昨今では犬を取り巻く環境も少しずつ変化をしてきていますが、その裏で、依然として捨てられる犬・命をまっとうできない犬達も多くいる現実を忘れてはいけません。一頭でもそうしたコを減らすためには、どうしたらいいのでしょうか? 

自分も何か貢献したい。そういう人達に向けて、そのきっかけづくりをしてくれるワークショップに足を運んでみました。

=Index=
・一冊のフリーマガジンから生まれた“アクション”
・講義の様子と参加者の声

一冊のフリーマガジンから生まれた“アクション”

パネルディスカッション
今回のテーマは、“あふれる情報のうそ、ホント”。
犬の情報誌であるフリーマガジン『ONE BRAND』をご存知でしょうか? 2006年1月に創刊となり、犬と暮らす人達に向けて、そのライフスタイルを提案し、情報発信に努めてきました。当初より、ドネーション(寄付・貢献)マガジンとしてのスタイルをとっており、単に情報を発信するのみならず、飼い主としてのマナーやモラルの向上を目指し、誌面上で啓蒙活動や寄付を行ってきた点は、雑誌として特筆すべき点です。

「いろいろな取材を進めていく中で、近年のペットブームと呼ばれるものの裏側では、多くのコ達が捨てられたり、命を落としているという事実に直面し、なんとかしなければ……と思ったのが、“ONE LOVEプロジェクト”というものを始動させるきっかけとなりました」

とは、『ONE BRAND』編集長平田さんの言葉。

“ONE LOVEプロジェクト”とは?

ラジオパーソナリティ青木さくらさん
パーソナリティを務めた青木さんは、ドッグヨーガインストラクターなどの資格ももっていらっしゃる。
その“ONE LOVEプロジェクト”とは、1頭でも多くの犬を救うためにドネーション活動を行い、そこから得られたものを保護団体などに寄付する、そして、犬を捨てるような飼い主を一人でも減らすために『ONE BRAND』誌上のみならず、同社のwebサイトやテレビ、ラジオなど多くのメディアを通して啓蒙・PR活動をしていくという、二つの主軸から成り立っています。

この活動には著名人らも賛同しており、たとえば、プロゴルファーによる、トーナメント戦で獲得したパット数によってドネーションされるというようなスタイルのものもあります。一般の方の参加方法としては、“ONE LOVEプロジェクト”のwebサイトより、ワンクリックすることによって協賛企業の募金から10がドネーションされる他、グッズを購入する、ONE BRANDサポーターに加入することでドネーションすることもできます。

寄付金の総額や、寄付される団体名など、上記webサイトの中にてクリアに公表されておりますので、興味がおありの方は、確認してみてください。

“ONE LOVEプロジェクト”から“ONE LOVE ACTION!”へ

ドッグジャーナリスト臼井京音さん
ドッグジャーナリスト臼井京音さん。多くの情報の中から、何をどう判断するか。その目を養うヒントについて熱弁。
さて、“ONE LOVEプロジェクト”がスタートしてから1年半が過ぎた今年の秋、その活動は更なる展開を見せます。活動を続けていくうちに、読者さんからも「一頭でも不幸なコをなくすために、自分にできることが何かないのか?」といった声が多く寄せられていたことが、新たなる活動を始動させるための大きな弾みとなりました。

名づけて、“ONE LOVE ACTION!”。〈捨てられる犬をなくすために、自分達ができることから始めよう〉をテーマに、犬の殺処分ゼロを目指し、それぞれの人の想いや力を、ただ頭で考えているだけではなく、実際に行動、つまり“アクション”に移して、少しずつ現状を、そして社会を変えていこう、というもの。“ONE LOVE プロジェクト”を静とするなら、“ONE LOVE ACTION!”は動といったところでしょうか。

「自分も何かをして、こうした問題に貢献したいと思っている人は実に多いんです。でも、何をどうしたらいいのかわからない。折角の想いがあるなら、それを力に、形にしないのはもったいないですよね? 私達は、実際の保護活動やボランティアとは違った活動として、それぞれの方が自分の想いをどうやって形にし、行動に移したらいいのか……自分で考え、自分でできることを、自分で行動を起こす、そのためのヒントや気づきを与えられるようなカリキュラムを組んだ、いわば社会貢献型ワークショップを開講することにしたんです。それが、“ONE LOVE ACTION!”です」(編集長平田さん)

