リラックスと沈静を促すルーティン

ドッグウィスパラー山田りこさん
「“おやすみ”は、リラックスや沈静を促すルーティンです」(山田さん)
ドッグウィスパラー山田りこさん考案の『プレイズタッチ』。1回目では“大好き!”のルーティンを、2回目では“おはよう”のルーティンをご紹介しましたが、今回は最後の“おやすみ”のルーティンとなります。

これは、リラックス、そして沈静を促す効果があるルーティンで、まさしく一日の終わりにはぴったり。

一緒にいられることに感謝をしつつ、「今日もありがとう」という気持ちを込めてタッチをすることで、犬も飼い主も互いに穏やかな気持ちや安心感を共有することができますよ。もちろん、精神的な安定は健康面や、しつけの面にもいい影響を与えます。


=Index=
・犬のストレス
・パッシブタッチ~ストローク
・手の平全体で円を描く~耳の付け根のサークルタッチ
・ウィールタッチ~パッシブタッチ

犬のストレス

タッチをしてもらっているアイシャちゃん
今回のモデルは、アイシャちゃん(ボーダー・コリー、6歳、♀)
社会化の不足からくる不安、落ち着きのなさ、分離不安などの問題。また、病気や飼い主との関係、環境など、犬達も様々なストレスに見舞われています。近年では犬の場合もそうしたストレスが注目されるようになってきています。

ストレスを受けた時の行動サインとしてよく知られているのはカーミングシグナルですが、その他、強い、または長期にわたるストレスを受けると、落ち着きがなくなる、吠える、攻撃的になる、同じ行動を何回も繰り返すといった常同行動など、行動の変化が見られることがあります。また、下痢・便秘、脱毛、アレルギー症状が出るなどといった体の変化として表れることも。もっと重大なものでは、心臓病や脳血管障害、癌の発現などにも影響するとされますから、簡単に考えたくないのがストレスだということです。

“おやすみ”のルーティンにはリラックス効果がありますから、広い意味で、ストレスからくる種々の問題を予防・軽減するのに役立つことでしょう。

子犬からシニア犬、そして重い症状をもった子にも

では、具体的にどんな効果があるのか?

このルーティンの一つである「マズルのストローク」は、鼻先から耳のほうへ向かってタッチをすることで口周りの抹消神経に刺激を与えるものですが、実はこの神経、喜怒哀楽を司る大脳辺縁系と深く関与しており、情緒の面で安定させることができるそうです。

特に、上記「犬のストレス」にあるように、社会化の不足からくる不安や行動の問題などを抱える子の場合、ソーシャルグルーミングの不足分を、飼い主の手でタッチしてあげることで補うことが可能ということ。吠え癖のある子でも、日頃から口の周りをタッチすることで、身体意識を高め(つまり、自分の口や吠えるという行動を意識させ)、少しずつ吠えの問題が落ち着いていくことも期待できるという話です(もちろん、それに伴うトレーニングも必要ですが)。

例えば、犬同士がいざこざを起こした時、別の犬がそこに割って入り、興奮している子の口先を舐めているような仕草を目にしたことはありませんか? 山田さんの愛犬達にはそのようなシーンが見られることがあるそうですが、それは犬達が自然に高ぶった神経を沈める術を身につけているとも考えることができるかもしれませんね。

その他、身体意識を高め、体のバランス感覚を向上させるタッチも入っており、基本的にリラックス効果の高いルーティンなので、子犬からシニア犬、重い症状をもった子までお勧めできるルーティンということです。

では、実際のやり方については、次のページでご紹介しましょう。

パッシブタッチ(時間の制限はなし)

手の平を置くだけで、動かさない
まず自分自身、目を閉じて3回深呼吸をし、リラックス。寒い日なら、手の平をこすり合わせて暖める。手の平を犬の肩や背中にそっと乗せ、体温を感じながら、犬の呼吸のリズムに自分の呼吸を合わせる(犬の呼吸が早い時には3回に1回合わせるなどして)。

気持ちのままに手を動かし、自分の呼吸を犬の呼吸に合わせる
手は動かしたい場所に移動する。自然と手が止まったところに問題があることもあり。しばらくしたら犬の呼吸を無視し、自分の呼吸に集中。何も考えず、無我の境地になるように。シンプルなタッチながら、日本古来の“手あて”が基になっており、副交感神経を優位に働かせる効果がある。

ストローク

手の平全体で、頭の後ろから腰のほうへ向けて
手の平全体で、ゆったり目に、頭の後ろから尻尾の先へと、背筋に沿って手を滑らせる。

腰から臀部を経て、尻尾の先へ
頭の後ろから、尻尾の先までを1回タッチ。

尻尾の先までタッチ
尻尾の先端までスッと撫でる感じで。

肩から前肢の先へ
次に、肩から前肢の先に向かって手を滑らせる。

手の平全体で包み込むように滑らせていく
足の先に触られることを嫌がる場合には、手の甲でそっと撫でてもOK。

足の先までをタッチ
片側が終わったら、もう片側も同じようにタッチする。

肩から後肢へ向かって
前肢が終わったら、肩から後肢の先へ向けて手を滑らせていく。

腰から後肢の先へ
腰から後肢の先へ向かって。

後肢の先までタッチ
指の先が地面に着くようなイメージで、足の先までをタッチ。

最後にもう一度背筋に沿って
最後にもう一度、頭の後ろから尻尾の先までをタッチする。犬の姿勢は、立っていても伏せていてもどちらでも構わない。寝ているようなら、無理に起こして反対側をタッチする必要もなし。


