記事:前ガイド戸松 佐恵美


みなさんのお宅では猫ちゃんに何を与えていますか?
ドライフードでしょうか、それとも猫缶?それぞれを混ぜている方もいると思いますし、ご自身で作っている、という方もいらっしゃるかもしれません。
ガイド宅では、昼間はドライフード、夜は猫缶という具合に与えておりますが、与えている量や内容などについて、時々ふと「これで正しいのだろうか」と不安がよぎる事があります。
自分への反省も込めて、今回は「猫」という動物をペットとして飼う場合に、健康を害さない食餌の与え方を考察してみました。
※本文中の猫写真は文章とは何ら関係ありません。

◆目次◆
1)猫は肉食動物
2)猫に必要な栄養素
3)ステージ別に与え方を変えよう
4)病気にさせない為に
5)これはあげていいの?


1)猫は肉食動物



言うまでもなく、猫は肉食動物です。しかしながら、スーパーなどの猫缶売り場へ行くと魚の缶詰ばかりが目につきます。これは、日本が島国で、周りを海に囲まれているから自然とこうなったというように聞いています。
ですが、本来は肉食動物な訳ですから、猫に必要な栄養素は肉食動物が故に
動物性蛋白質を主としたものであり、魚の缶詰だけを与えていたら当然栄養が偏る事になり、病気の元にもなり得ます。

また、本来なら小動物などを捕食するのが肉食動物ですから、捕まえた獲物を時間をかけて少しずつ食べて、飽きたらそこに置いてまた後で食べる・・・などという食べ方をする筈がありません。他の動物に奪われてしまうからです。
よって、短時間に食べ切るように体が出来ているので、いつまでもだらだらと食べさせないようにする事が大切です。置き餌の形にして、常にお腹が一杯の状態を作る事は膀胱内の尿を酸性化させ、尿結石を作る素にもなります。
>>>参考:「FUS/猫秘尿路症候群

2)猫に必要な栄養素


一般に猫に必要な栄養素は以下の通りとされています。
たんぱく質:成猫全食餌量の25%、脂肪:全食餌量の25-30%、炭水化物:全食餌量の33%以内、ビタミンA :200IU、ビタミンB2:0.5mg、ビタミンB6:0.3mg。ビオチン:950mcg、ビタミンD:150IU、ビタミンE:5mg
(参考文献 家庭の猫の医学著・デヴィッドテイラー アスペクト社)
これら全ての栄養素を正しい量とバランスで給餌する為には、やはりキャットフードを与える事が簡易であろうと思われます。
昨今では実に種々多様なキャットフードが出ており、どれを選んだらいいのか迷う所ではありますが、成分表などをよく吟味して、上記の栄養素が網羅されており、秘尿路結石の素になる成分を控えてあるもの(FUS対応フード、などと書かれています)で、なおかつ、猫がその栄養素の必要量を満たす分量の食餌を喜んで食べるもの、つまり嗜好性の強いものである事が必須となります。
最近では「グルメタイプ」などと書かれた、栄養価が高く嗜好性の強いものも多く見かけますが、その手の食餌ばかりを与えると食いつきはよくても肥満の素になりますので、注意が必要です。



3)ステージ別に与え方を変えよう



人間でも、赤ちゃんと青年期、また老齢化してから食べ物が違ってくるように、猫もそのステージによって、必要とする栄養価も量も変わって来ます。

よく間違えてしまうのですが、子猫の時に「ミルク」を与えようとして牛乳を飲ませてしまう人がいますが、猫は肉食動物で、牛は草食動物ですから、同じミルクでも成分が違います。よって、子猫に牛乳を与えると下痢を起こしたりアレルギーを起こしてしまう事がありますので、猫に牛乳を与えてはいけません。人間用の粉ミルクも同様の理由により、与えない方がよいです。猫には猫の粉ミルク。今は少し大きなペットショップに行けば簡単に手に入りますので、必ず猫用のミルクを与えて下さい。
また、よく「うちの子猫が異常に食べたがるのですが、与えていいのでしょうか?」というご質問を頂きますが、子猫はこれから大きくなる為に栄養を必要としているから、食物を求めるわけですから、基本的には食べたがるだけ与えていいと思います。ただし、半年を過ぎて、子猫から幼猫になる頃少し注意をしてやらないと肥満猫になってしまいますので猫の体型と相談しながら量を加減してやって下さい。

猫の肥満についてですが、よく「うちの猫お腹がたるんでいるのですが・・太りすぎですか?ダイエットさせた方がいいのでしょうか?」というご質問も頂きますが、従来猫はお腹が垂れている体型です。猫だけでなく、猫科のライオンもトラもみんなお腹がたるんでいると思います。
猫の肥満はお腹ではなく、背中でみます。撫でて背骨を掌に感じる程度が丁度よいので、よく触らないと背骨が分からない猫ちゃんは要注意です。もっとも、その位に太っていたら見た目にも「太ってる」と分かるくらいではあろうと思いますが。
大人の猫になってからは、タウリンをきちんと摂取させる事とFUS(秘尿路症候群)にさせない事を中心に食餌を考えてやりましょう。
タウリンは猫には欠かせない栄養素で、欠乏すると失明したり心筋症になったりする重要な栄養素です。これは、植物には含まれませんので、動物性タンパク質を摂取させる事が不可欠となります。
つまり、あまり難しく考えなくても市販のきちんとしたドライフードなどを与えていれば、そこに含まれてはいるので、ドライフードの成分表をしっかりチェックしてタウリンがきちんと含まれているものを選んであげましょう。
FUSについては、対応フードと書かれているものがありますので、そういうものを選んであげる事を心がけてください。