様々なジャンルの講師陣による話と課外授業

獣医師高倉はるか先生
「犬の行動は70~80%が遺伝によるところが大きい。ゆえに、安易な犬種選びは禁物」と獣医師高倉はるか先生。
今年の9月から第一期プログラムがスタートしましたが、2週間に1回ずつ、全6回行われるこの講義には、様々なジャンルでプロとして活躍する方々が講師として迎えられており、毎回、テーマを変えてのお話があります。また、自由参加の課外授業では、東京都の動物愛護センターを訪問しており、普段、個人でこうしたところを見学するチャンスはなかなかないだけに、参加者にとってはたいへん刺激を受ける内容となったようです。

「みなさん、想いはあっても自分にはできないと思っている人が多いのではないでしょうか。でも、小さなことでいいんですよね。使い古したタオルを集めて保護団体に寄付する、お茶会でもしながら、迷子札や鑑札をつけましょうというお話をご近所の方達にする、そういうことでも立派な社会貢献になるのです。要は、その行動を起こすか、起こさないかなんです」(編集長平田さん)

実際、第4回目にあたる講義では、『盲導犬クィールの一生』でお馴染みの著述家石黒謙吾さんによる、「本気でやりたいなら待たないこと」「考えるより受話器をとる」などという、そのお仕事柄から生まれるとも言えるお話は、発想したものをどう形にしていくのか、その考え方や気持ちのもち方という点において、参加者に気づきと勇気を与えてくれたということです。

そうなのです。このワークショップは、講師陣のお話や課外授業を通して、知識を得るとともに、自分の気持ちを確認し、自分には何ができるのかを探り、そのためにどう行動したらいいのか、最初の一歩を踏み出す手助けをしてくれものなのです。

次のページでは、講義の様子や参加者の声をご紹介します。

第5回目のテーマは、“正しい情報を収集する力と判断力”

グループディスカッション
講義の後はグループごとに分かれて、自分ができること・やりたいことについてディスカッション。
ガイドがお邪魔した第5回目の講義では、“正しい情報を収集する力と、それを判断する力を身につける”をテーマに、ドッグジャーナリスト臼井京音さんと獣医師の高倉はるか先生によるパネルディスカッションが行われました。進行役のコーディネーターとして、ラジオパーソナリティ青木さくらさんが務めます。

「たとえば、アメリカの単犬種団体を例に挙げることができますが、いいことばかりじゃなくて、遺伝性疾患についてなど、ちゃんと負の情報もオープンにしている。こうしたところは信用できると思います」(高倉先生)

「ブログなどに書かれているものは、参考にはしますが、鵜呑みにはしない。その情報発信者が信頼における人かというのが問題ですが、その人が常に新しい情報をアップデートしているかも気をつけたほうがいいでしょう」(臼井さん)

これは、まさにテーマにふさわしいお話ですが、その他にも、「日本ではアメリカの6倍にあたる股関節形成不全のコがいる。安易な繁殖は、最終的に捨てられる犬を増やすことにもつながる」「アメリカ獣医動物行動学研究会(AVSAB)では、子犬の社会化についての意見書を配布しており、その大切さを訴えている。社会化不足からくる問題行動が減れば、飼育放棄犬も減るはず」というようなお話も出て、不幸なコを一頭でも減らすには、何をどう考えたらいいのか?という気づきを与えてくる内容にもなっていました。

自分のやりたいことを宣言します!

