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ペットフードの大量リコール

カナダのペットフードメーカー、メニュー・フーズ社製造のフードの大量リコールのニュースを取り上げています。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

カナダのペットフードメーカー、Menu Foods, Inc.(メニュー・フーズ社)は3月16日、2006年12月3日から2007年3月6日までに出荷した犬と猫用のペットフードの大量リコール(回収)を発表しました。
それにより、北米・アメリカ、カナダで販売された95ブランド、約6000万個の缶詰が回収されました。

カナダのオンタリオ州にあるメニュー・フーズ社は米小売り大手ウォルマート、クローガー会社、セイフウェイなどのブランド名の商品ほか、国際的なブランドのペットフードも製造しています。
今回のリコール対象商品として発表された中には、日本でもなじみ深いメーカーの名前が多数ありました。
ただし、このリコールの対象商品は合衆国、カナダ、およびメキシコで販売されたものなので、正規の輸入元から販売される商品として日本国内には入っていません。

このように、現時点では、日本国内に流通しているフードは安全である、と発表されていますが、今回、なぜこのようなことが起こってしまったのか?今時点で届いている様々なニュースを元に検証してみたいと思います。

メニュー・フーズ社の発表しているリコール対象商品はこちらで確認できます。
http://www.menufoods.com/recall/index.html

リコール対象商品の各ブランドは、それぞれ日本向けの商品が安全であることを下記で発表しています。
日本ヒルズ・コルゲート株式会社
アイムス・ジャパン株式会社
ナチュラルバランス日本正規総発売元 株式会社 プライム
ニュートロ レッドハート株式会社

リコールにいたった経緯

昨年12月3日以降アメリカ、カナダ、メキシコの店頭に並んだ、メニュー・フーズ社が米国エンポリア(カンザス)の工場で製造したペットフードを食べた犬や猫たちの中に食欲不振や虚脱感・嘔吐といった症状を経て、腎不全で亡くなる子が出てきました。

2月中旬に4頭の猫と1頭の犬の死亡をそれぞれの飼い主がメニュー・フーズ社に報告、その後メニュー・フーズ社内の実験室で、問題のフードを食べた9頭の猫が死亡。

そこで、メニュー・フーズ社はFDA(米国食品医薬品局)に3月16日リコールを届け出ました。

3月23日、New York State Department of Agriculture & Markets(米農務省)は、メニュー・フーズ社から提供されたサンプル原料の中の中国産の小麦グルテンの中から"Aminopterin(アミノプテリン)"と呼ばれるネズミの駆除剤に使用される殺鼠成分を検出したと発表しました。
アミノプテリンは、人間において発ガン性や奇形を起こすことが知られており、犬や猫では腎臓に大きな障害をもたらします。
アミノプテリンは、アメリカでは使用を禁止されています。

今現在では、どのような経緯でこのアミノプテリンが混入したかわかっていません。また、アミノプテリン以外のものが混入しているかどうかもわかっておらず、現在FDA(米国食品医薬品局)は中国から輸入された小麦グルテンについて引き続き検査中だそうです。

今回のペットフードのリコールで少なくとも15頭の犬・猫が死亡したとされており、メニュー・フーズ社はリコール対象の商品で死亡したと確認された場合は、死亡に対する支払いを行う、と発表しています。

今現在も体調が悪くなっている犬や猫がいるそうで、今後死亡数が増える可能性が高いと懸念されています。また、死亡したペットの飼い主からは、すでに起訴が起こされているそうです。

今回のリコールの余波

まず最初にガイドが唖然としたのは、一流ブランドとして流通しているペットフードのすべては、それぞれのブランドの自社工場で製造されていなかったということです。

各メーカーは、創意工夫を凝らしたフードを宣伝販売していますが、それらが他メーカーの商品と同じ工場で製造されていたと知り、驚きを隠せません。
それぞれのフードメーカーはライバルではないのでしょうか?
同じ工場で製造されているということは、ブランド名とパッケージとそれぞれの成分配合は違うけれど、もしかして原材料は同じ?ということ?
私たちは、今後購入しようと思うフードがきちんと自社工場で製造されているかどうか、どうやって確認すればよいのでしょう?

実験室の動物に与える前にすべきことはなかったのか?

ガイドが遺憾に思うのは、メニュー・フーズ社がFDA(米国食品医薬品局)にリコールの届け出をする前に、同社の実験室の猫にそのフードを食べさせたというニュースです。
自社が製造したフードが原因かも知れない、とわかっていたのなら、猫に食べさせる前になぜそのフードの成分調査をやらなかったのでしょうか。
13日にリコールの届け出をして、そのわずか10日後にはアミノプテリンという毒素が発見されているのですから、前もってそれを知ろうとする努力があれば実験室で9頭もの猫が死ぬ必要はなかったのに…と残念でなりません。

余談ですが…

10年以上前のガイドの経験談です。
我が家の猫たちのお気に入りの缶詰を、いつもの店で大量に購入。新しく購入した缶詰を開けて猫たちに与えましたが、1頭も口を付けません。
おかしいなぁ。いつもと同じ商品のはずなのに?
と前に購入したときに残っていたものと、新しく購入したもののラベルを調べてみると、以前に購入したものの原産国はタイ、新しく購入したものはインドネシア産となっていました。

ひとつの皿にタイ産とインドネシア産の同じブランドの缶詰を並べて入れると、猫たちはタイ産の缶詰に口をつけ、インドネシア産には目もくれません。

人間レベルの目と鼻では全く区別がつきませんが、猫たちにははっきりと違いがわかったようです。すぐにメーカーに電話をすると、インドネシア産の缶詰を引き取って、タイ産の缶詰に交換してくれました。
交換されたタイ産缶詰は、問題なく猫たちのお腹に入りました。

なぜ猫たちがインドネシア産のその缶詰を食べなかったのかは、今に至って謎のままですが、それ以降同じ缶詰であっても購入前に必ず原産国を確認するようになりました。

今回のようなニュースを聞くと食べてくれなくて良かった、と心底思います。


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■参考リンク
リコール ペットフードの原料から駆除用毒物を検出(07/03/24)
殺鼠剤の混入が判明、加企業のペットフード 死亡例も 2007.03.24 Web posted at: 18:29 JST- CNN/AP
リコールペットフードから検出された毒物に関する報告(英語)
FDA News(英語)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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