冬の楽しみのひとつに寒仕込みの新酒がある。
なかでも、最近のガイドのお気に入りは福島県・会津地方の酒。
香りよく、味に深みがある。煮物や鍋物など、温かい、じっくりと味の染みた料理に合う。

しんしんと降る雪を眺めながら、磨き抜かれた木造の純日本旅館で、出来たての生酒をやれば、ふうっと、うれしい溜息がこぼれる。

今回は、そんな会津の銘酒がよく似合う、国の登録有形文化財第一号の宿【向瀧 むかいたき】をご紹介しょう。

ところは今年の大河ドラマ「新選組!」ゆかりの会津藩の置かれた福島県会津若松市。
その奥座敷である会津東山温泉。奈良時代の僧、行基によって発見されたといい、江戸時代には会津藩主の保養所があったという川沿いの鄙びた温泉地だ。

近代的な宿が並ぶ湯川沿いに、ひときわ目に入る、おもむきある瓦屋根を連ねる木造の宿がある。それが向瀧。明治6年創業という老舗の名旅館だ。
大正から昭和初期にかけて建てられた宿は、太い柱や軒の重厚な佇まいと、優美で繊細な細部の造りが見事に融合したもの。登録有形文化財第一号というのも頷ける。


 ほぉーっ、と溜息が出る優美な佇まいの玄関。
屋根のゆるやかなカーブが女性的な印象を与える。
はじめて、この建物を見たとき、しばし立ちつくしてしまった。











部屋に通されれば、細やかな細工が随所にちりばめられていて、職人の技にほれぼれする。
各部屋、それぞれにおもむきが異なり、細部に凝った装飾がほどこされている。(部屋の詳細は公式ホームページでチェックできる)






それに湯は天然温泉100%の掛け流し
江戸時代には、会津藩の官営の保養所であったという向瀧。その頃の名残をとどめる「きつね湯」のほか、大切な人と気兼ねなく浸かれる貸切にできる家族風呂などもあり、やや熱めの湯は、体の芯まで浸みてくる。






どの季節もいいが、冬はひときわ、庭の雪景色が美しい。
夜には雪見ろうそくが灯り、幻想的な雰囲気を醸し出す。(点灯は2004年2月29日まで。積雪のない場合は中止)

ぬる燗の酒をゆっくりと味わいながら、世俗のことなど忘れて、
自分だけの時間を愉しめる、まさに癒しのひとときだ。



次ページでは名旅館・向瀧の詳細と、この時期にめぐりたい会津の日本酒蔵元案内をお届けします。