◆ 中小企業のネット活用は二極化?

中小企業がホームページを開設、そこからいっきに全国から受注を拡大する。多くの企業がそれを夢見て、Web戦略をたてようとする。けれどもその効果は二極化しているといわれる。

確かにネットでの受注を伸ばしているところと、ホームページがまったく貢献していないところとの差はあるようだ。けれども、簡単に二極化と言い切ってしまってはいけない。

なぜなら、最初の半年、1年は閑古鳥が鳴いている、また鳴かず飛ばずのところであっても、積極的にノウハウを学び続け、あきらめないことで明るい将来がみえてきた中小企業もあるのだ。

ホームページオープン直後から受注が殺到することはほとんどないのだから、何が効果があるのか試練の中からも学びとってゆく姿勢を維持することが大切だ。そのためにはもちろん、自社に誇りと自信をもっていることが前提ではある。

◆ 少コストでホームページを開設

加藤克典氏は、工業用ブラシを生産する共伸技研(大阪府)にて営業を担当している。社長、加藤重信氏は父親であり、同社の営業部隊は社長も含め3人。工業用ブラシは主に工場のライン等で、研磨、掃除のために使われる。

共伸技研のリアルな取引による年間売上高は1.2億円、月間では平均1,000万円になるが、好調な月と不振な月との差が200万~500万円と振幅が大きくなりつつあった。長引く不況下で、取引先である工場のラインで使われるブラシの購入が昔に比較し小ロットとなっていた。どこも出費が小出しに抑えられているのだ。

加藤氏は、新規顧客の開拓、安定収益を確保するためにホームページに望みをつなげた。予算はないため自前でホームページを作成、2000年6月に「ブラシビレッジ」を開設。

けれども最初の2000年7月、8月とネットでの売上高はゼロ。3ヶ月目の9月になって何とか25,800円を売り上げた。その後も迷走、加藤氏は「自分で作ったホームページではダメか」と思い悩むが、半年間ほど数千円、数万円のきびしい売上状況が続く。

ブラシビレッジの売上推移はこちらを参照。

◆ ここから伸びだした!

それでもホームページ開設1周年をすぎると何とか数十万円台に達するようになり、いくつかのリニューアルを行った。ブラシの写真と説明を大きく掲載し商品を際立たせた。そしてトップページ上部のキャッチフレーズ、「オーダーメイド工業用ブラシを1個から」をより目立つように表示させた。

すると明らかにこれまでとは異なる反響が表れてきた。問い合わせを1日1~2件ほど受けるようになった。Googleでの表示、「ブラシ」で検索すると共伸技研がトップに出る。“歯ブラシ”や“洗車ブラシ”の会社よりも工業用ブラシのブラシビレッジのほうが上位なのだ。

問い合わせの増加にともない、売上も伸びていった。今年に入り、初めて百万円台を突破、2002年1月の売上は1,634,360円となった。1回の取引が50万円を超える大口の取引先を開拓できたのだ。

◆ 顧客の心理をつかむ

加藤氏は、ホームページ戦略でもうひとつ効果のあったものとして、自分の似顔絵を掲載したことを挙げる。こちらの似顔絵は「高嶋似顔絵製作所」で作成してもらったものだ。自分の写真の画像を送れば1件3000円で作成してくれる。似顔絵画像を縮小してアイコンとしても利用できる。

ブラシビレッジのホームページは、加藤氏の似顔絵を表示させることでホームページ全体が親しみやすい雰囲気となった。電話での問い合わせでも「あの似顔絵の加藤さんですね」と顧客がすぐにうちとけてくれるのだ。

加藤氏はリアルな営業もホームページでの営業も、基本は同じだという。問い合わせをしようとする見込み客に、「この人だったら何とかしてくれるかもしれない」と思ってもらうことが大切。ワン・ツー・ワン戦略がここに生きてくる。