そんな選挙に関する特許が、実は多数存在しているのをご存じでしょうか。今回は、そうした選挙に関する特許の中から将来実現するかもしれない、ユニークな特許を取り上げてみたいと思います。
マイナンバーカードを利用した電子投票システム
まずは、日立製作所が2020年に特許を取得した、電子投票システム(特許第6710467号)を取り上げます。実は、電子投票に関する特許というものは、この日立製作所の特許以外にも多数存在しており、パナソニック、ヤフー、富士通などが特許を有しています。
電子投票に関する特許は、近年ではブロックチェーン技術を利用したものが多い中、日立製作所が特許を有する電子投票システムは、“マイナンバーカード”を利用している点に特徴があります。
具体的には、次のような特許内容となっています。
1:銀行などのATMにおいて、マイナンバーカードを用いて本人認証をし、本人であることが確認できれば、そのままATMから選挙投票を行う。
2:ATMに備え付けられたカメラを通じて不正がないかをチェックする機能を有する(例えばATMの前に複数の人がいる場合は、不正の可能性ありとして投票処理を中断するなど)。
電子投票を実施するには、本人認証をどのように行うのかがポイントの1つとなります。本人認証のために選挙前に有権者へ電子投票カードを送付して、その電子投票カードなどを用いて本人認証を行うようにする、といった電子投票に関する特許もあります。
しかし、そのような電子投票カードをわざわざ送付するよりは、マイナンバーカードを用いて本人認証する方が手間も省けてより確実でしょうから、この日立製作所が特許を有する電子投票システムは、そのような意味で将来実現する可能性があるのではと筆者は考えます。
図1、2が、この電子投票システムでATMを通じて電子投票をする際のATM画面のイメージです。 なお、上記の特許を利用したものではありませんが、電子投票による公職選挙は、2002年に電子投票条例を定めた上で岡山県新見市長・市議選において初めて行われたのを皮切りに、2024年の四條畷市長選挙・市議会議員補欠選挙までに合計26回行われています。
しかし、これらのいずれも投票所まで有権者が出向いてパソコンやタブレット端末などを使って投票するといった仕組みのものであり、日立製作所の電子投票システムのように投票所に行かずにインターネットで投票するといったものではありませんでした。
今後、科学の発展などにより技術力が向上していくことで、先述した特許のようなインターネットを利用した電子投票システムが将来実現する可能性があるのではと思います。その際に、マイナンバーカードで本人認証を行う仕組みにすることは大いに考えられるところではないでしょうか。
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