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婚約の口約束は法律上成立する?気をつけたいこととは

婚約は口約束でも成立します! 結婚の予約という契約なので、正当な理由なく一方的に破棄した場合には、相手への慰謝料等の損害賠償責任すら生じることもあるので注意が必要です。婚約破棄が認められるケース、相手の浮気や結婚式直前の家出等もあわせてご紹介します。

執筆者:元榮 太一郎

婚約の口約束は法律上成立する!

 世間のあつ~い空気におされ、おもわず口にしてしまった、あのひとこと……

「結婚しよう。」「うん。結婚しようね。」

恋に落ちたラブラブな男女であれば、おたがいに心から相手と結婚したいと思い、このような言葉をかわすこともあるでしょう。
<目次>
   

口約束で婚約は成立します!

婚約とは、将来結婚するという約束のことをいいますが、このような婚約は口頭だけでの合意でも有効に成立するのです。ですので、「結婚しよう。」「うん。」といったカンタンな言葉のやりとりでも、それが本心から出た言葉であれば、婚約は成立します。

とくに同棲や性的交渉など結婚しているのと同じような交際関係がなくっても問題なく、婚約の合意があったことがはっきり認められれば十分でしょう。婚約って意外にカンタンに成立してしまうんですね。ちょっと驚きましたか?
 

婚約するとお互い夫婦となるよう努力する義務が発生する

婚約も結婚の予約というひとつの「契約」なので、婚約が成立すると、男女おたがいに一定の債務が発生します。つまり、婚約した男女は、おたがいに誠意をもって交際して、やがて夫婦共同体をつくるように努力する義務、というものを負うことになります。婚約をすると、このような「義務」を負うことになるということは押さえておきましょうね。

ただ、そうだからといって、例えば、「婚約したのに、彼がぐずぐずしていて、いつまで経っても結婚してくれない!」というケースであっても、女性の方が裁判などを起こして、その男性に強制的に結婚をさせるということまではできません。

口約束の婚約、やっぱり、ナシにしたい…。婚約破棄って、どうなるの?どういうこと?
 

婚約破棄が認められるケース

「婚約したけど、やっぱり他に好きな人ができたから、婚約を解消して欲しい。」

婚約をしたにもかかわらず、一方的に婚約解消を伝えたケースがあったとします。このようなケースが婚約の破棄にあたります。婚約の破棄に正当な理由があればとくに問題もなく婚約が解消されます。

裁判所の判例でも、下記に挙げた例では、正当な理由がある婚約の破棄と認められたものもあります。
  • 婚約した相手方が他の異性と浮気したケース
  • 相手方が結婚式の直前に家出してしまったケース
  • 相手方が異常な性癖をもっていたケース

他に好きなコができたから…といった自分勝手な理由の場合には、正当な理由があるとはとても認められないでしょう。
 

婚約の不当な破棄は損害賠償を請求できる!

雰囲気にのまれて言ったひとことが、高くつくことも…

雰囲気にのまれて言ったひとことが、高くつくことも……

正当な理由がないのに婚約を破棄した場合、婚約を破棄した人は、婚約の相手方にたいして損害賠償責任を負うことになります。ここで賠償しなければならない損害には、例えば下記のようなことが挙げられます。
  • 婚約披露の費用
  • 仲人への礼金
  • 結婚を予定して取りそろえた家具などの物品の代価
  • 結婚準備のために待遇のよい勤め先をやめたことによる損害
  • 慰謝料

慰謝料の金額は、婚約を破棄した人の違法性の程度によってかわってきますが、一般的に100万円から200万円の間の金額になることが多いでしょう。

盛り上がった男女であれば、結婚したいという気持ちになるのは自然のこと。でも、婚約にはいろいろな責任がついてきます。熱いお二人の関係に水をさすわけではないですが、みなさんも「結婚しよう。」という言葉はくれぐれも慎重に使いましょうね。

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