全国の両爬ファンのみなさんコンニチハ!!
前回から一ヶ月という、実に間延びしてしまい、もはや読んでくれる人なんているのか!?という感じで始まりました、星野の「オーストラリア旅行記・完結編」であります。

<前回までのあらすじ>
始めて両爬の聖地・オーストラリアはケアンズへ行って、いろいろな野望を抱いていたものの、ズグロパイソン以外は、ちょっとイマイチな成果のここまででありました。でも、変なスキンクと変なカエルはたくさん見られて、結構楽しい。
詳しくは
「オーストラリア旅行記・その1」
「オーストラリア旅行記・その2」

では本編の始まり始まり。

▼三日目・昼の部―ヤケクソで大冒険―
さて、三日目であります。というか明日の最終日は午前中の飛行機で発つために、フィールディングの実質最終日です。
さあ今日の予定は...というと実はこれが何にもできていないのでした。この背景には二つの複雑な感情が絡み合っています。つまり
「昨日のズグロパイソンで、もう満足してしまおうかな...」

「昨日まではズグロ以外はイマイチだしなぁ。今日もダメかも...」
です。
しかし、ここで大変なことに気づきました。
「カメ見てないよ...」
そうです。ここオーストラリアはカメこそ独特なのです。ご存知のようにオーストラリアのカメは、スッポンモドキ以外はすべて曲頚類なのですから、これはぜひ見なくてはいけません。昨日のアボリジニも「この川にはカメはたくさんいるぞ」などと言っていたし。
というわけで最終日の大きな目標はカメを見ることになりました。

◇いざ大冒険!!
その目標を掲げて、いざ出発です。今日もまたケアンズは快晴。雲ひとつありません。
途中、夕べ、山の岩場で捕まえたヤモリたちの写真撮影を行います。捕まえたときは、何のことはない壁チョロでしたが、こうやって改めてみると、ビロードヤモリはじめ、やはり個性的です。
ビロードヤモリの一種Oedura rhombifer


採集した場所に立ち寄って、いかにも不自然な真昼間のヤモリ撮影会を終え、ヤモリたちにはお礼を言ってもといた場所に逃がします。
Bynoe's GeckoHeteronotia binoei


次に行く場所を車の中で考えていると、同行の友人が
「ちょっと珍しいイワトカゲの基産地が近くにあるから行ってみませんか?」
との提案。
慰めではなく、こういうのは結果はどうでもいいんです。本当に。明確な目的を持って、それを達成するために、自分たちがどこまで頑張ったか、が後悔しないための最大のミソなのです。地図でその場所を確認して、出発!!

...って、おい、遠いよ~!!!
特に、初めての行程は、余計に遠く感じます。
途中、道路上で轢かれていた、結構大き目のヘビの死体に駆け寄れば、これまた生きていたら、恐ろしいブラウンスネークの一種。うーん、生きたヘビを見たい...

結局、昼前に、個人的に今回最も気に入った町であるアサートンにやっと着いたので、ここでテイクアウト専門の、日本で言うところの弁当屋に寄って、なんだかわからない食料と飲料水を調達。それでも目的地はまだまだ先です。

いよいよ山の中に入り、未舗装道路が多くなってきます。途中、山の中の岩場を自由に跳ね回るかなり大きなカンガルーの一種を見て、
「ああ、このカンガルーは日本で言うところのカモシカなんだろうなぁ」などと適応放散を生で見て感激したりしていましたが、道はどんどん心細くなっていきます。
頼りは、なんだかえらい縮尺の地図のみ。地図上に集落の名前があっても、実際は家が一軒あるだけだったりします。ついには道を間違えて、でたらめなダートをやっとこ通り抜けたと思ったら、こんな山奥で何をしているのか?と本気で悩んでしまうような場所の家の庭先に入ってしまったりと、なかなか目的地に着けません。

◇廃村の丘
しかし、それでもようやく目的地に到着しました。この頃には心身ともに疲労はピークだったのですが、その場所の絶景は、そんな疲れも吹き飛ばしてくれました。
苦労してたどり着いたその小高い丘は、残念ながらイワトカゲがいる、というイメージとはかけ離れた場所でありました。
何となく、もう一度訪れたい


