室内で犬を撮る
室内での撮影のポイントは、「光」を上手に捉えること。

光を見て写真を撮る

今回は、【愛犬の写真を上手に撮る方法[Part1]】の続編です。

室内犬に限って言えば、愛犬と最も長く一緒にいる時間は部屋の中ということになるでしょう。スヤスヤ眠っている顔、美味しそうにご飯を食べている様子……普段の何気ない愛犬の姿は是非とも残しておきたいもの。絶好の被写体である愛犬のシャッターチャンスは、毎日そこここに溢れています。しかし、カメラを向けてみても、今ひとつうまく撮れない……。

そんなあなたに送ります。『犬の写真、もっと上手に撮りたい!--室内・コンパクトカメラ編--』。今回もプロカメラマン平山舜二さんにご指導頂き、飼い主さん代表としてTさんとご愛犬のトトちゃんにご協力頂きます。

室内で犬の写真を綺麗に撮るには、まず「光を上手に捉えること」が最初の一歩です。


=Index=
・自分の手を使って光をチェック
・ストロボをうまく使い分ける
・部屋の雰囲気作りとアングル
・夜の室内撮影と小道具レフ板

自分の手を使って光をチェック

平山さん:
「室内で写真を撮る場合、被写体が明るいかどうか、被写体と周りの明るさを見ることはとても大切です。因みに、室内はライトが上にあることがほとんどなのでダウン光、それに窓から入ってくる光がプラスされます。ですから、基本的には被写体が窓際に向いていれば一番光が回って綺麗に撮れるということになりますが、そういうケースばかりで撮影するとは限りませんので、まずは自分の手を使い、場所と向きによってどのくらい写りが違うものなのかを確かめて、撮影ポイントを決めましょう。その前に、室内の灯りは全部点けておきましょうね」

窓に背を向けて撮影
平山さん:
「1枚目の写真は、窓に背を向けて撮った時のものです。窓からの光があるので、室内の様子もバランス的に綺麗に写っています」


壁に背を向けて撮影
平山さん:
「2枚目は壁を背に撮った場合。実は、1枚目2枚目共に立っている場所はほとんど同じで、現場にいると肉眼では大差ないように感じますが、写真に撮るとこんなにも違いがはっきりとします」


2枚目を露出補正
平山さん:
「2枚目の写真を露出補正したものが3枚目の写真です。手は明るくなりましたが、周りはオーバーになってしまいました」

Tさん:
「今まであまり気にせず撮っていましたが、結構違うものなんですねぇ~」

露出補正をしてみる

露出補正していない写真
平山さん:
「被写体をどこで撮るか場所が決まったら、とりあえずシャッターを切ってみます。暗いように感じた場合、露出補正をして、その違いを確認してみましょう。1枚目の写真ではトトちゃんが全体的に潰れてしまっていますが、2枚目の露出補正をした写真では目の表情もちゃんと確認できますし、体の質感も出ているのがわかりますか?」

露出補正後の写真
Tさん:
「後ろのテーブルの色も明るく見えますね」

平山さん:
「デジカメのいいところは失敗してもそれを消して何度でも撮り直しができること。こうして少しずつ自分の好みに近くなるようなポイントを探すといいと思いますよ」

次のページでは、ストロボの使い方について。

ストロボをうまく使い分ける

ストロボなし
室内の自然な光のみで撮った場合、表情が全体的に潰れてしまっている。
平山さん:
「では、次のポイントです。オート機能に頼ることをせず、ISO感度の設定をしましょう。通常、ゴールデン・レトリーバーのような明るい毛色の犬であればISO感度は400くらい、黒い毛色の犬であれば少なくとも400以上、800程度あれば大丈夫です(最近のデジタルカメラであれば多少感度を上げても極端に画質が悪くなりませんが、以前のデジタルカメラを使用していると画質が悪くなる場合があります)。感度を低くすると、周りは暗くなります。感度を上げるのは周りの光を取り込むためと考えるといいでしょう。ただし、1600や3200にまで上げてしまうと逆に画質が荒れるので注意してくださいね」

Tさん:
「ただ上げればいいってものじゃないんですね」

平山さん:
「感度設定をきちんとすれば、本来デジタルカメラは周りの光を判断して明るく撮影できるように作られていますので、基本的にはストロボなしのほうが綺麗に写るのですが、それでも室内撮影の場合、状況によっては有効になるのがストロボです」