続きは、次のページへ。

手の平全体で円を描く

手の平全体で円のタッチを1回
手の平全体を使い、暖かさと安心感を与えるように、包み込むような感じで、時計回りの円のタッチを1回。手を少しずつ滑らせながら、肩から臀部にかけて同じように円のタッチを繰り返していく。

手の平を少しずつずらして、同じように円のタッチを
円を描く時には、皮膚を動かすような感じで。手の平は、常に体についている状態でなくてもOK。気がつくと自分の呼吸が止まっていることがあり、そうするとタッチも固くなってしまうので、自分もちゃんと呼吸をしながら丁寧に。

マズルのストローク(左右を5回ずつ)

鼻先から耳のほうへ向かってストローク
片手で顎を押さえ、もう片方の手の指を伸ばしたまま(指の第2関節ぐらいまでが自然にあたるように)、鼻先から耳のほうに向かってソフトに撫でる。皮膚を引っ張るのではなく、あくまでも撫でる感じ。これを5回繰り返す。片側が終わったら、もう片側も同じようにストローク。

引っ張るのではなく、撫でる感じ
小型犬の場合は、マズルの大きさに対して丁度よくなるように指の本数を調節。口の周りには、喜怒哀楽を司る大脳辺縁系に通じる抹消神経が集中しているので、この部分をタッチすることにより、感情・情緒を安定させることができる。

耳の付け根のサークルタッチ(片耳8回ずつ)

手の形
手はギュッと握るのではなく、写真のように軽く握る。中大型犬は指の第1関節から第2関節の間を、小型犬は指先から第1関節の間を使い、場所を少しずつずらしながら、耳の付け根に小さな時計回りの円を1回描いていく。

小さな円を描きながら、少しずつずらしていく
神経質であったり臆病な子、またストレスを受けたり、精神的に不安があると耳の付け根が緊張していることが多い。それをニュートラルな状態に戻し、リラックスさせて精神面の安定を図る効果がある。

次のページでは、「両手で挟みこむようにウィールタッチ」へ。

両手で挟みこむようにウィールタッチ(左右で1回とし、小型犬6回/中大型犬8回)

自分もゆりかごに乗っているつもりで一緒に体を揺らすとよい
両手の手の平全体で、犬の肩のあたりを軽く挟むようにし、自転車を扱ぐような感じで右・左と交互に円を描くように手を動かす。肩のあたりの筋肉をリラックスさせるのに有効、且つ、脳にゆらぎを与えて精神面の安定を生む。こうしたロッキング効果は体のバランス感覚も向上させることができる。

ストローク

2番目と同じ「ストローク」をもう一度
2番目の「ストローク」と同じものを、もう一度。頭の後ろから尻尾の先へ、肩から前肢の先(両側)、肩から後肢の先(両側)、最後に頭から尻尾の先、と手を滑らせる。

パッシブタッチ

その時の状況と気分でやってもやらなくてもOK
「おやすみ」のルーティンの締めくくりとして、最初のパッシブタッチをもう一度。ただし、ここまでくる間に、犬が寝てしまっていることがよくあるので、最後のパッシブタッチは状況によって、やってもやらなくても構わない。

愛犬と向き合う時間を

アンケート結果
「ホリスティックなもの、次の中であなたが最も興味あるのは何?」というアンケートを行った結果。
先日、当サイトで行った「ホリスティックなもの、次の中であなたが最も興味あるのは何?」というアンケートの結果では、アロマが32%、フラワー・レメディーが24%、テリントン・タッチが32%、鍼・お灸が12%でした。アロマとT・タッチが同率。犬との暮らしにおいて、身近になりつつある様子が伺えます。

しかし、本当のところはどうやって使ったらいいの?と、実際の方法については理解しきれていない人のほうが多いのではないでしょうか。そういった意味でも、タッチをより生活に取り入れやすくした、山田さん考案の『プレイズタッチ』は、今後注目されるものであるとガイドは感じています。

山田さんはおっしゃいます。「これらのタッチは日頃忙しい中で、その子と向き合う時間を持てると共に、飼い主さん自身もリラックスできるものです。雑念を捨て、この一瞬を、その子とだけ分かち合う喜びを感じながら、マインドフルに行って頂けたら嬉しいです」と。

タッチは、リラックス効果から精神面の安定を図る他、愛犬の体調の変化に早く気づけるようになったり、神経系の刺激または沈静、血液循環の改善、代謝率の上昇など健康面での効果も期待できるものです。愛犬と“ふれあう”ということで、そうした効果が得られるのであれば、生活に取り入れてみたくなりますよね。愛犬の、そしてあなたの健康と、互いの絆のために、是非活用してみてはいかがでしょうか。


もう一度手順を復習したい方はこちら
愛犬の健康と互いの絆に『プレイズタッチ』

『プレイズタッチ』のルーティン その2(おやすみ)

【関連サイト】
PRAISE TOUCH(『プレイズタッチ・パートナーズ』公式ウェッブサイト)
RICO’S CANINE MASSAGE SCHOOL(山田さんが主宰するスクールのサイト)
RICOSホームページ(山田さんの活動に共感された企業がRICOSブランドを展開)

【撮影協力】
Cafe&Dining Dinette(犬連れOK、日本風にアレンジしたフュージョン料理が美味)
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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。