しかし、その草に覆われた小高い丘には、かつてそこに多くの人間が生活し、何か大きなドラマがあり、今は人も近づきがたいような場所になっていることを物語るモニュメントがありました。残念ながら英語で書いてある説明は理解できませんでしたが、なんだか苦労してここまで来てよかった、と妙な感慨にふけりました。
それでも、もちろん両爬を探すことは忘れません。よく目を凝らせばイワトカゲはいませんが小さなヤモリとヘビメトカゲの一種の姿を見ることができました。ただし、落ちていた鉄板をはぐったその下にゴケグモの一種がいたときは、さすがに冷や汗が出ましたが...

その小高い丘でかつてあったであろう、人々のドラマに思いを馳せながらアサートンで買った変な弁当を食って、そこを立ち去りました。なんだか、この場所は妙に気に入ってしまって、きっとまたケアンズに来たときは、訪れてしまいそうです。

山を下りてアサートンに戻る途中に自然発生した山火事に遭遇したりと、なかなか楽しい道中でした。そうこうしているうちに、ついに最後の目的地に到着しました。
マジ、山火事

▼三日目・夜の部―ヘビに最後のチャンス、カメは...―
さて昼間のうちにカメがいそうな場所はチェックしていましたので、その町には夕方前に到着しました。時間つぶしに町をぶらぶらしていると、いわゆる観光案内の事務所を発見。
試しに入ってみると、壁にヘビやらトカゲやらカエルやらのポスターが貼られていることに気づきました。ちょっと期待して、事務所にいたおば…失礼、ご夫人に
「この辺でヘビは見られますか?このポスターにあるようなヘビが見たいんですが。」
と言ったつもりのカタコトの英語で聞きます。
「この手のヘビは結構、ここら辺では一般的なヘビですよ。ただ、タイパンには注意して下さいね。タイパンは『dangerous snake』どころか『deadly snake』ですから。咬まれたら『easy to die』ですよ。」
怖いような楽しみなような言葉を頼りに、夜に最後のヘビ探しをすることを決意しました。

◇ゴキブリとカメの町
ところでこの町には小さなペットショップがありました。よく考えてみたら、オーストラリアとはいえペットショップはあるんです。
で、ちょっと中に入って、どんな生き物が売っているのか覗いてみました。
基本的には鳥や小動物なのですが、観賞魚もかなり多く扱っています。基本的には日本で売っている一般的な熱帯魚ばかりですが、興味深かったのは「金魚」がとても多く売られていたことです。特にリュウキンやシシガシラのたぐいが目に付きました。ところが、店の奥のほうを覗いてみると、何やら怪しげなプラケが...こういうのこそ食指がそそられるってもんです。なんとそこには世界最大のゴキブリ「ヨロイモグラゴキブリ」が!!
これこそ日本のゴキブリマニア垂涎の種であります。しかも日本では数万円以上は下りません。で、ここではいくらで売っているのかと、聞いてみたところ...すいません。言われません。さすが地元。

◇公園のトカゲたち
さて、陽の高いうちにカメを何とかしようと、ポイントである公園に行ってみます。
目をつけていた池には、やはり、時おりカメが水面に姿を現します。
では、網で捕獲するか、と考えたのですが、さすが公園だけあって、人の目がかなり気になります。これは人の目がなくなるまで待とうということになりました。
その間に、何かいないかと公園内を散策すると、さすがオーストラリア。大物はいませんが、ちょっとした木陰に行けば、小さなトカゲがうろちょろしています。
特に興味深かったのがウォータースキンクの一種です。見た目は単なるマブヤですが、逃げるときに、本当に水の中に飛び込むことに感動。

ところが、ふと目を水面に覆いかぶさっている木の方にやると、なんとそこには大きなヒガシウォータードラゴンがじっとしているではありませんか。
これぞウォータードラゴンという御姿・突き落としたわけではありません


