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犬種による特性を知ろう(2ページ目)

どんな犬を見ても可愛く感じるもの。あの犬種が欲しい、この犬種もいいな。いや、ちょっと待って! 同じ犬でも犬種によって気質や特性の違いがあるのです。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬の遺伝子に組み込まれた行動

牧羊犬の代表格の一つ、シェットランド・シープドッグ
シェルティー(通称)は知性が高く、大変繊細な神経の持ち主。
ここで、想像してみて下さい。犬が自由に行動していた昔々のことを。空腹を満たすには、自分で獲物を捕っていたはずです。お腹がすいた犬は、まず獲物を“探す”でしょう。懸命に辺りの匂いを嗅いだりして獲物らしきものを見つけました。相手をじっと“見ます”。そして、気づかれないよう、獲物に“忍び寄り”ます。気づかれてしまいました。犬は獲物を“追い駆け”ます。やがて追いついて、“咬みつき”、時に振り回したりなどしながら、最終的に相手を“仕留め(殺す)”ます。やっと、その犬の空腹は満たされました。

こうした犬の遺伝子に組み込まれた一連の捕食に至る行動は、専門的には「モーターパターン」と呼ばれていますが、ある犬種が作り出される段階において、人間が困ると思う部分はなるべく押さえ込まれ、欲しいと思う部分は強調されて繁殖されてきたという側面をモーターパターンからもうかがい知ることができます。

その犬種の“得意技”が、即ち特性を指し示す

では、気質及びその仕事という点で、犬を「獣猟犬」「鳥猟犬」「牧羊(畜)犬」「愛玩犬」というグループに分けてみます。

このうち、例えば、獣猟犬のグループに属し、かつ獲物の息の根を止めることをよしとされてきた犬種は、根源的にはモーターパターンの全てに渡る要素を平均的に持っていると考えることができます。ここで、誤解のないように一言。それが即ち、気質が荒いなどというようなことを意味しているのでは決してありません。むしろ、獣猟犬として活躍するには、人間とそれなりのコンタクトも取れなければならず、飼い主との間に深い絆が築けるだけの安定した気質が必要とされたはずです。ただ、このようなタイプの犬種と暮らす際には、歴史的にそういったバックグランドがあるということだけは、頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。

牧羊犬の代表格とされるボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグなどは、羊を襲うことなく、駆り集め、誘導する能力はピカ一です。羊飼いとしては羊を傷つけられるのは困りものですから、このような牧羊犬の場合は、モーターパターンで言うところの最後の部分が薄れていると解釈することができます。

次ページでは、意外な犬種特性についての話を。
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