Tさん:
「ついついストロボもオートに任せがちですが、それじゃダメということですか?」

ストロボ(スローシンクロ)使用
目もはっきりと写って表情が出た。周りの色も一段と明るくなっている。
平山さん:
「そうです。基本的にコンパクトであってもオートフラッシュ、強制発光、スローシンクロ、この3つはどの機種でも付いていると思うんですが、昼間の明るめの室内で、被写体がちょっと暗いなと思ったら強制発光、夜の室内ではスローシンクロを使うのがベストです。夜の室内光は夜景と同じ、と覚えておくといいですよ」

Tさん:
「スローシンクロってどういうものなんですか?」

平山さん:
「スローシンクロはシャッタースピードを落とし、周りの光を取り入れて発光するのに対し、強制発光の場合、シャッタースピードは固定されたまま発光するという違いがあります。試しにスローシンクロで撮ってみましょうか。ストロボなしの1枚目の写真に比べて、スローシンクロで撮った2枚目の写真はトトちゃんの表情も出て、周りも明るくなっているでしょ?」

Tさん:
「なるほど。これは普段の撮影に使えそうですね」

逆光で撮ってみよう

ストロボなし
平山さん:
「じゃぁ、次は逆光で撮ってみましょうか。オート機能にお任せで撮ってみると、この撮影情景ぐらいの光の状況ではストロボは発光しませんから、黒い毛色のトトちゃんの表情がすっかり潰れてしまっています」

ストロボ(スローシンクロ)使用
Tさん:
「ほんとだ」

平山さん:
「こういう場合もスローシンクロで撮ると、トトちゃんの表情がくっきりと浮き上がってきますよ。ただ、黒い毛色の犬はややもするとどうしても色がベタッとしてしまいがちなんですがね……」

ブレない写真を撮りたいなら、犬が落ち着いている時を狙う

犬が落ち着いている時を狙う
被写体ブレを防ぐには、被写体を動かさないことを考える。
平山さん:
「さて、次はブレについて。なるべくブレない写真を撮りたいというなら、一番いいのは犬が落ち着いている時を狙うことです。室内での撮影ではどうしてもシャッタースピードが落ちがちです。人間ならじっと止まってくれていますが、犬にそれを要求するのは難しいことが多いですからね。もっとも、動きのある写真が撮りたいというのなら別ですが。でも、その場合は被写体ブレが出てくるのは仕方ないでしょう」

Tさん:
「ひと遊びした後とか丁度よさそうですね」

平山さん:
「そうですね。カメラに手ブレ防止機能は付いていますが、被写体ブレには対処できないので、ブレない写真を撮りたいなら、いかに被写体を動かさないかを考えたほうがいいと思います」

次は、アングルについてのお話を。

部屋の中の雰囲気を作る

ポイントを決めたら、とにかく撮ってみる
Tさん:
「部屋の中って結構限られていますし、アングルで悩むことがあるんですが、何かいい方法はありますか?」

平山さん:
「例えば、壁際で撮ったとします。壁に対して真っ直ぐに撮るのはつまらないので斜めに撮る。でも、なにか物足らない」

部屋にある小物を利用
平山さん:
「じゃぁ、後ろにボールでも置いてみようか、と周りにある物で雰囲気を作っていきます」






小物とアングルを変えてみる
平山さん:
「次に植木があったので、後ろに置いてみました。植木が入るように下からのアングルを狙います」






カメラを斜めにして、ちょっと味付け
平山さん:
「今度はカメラをちょっと傾けて。同じ絵でもほんの少しスパイスを加えることでまた別の雰囲気になります」





平山さん:
「この他、部屋の中が乱雑であった場合には、逆光にして露出補正をかけ、バックを飛ばすといったような手法もありますし、見せたいものを中心に、アングルと背景を工夫しながら撮っていくと意外な写真が撮れたりして楽しいものですよ」

Tさん:
「なんだか夢中になっちゃいそうですね(笑)」

余分なものは削る

何を撮りたいのか主題がはっきりしない
平山さん:
「これは、犬が主体でありながら部屋の写真も撮りたいといった場合。この写真のままでは何が主体なのかよくわかりません」



主題もはっきりし、ぐっと雰囲気も出た
平山さん:
「そこで、トトちゃんの位置をずっと手前に持ってきて、余分なものを削り、トトちゃんをメインに撮影。これで写真がグッと生きてきますよ」