アクション宣言
毎回、自分の目標をみんなの前で宣言。
19名の参加者達は、熱心に講義に聞き入った後、いくつかのグループに分かれて、未来に向けて何ができるのか?自分のできることは何なのか?ということについて、それぞれディスカッションを行います。ここでは、各グループ、熱心に意見交換がなされ、参加者それぞれの熱い想いを感じるばかりでした。

参加者の中には、すでにNPO法人を立ち上げたり、実際に活動を行っている人もいますし、何かはわからないが、とにかく何かをやりたいという人まで、層の厚さも感じます。

このディスカッションが終了すると、“ACTION宣言”というものをすることになっています。これは、その回の講義とディスカッションを終えて、自分が何をしたいと思っているのかを、みんなの前で宣言するというもの。次回の講義までの間に、それが実践できたかどうかがその人にとっての課題となります。つまり、言ったからには、やらねばならないという、いい意味でのプレッシャーを自身にかけて、実際の行動(アクション)に移していくというわけです。そして、これには、前回宣言したことが実践できたかどうかの報告も含まれます。

参加者の声

熱心な参加者たち
アクション宣言は、次回の講義までに、それが実践できたが課題となる。
実際に、このプログラムに参加した方のお話を聞いてみました。

宮原さん(RIKU/A・コッカー・スパニエル):
「いろいろ犬について勉強していく中で、何かをしたいという気持ちはありましたが、捨て犬をなくそうというキャッチに惹かれて、このプログラムに参加してみました。私としては、知り合いもでき、それぞれの得意分野を生かして何かできるんじゃないかとも思いますし、人脈作りという意味では大きな収穫です。具体的には、飼い主さんと愛犬との絆を深められればと、プレイズタッチをみなさんにお教えすることで貢献できたらいいなと思っています」

後藤さん(ベルグ、アクア/ブリュッセル・グリフォン)
「犬と暮らすのは初めてなのですが、一緒に暮らすうちに、愛犬達からもらう幸せを何かの形で還元したい、そのために自分に何ができるかを考えていました。実際に参加してみて、自分と同じような想いをもっている方が多くいらっしゃるということを知って嬉しいです。私は、犬と暮らしたいけど飼えないという年配の方と犬とを、うまくつなぎ合わせる活動ができないものかな?と考えています。まだ何をどうしたらいいのかはわからないのですが、何かできるかもしれない……という、気持ちが動き出したように感じています」

お二方とも、気持ちはすでに前向きに動いています。これこそが、“ONE LOVE ACTION!”効果なのでしょう。

何事も、楽しくなくっちゃ続かない!

会場となった「Andy Cafe」
カフェ、サロン、ドッグホテルなどが一体となった複合型ショップ。セミナーなども可能。
参加者の様子を見ていると、和気藹々として楽しげな雰囲気がありました。捨て犬問題などに関しては、何かをやりたいという意欲があっても、ことをやや難しく考え過ぎ、意識が固くなり過ぎてしまうきらいもあります。

「私達が提案しているワークショップは、参加者同士が共鳴できる、つながる楽しさもあります。楽しくなければ続かない、それが信条の一つでもあるのです」(編集長平田さん)

愛犬と暮らす幸せを感じれば感じるほど、その幸せを手に入れることのできない犬達のことに心痛めている人も多いはず。実際、『ONE BRAND』で全国の愛犬家を対象に、保護犬についての意識調査を行ったところ、「保護犬を引き取りたい」と答えた人が全体の20.3%、「引き取りたいが検討中」という人が55.8%、「保護活動やボランティアをしたい」という人が56.2%にのぼったそうです。多くの人がそういった意識をもっているということを数字から読み取ることができます。

何かをしたい……でも、どうしたらいいの?……と思っている方、一度、このワークショップに足を運んでみてはいかがでしょう? 小さくてもいい、“自分にできること”がたくさん集まれば、それは大きな力になり、将来的に何かを動かせるかもしれません。さぁ、あなたの一歩を、踏み出してみませんか? 愛しい犬達のために。

【ONE LOVE ACTION!第2期生募集要項】
定員:20名
開催日:2010年1月~3月 第2・第4水曜日
時間:14:30~16:30(予定)
参加費:30,000(1コース全6回)
場所:Andy Cafe
   東京都世田谷区池尻1-11-7 2F
詳細・お申し込みはこちらまで → ONE BRAND WEB



【関連サイト】
ONE BRAND. jp(人と犬との共生、および豊かなライフスタイルを提案し、社会貢献につながる事業を展開)
Andy Cafe(カフェにサロン、ドッグラン、トレーニング……と複合型のサービスが嬉しい)



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