリーディングを続けています。
また他にもモルモットやらんちゅうの繁殖も行っています。このモルモット、激カワユイです。もう犯罪的なカワイサです。

ツノガエルは成体になれば比較的飼育もしやすくペットとして優れていますが、そこは両生類の運命、幼生からの変態というカベを越えなければブリーディングは不可能なわけで、これだけコンスタントに自家繁殖個体を供給し続けるのは想像もできないくらい大変なことなのです。
しかも、最近は次々と新たな品種、しかも世界的に見ても珍しくクオリティの高い新品種を作出しているのですから、スゴイのひと言に尽きます。
もちろん、今後もさらにクオリティを上げつつ、新たな品種の作出をすることを目標にしていらっしゃいます。

そんな大津さんが苦労されているのは、やはりこの世界で長い間やってきたからこその視点であるようです。それは繁殖個体の安定供給と調整、つまりいつでも必要な量を流通させるとともに、過剰供給にならないようにすることです。過剰供給になってしまえば、価格は下がりますが、その分、大切にされない個体が増えてしまうのも事実です。丹誠込めて育てた個体がぞんざいに扱われてしまうことほどブリーダーにとって残念なことはないでしょうから。

さらに何よりも、生業としてやっていくために不断の努力も必要とされているのも事実です。つまり、他のブリーダーと区別できるほどグレードの高い個体を生み出し、その質を絶対に下げていかないことを、常に念頭に入れて繁殖にあたり、そのグレードに納得して高価でも販売できるようにならなければ、自分の地位を継続できない、ということです。
ちょ、ツノガエルってこんな幽玄でしたっけ?
NUANCEさんCBツノガエル色彩変異
画像提供:NUANCE

両爬ブリーディングの世界でも、他の経済活動と同様にデフレでは、販売側にとっても購入側にとっても行き詰まりを見てしまうだろうと考えていらっしゃいますし、私もそう思います。
特に、大津さんが販売しているツノガエルたちを見ていると、本当にそれは説得力のある話だと納得できます。

今後の目標は、とにかく品質の向上、新品種、特にオリジナルの品種の作出を続け、一つの品種でもさまざまな個体がいて、多くの方々に常に興味を持ち続けてもらえるようにすることだそうです。

とにかく、ツノガエルに興味がない方も、一度イベント等でNUANCEの出品個体をご覧下さい。絶対にツノガエルを見る目が変わり、興味を持つことができるはずですから。

というわけで、現在の日本を代表するようなブリーダーの方、3名をご紹介いたしました。

もちろんWCあってこそのCBですし、JRSのように多くのWCを見ることこそが両爬愛好の楽しみの基本ではありますが、それをさらに昇華させることができるのがCBの流通ですし、国土の狭い日本では将来的にCBに頼らなくてはいけないのも、また事実。

両爬飼育者すべてがブリーダーになることができる環境になった今、このようにこだわりを持ち、常にニーズとサプライの関係を広い視野で見ることができるブリーダーさんたちが両爬CB大国日本を作り上げていくことでしょう。

<関連リンク>
胡散臭い~ず
桔梗屋
NUANCE

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。