初日にウォータードラゴンには出会いましたが、すぐに逃げられてしまう有様であったわれわれは、こんな身近なところで彼らに出会えたことに感謝しました。しかもよく探せばそこら中にいます。捕獲はできませんでしたが、バシバシ写真だけは撮りまくって、最後にこんな大物にたくさん出会えた感慨にふけりました。
けっこうカッコイイし、キレイ


日も暮れかかって町の郊外へヘビ探しに出ますが、残念ながら最後のヘビ探しも空振りに終わってしまいました。特に、ジャングルカーペットなどは、オーストラリアのこの周辺に分布しているはずなのですが、まったく出会うことができませんでした。日本ではずいぶんと値が安くなってきましたが、やっぱりもっと高価でいいのでは?という考えも頭をよぎります。

◇曲頸ゲット!!
いよいよ公園の人たちもいなくなって、堂々とカメ探しができるようになりました。
暗くはなってきましたが、まだ何とか頑張れば捕獲の可能性がありそうでした。
暗いので、足元に注意をして浅いところにカメがいないか探しました。
十数分探して、なんとかようやく手の届きそうな場所でのんびりしているカメを発見。
苦労して捕獲してみたそのカメは甲長20cm近くある大物。曲頸にはあまり詳しくないのですが、友人の言うにはクレフトヨコクビEmydura krefftiという種類。日本ではたまに入荷される程度の、どちらかと言えば日本の流通シーンでは珍しい種類。これもバシバシ写真を撮ってリリース。
カメその1・うそです。クレフトマゲクビです


他にもいないかと探しますが、やはり夜、カメは寝ているようです。
ところが、これまた手の届きそうな浅い場所にカメを発見。先ほどのクレフトよりは一回り小さいのですが、これも頑張って捕獲。私には「きったねーカメ」なのですが、友人は愕然。
「こりゃ、日本にはほとんど入ってこないノコヘリカブトガメElseya latisternumですよ!!」
ゴメン。勉強不足の私には価値がわかりませんでした。
カメその2・ノコヘリカブトガメです


何にしても珍しいのならば写真は撮っておきましょう。撮影のためにあちこちいじりまわしていると、突然、件のカメは英名通りSnapping Turtleに早変わり。ガンガン咬みついて来ます。ま、こんな経験はしたくてもできないだろうから、とそれもまた楽しませてもらいました。

最後に、カメの比較的大物を手にすることができた私たちは、潔くこのカメでオーストラリアのフィールディングの幕を閉じました。

ホテルに戻った私は、今回の成果を頭の中で回顧しつつ、なんちゃらいうオーストラリアのビールをあおってベッドにもぐりました。
▼最後に
翌日は朝から帰国の準備に追われます。
残念ながら一般のパックツアーですので、まったく関心のない免税店での買い物に連れて行かれて時間を割かれたのですが、ま、これも海外旅行の宿命かと、ぶらぶらとケアンズの町を歩いて時間をつぶしました。

ケアンズの空港では噂通りの厳しい持ち物チェックがあり、改めて「オーストラリアから野生の動物を持ち出そうなんて考えない方がいいな」と実感しました。ちなみにさらに到着した国内の空港でも手荷物のチェックがありますので二重のチェックになります。ただ、日本国内のチェックの方はCITESに触れる生き物だけですが。

帰りの飛行機で考えていたことは
うーん、オーストラリアといっても成果が上がるわけじゃないんだなぁ。沖縄の方がおもしろいかもなぁ」だったんです、飛行機の中でオーストラリアで一番の有名人であるクロコダイルハンター・Steve Irwinがオーストラリアの生き物を紹介する番組を見るまでは。その映像の中には、まさに私がオーストラリアを訪れる前までに想像していたオージーハープたちの姿がありました。
砂漠のど真ん中で堂々としているレースモニターやペレンティ。熱帯雨林のアメジストパイソン。ブッシュの中から現れて極度の緊張をもたらすコブラ科の面々。夜の砂漠でちょろちょろしているオニタマオヤモリ...
おいおい。やっぱりいるんじゃん...

いつもの、この言葉で旅行記の幕を閉めましょう。
よーし、次はいつ来ようかな!!

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<関連サイト>
All About Japanオーストラリアサイト
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