生まれた犬の半分が死んでいく?

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繁殖された子犬の約半分しか飼い主のもとには届かない?
「LIVING WITH DOGS」が開いたセミナー報告の第2弾。今回はペットジャーナリストの坂本徹也による日本のペット流通をテーマにした講演と、熱っぽいパネルディスカッションについてご報告したいと思います。

第2部は坂本の出番です。坂本は辛口のジャーナリストらしく、日本の「繁殖、流通、ペットビジネスの現状」に具体的な数字とチャートを使って迫り、彼なりのペット愛護法 を提示するという盛りだくさんなものでした(ちょっと詰め込みすぎ?)。
以下はその要約です。

「ペット動物流通販売実態調査報告書」(環境省)によれば、2001年のペットの繁殖業者は約1,300軒、そこでは推定15万頭の犬が「生産」されたことになっています

しかし、このうち流通に乗るのは97,800頭(65.2%)

うち消費者(飼い主)にとどくのはわずか77,000頭(51.3%)

どうしてこんなに「落ちる」のか?それは子犬をできるだけ早い段階に「出荷」しようとするからにほかなりません。なぜか?言うまでもなく、小さなあどけない子犬を展示し、愛らしい、かわいそう、と哀れを誘い衝動買いさせるのが目的だからですね。
これが日本のペット流通の現状であり、最大の問題点だと坂本は指摘します。

競り市で“さばかれる”犬たち

繁殖業者・ブリーダー

競り市・卸業者

ペットショップ

飼い主

これが日本のペット流通のおおまかな流れです。
大規模な競り市では1日に350頭~400頭が取り引きされると言います。これが年間100日開かれると計算するとおよそ3~4万頭の犬猫が競り市を通ってショップにやってくる勘定になるわけです。

ちなみに環境省が行ったペットの繁殖・小売業者を対象にした調査では、仕入れから販売までの平均日数は26日、いっぽう販売日齢は平均48日。つまり平均だけだと出荷は、生後24日ということになってしまうのです! ホントなら大きな問題ですよね。

ペットショップは犬のコンサルティング業に

母犬や兄弟犬との悲しい別れ

段ボールに入れられトラックに乗せられて出荷

競り市

ショーケースで好奇の目にさらされる恐怖、孤独感

遊びのない無機質な空間に放置

不潔

大きなストレス

免疫の低下、移行抗体が切れる

ワクチン接種の失敗



母犬の初乳を飲んでもらった移行抗体が消えるといわれているのが生後42日前後。それはまさにこの流通システムに乗っている真っ最中ということになります。
坂本は「これが動物虐待でなくて何なのか」と問いかけ、こうした危険性と隣り合わせのシステムは一度ご和算にして、ブリーダーから飼い主へという直接取引の形にし、ペット ショップはその二者をつなぐコンサルティング業として成立させるべきだと言います。
流通システムの改善は、感染への危険性を減らすだけでなく、幼齢の子犬の出荷をなくすことで問題行動の発芽を抑えるという効果もありますよね。彼はこのあと「(動物)虐待の定義」と題する提案書を提示して壇を降りました。

熱っぽかったパネルディスカッション

日本の犬の未来について熱く語るパネラーたち(ドンちゃんも参加?)

第3部は、マルコさんと坂本のほかに、NPO法人・日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)の友納ユミさん、大阪で犬との幸せな共生を提唱されているシンビオシス実行委員会の田中真澄さん、WANWANPARKなどのイベントを通じてマナー向上を呼びかけているNPO法人・G.A.S Societyの木下沙也珂さんを迎えてのパネルディスカッションです。

テーマはもちろん「日本の犬の未来を考える」。ですが、マルコさんの「日本がヨーロッパの意識に追いつくには500年かかる」との言葉に、そんなには待てない、じゃあどうすればいいのという具体的な行動への提案に議論が集中しました。
そのひとつひとつについて、ここではとても紹介しきれませんが、最後は「まず自分自身が愛犬を終生飼養すること」を前提に、不必要に犬をつくらない(繁殖させない)、虐待を見たら勇気を出して告発し行政の意識を変えていく、お互いが連携することによって大きな声にしていく---といった方向にまとまっていきました。

「LIVING WITH DOGS」
動物愛護支援の会(HELP)
NPO法人・日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)
NPO法人・G.A.S Society
シンビオシス実行委員会

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写真提供:「LIVING WITH DOGS」

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。