妊娠している猫は、これも人間と同じですが、栄養をお腹にいる子猫にとられてしまいますので、普段よりも高カロリーな食餌をさせてやってください。
逆に、言うまでもなく肥満している猫にはダイエット食などを与えて、低カロリーな食餌を与えます。

7歳を越え、老齢化してからの猫に高カロリーな食餌を与える人がいますが、これは間違いです。年齢と共に運動量が減少しますので、必要なカロリーも減少します。よって、老猫には低カロリーな食餌を与え栄養過多になるのを防ぎます。また、便秘がちになるので食物繊維を与える様に心がけましょう。
>>>参考:「老猫のケア


4)病気にさせない為に


何度となく書いておりますが、猫にとって伝染病以外で怖いのは「肥満」と「泌尿器系の病気」です。人間が飼う事によって必要以上におやつや人間の食べ物などを与えてしまうことから栄養過多になり、肥満をひきおこし、その事が原因で様々な疾患を患う猫が増えています。特に、避妊後のメスは太りやすいので糖分と塩分には十二分に気を付けてやってください。

また、猫はエジプトが発祥の地で乾きに強い動物故、水をあまり必要とせず尿が他の動物より濃い動物です。その為に秘尿路や膀胱、腎臓などに疾患ができやすい動物でもあります。
石を作らない為に飼い主さんが気を付けてあげて欲しいと思います。
>>>参考:「FUS/猫秘尿路症候群

猫は体内でビタミンなどを作れない事から、毛ににじみ出てくる成分を舐め取って体内に摂取するためにグルーミングを行います。その時に、毛も一緒に飲み込んでしまうので、胃の中に毛の塊ができますが、これを「毛玉」と呼びます。この毛玉は、通常は本猫の意思によって外へ吐き出されるのですが、まれにこれをうまく吐き出せず腸に回ってしまって腸閉塞などを起こしてしまう個体もいるようです。昨今では、こういう事がおきないように、体内の毛玉を溶かす成分を混ぜた食餌も開発されておりますので、長毛の猫を飼われている方などは特にこういった食餌も与えてあげるとよいと思います。
5)これはあげていいの?



最後に、「猫に食べさせてはいけないもの」をいくつかあげておきます。
・タマネギ
タマネギだけでなく、長ネギ、ニラなどにも含まれる(猫にとって)有害な物質が貧血をおこさせます。
タマネギと一緒に煮込んだものは、ネギ本体を取り除いてもエキスが出ていて同じ事ですので、ネギの入っている食べ物一切を与えてはいけません。
・あわびの肝
あわびの肝を食べると体内で毒素が発生し、その後日光に当たると耳などの薄い組織が壊死して落ちる事があります。
・チョコレート
チョコレートに含まれるカフェインやデオブロミンという成分により不整脈・呼吸困難・心不全などを起こす事があります。
・お刺身
生の魚には、ビタミンB1(チアミン)を破壊する酵素がたくさん含まれていますので、刺身を食べさせる事によって、ビタミンB1不足を引き起こします。
・青魚
アジやイワシなどの背の青い魚ばかりを与えると、ビタミンEの欠乏を引き起こし、イエローファットという脂肪組織が炎症を起こす病気にかかります。必ず、ビタミンEを 一緒に与えましょう。
・鶏の骨
鶏の骨は鋭く縦に割れるため、喉や消化器官に刺さって傷つけることがあります。
・かまぼこ
魚の加工品なので猫は喜んで食べますが、塩分が強すぎます。
・かつおぶし/海苔
少量なら問題ありませんが、マグネシウムを多く含んでいるので大量に与えると尿結石の素になります。
・ミネラルウォーター
人間に良いとされている水なので、猫にもよさそうに感じますが、カルシウムやマグネシウムを多く含んでいるため(特に海外の製品は)、尿結石の素となります。
・ドッグフード
猫には、犬の二倍の脂肪とタンパク質が必要です。また、アルギニン栄養素も必要で、犬にもこの栄養素は必要なのでドッグフードにも含まれてはいるものの少量であるため、猫には足りません。猫に一番大切なタウリンは、犬は体内で合成できますが猫はできません。タウリンが不足すると失明したり心筋症などを引き起こしてしまいます。その他にも犬は体内で作れるのに猫は作れないというものがいくつかあるため、ドッグフードだけを与えていると栄養障害を起こします。
犬と猫は同じ肉食動物であり、人間に猫と同じようにペットとして飼われているため、何となく猫と同類のように思われがちですが、犬と猫とは本来全く違う動物です。つまり、猫に鷲の食べ物を与えてもいいですか?と聞いているのと同じと思えば答えはおのずからNOである事が分かると思います。
・ねこまんま
いわゆる、残りご飯にみそ汁をかけたものですが・・・肉食動物に植物を与えている上に塩分が強すぎますので、論外です。
>>>参考:「猫にイカを食べさせると腰を抜かすか

ペットとして飼育している猫の健康管理は飼い主さんの役目であり義務であると思います。
正しい食餌を与える事で避けられる病気は沢山あるはずですので、ほんの少し気をつけて、可愛い猫ちゃんには一日でも長く健康で長生きしてもらいましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。