Tさん:
「全然雰囲気が違いますねぇ。これからトトの周りにあるものにも気を配るようにしてみます」

最後に、夜の室内撮影と、レフ板について。

夜の室内撮影のポイントは感度とスローシンクロ

感度200で撮影。かなりブレが出る
Tさん:
「いくら部屋の灯りを点けても、やっぱり夜の撮影は難しくて。どうしたら少しでも綺麗に撮れますか?」

平山さん:
「これは感度200で撮影したものです。このぐらいの感度だとどうしてもブレてしまいます」


感度1600で撮影。ある程度動きは止まる
平山さん:
「感度を1600に上げて撮影。ある程度の動きはとどまります。が、先ほども言ったように画質はやや荒くなってしまいます」





オートストロボ使用。影が目立つ
平山さん:
「よくありがちなのが、部屋が暗いまま、オートでストロボをたいた写真。影が汚く見えて、綺麗な写真とは言えません」





スローシンクロ使用。影も消えて綺麗
平山さん:
「部屋の電気を全て点け、感度を800に設定してスローシンクロで撮った写真。汚い影も消え、こんなに綺麗に写せるんですよ」

Tさん:
「わぁ、凄い!全然違いますねぇ!」


平山さん:
「あと一つ加えるなら、ホワイトバランスをカメラに任せきりにすると無難ではあるのですが、中途半端になってしまいます。カメラに慣れてきたらカスタムで撮影することをお勧めします。(ホワイトバランスのとり方はカメラごとに違うので説明書をちゃんと見てください) 」

使える機能はフルに使おう

よく見られる赤目写真
平山さん:
「それから、よくあるのが赤目写真。これでは折角の可愛さも半減です」






赤目軽減機能を設定
平山さん:
「こんな時には、折角付いているのですから、カメラの赤目軽減機能を使いましょう」




赤目が軽減された
平山さん:
「この機能を使うと、違いはご覧のとおり。使える機能はフルに使わないと勿体ないですよ」






小物も使い方次第

Tさん:
「カメラ本体以外に、室内撮影で役に立つものはありませんか?」

何かと役に立つレフ板
平山さん:
「レフ板は一つくらいあってもいいかもしれませんね。最近では値段的にも随分と安くなっていますし、それに外での撮影にも使えますから、あれば重宝しますよ」


レフ板なしで撮影
平山さん:
「この写真は、逆光の状況で、レフ板なしで撮影したものです。黒く潰れてしまっていますよね」






レフ板を使用して撮影
平山さん:
「この状況ですとストロボを使いたくなるところですが、手前からレフ板をあてることで、ストロボを使わずともこの程度まで明るく撮ることができます」





平山さん:
「レフ板は、逆光時に有効。この写真で言えば、窓からの光を反射させて光を綺麗に回しているわけですが、感度設定やストロボの設定にしろ、こうしたちょっとした手間を惜しまないということが写真をより綺麗に撮る秘訣ではないでしょうか。毎日たくさんのシャッターチャンスがあるのですから、是非とも素敵な写真を撮ってくださいね」

Tさん:
「はい、ありがとうございました。これまで、窓辺で寛ぐトトを見て、これは絵になるなとシャッターを押すものの、そのできがイマイチだった原因がわかった気がしました。室内でのアンニュイな表情を表現できるように練習を重ねてみます!」


愛犬の写真、綺麗に、素敵に残せたら、最高ですよね! みなさんも是非トライしてみてください。

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講師:
プロカメラマン 平山舜二さん
『WELCOME TO Shunji Hirayama,s Photo Works』
東京工芸大学卒業後、会社所属のカメラマンとして主に広告写真の撮影に携わる。1999年に退社、フリーランスカメラマンとして独立。雑誌の撮影から広告撮影など幅広く活躍する中で、現在ではペット関連、特に犬の撮影が最も多くなっている。信条は「こだわり過ぎない」ということ。犬達の生き生きとした姿を切り取ることにかけては定評がある。

取材協力:
Tさん&愛犬トトちゃん(ラブラドールのハーフ、7歳、♀)

*この記事の一連の写真は全てTさん所有のデジタルカメラにて撮影しています。メーカーや機種によって、その機能はいろいろですので、まずはご自分のカメラをご確認下さい。ここでは、一般的なことについてお話しています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。