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岸井ゆきのが大躍進、妻夫木聡が『ある男』で日本アカデミー! 2022年度「日本の映画賞」を振り返る

2022年度、日本の映画賞をまとめてみました。2022年は多くのヒット作が生まれました。『ある男』『ケイコ 目を澄ませて』強かった!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

未だコロナ禍とはいえ、映画館は以前の活気を取り戻し、休日には多くの人が劇場へ足を運んでいるようで、映画ライターとしてはうれしい限りです!

そんな中、2022年度、日本の各映画賞が発表されましたので、作品賞、監督賞、主演男優女優、助演男優女優など主要部門の受賞作と受賞者をご紹介します。
 
<目次>
 

第14回TAMA映画賞

TAMA映画賞は2009年にスタートし、TAMA映画フォーラム実行委員(市民ボランティア)より選ばれます。第14回TAMA映画賞の選考対象作品は2021年10月~2022年9月に一般劇場で公開された作品です。
ハケンアニメ!

(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

・最優秀作品賞:『LOVE LIFE』『ハケンアニメ!』
・特別賞:『メタモルフォーゼの縁側』芦田愛菜、宮本信子、及びスタッフ・キャスト一同/『恋は光』小林啓一監督、及びスタッフ・キャスト一同
・最優秀男優賞:佐藤二朗『さがす』ほか/松坂桃李『流浪の月』
・最優秀女優賞:倍賞千恵子『PLAN 75』/広瀬すず『流浪の月』
・最優秀新進監督賞:片山慎三『さがす』/森井勇佑『こちらあみ子』
・最優秀新進男優賞:磯村勇斗『ビリーバーズ』『PLAN 75』ほか/横浜流星『流浪の月』ほか
・最優秀新進女優賞:河合優実『PLAN 75』『ちょっと思い出しただけ』ほか/伊東蒼『さがす』ほか
   

第44回ヨコハマ映画祭

1980年に映画好きのサラリーマン3人が始めたヨコハマ映画祭。手作り感があり、温かみのある映画祭です。独自の視点でベスト10を選び、その中から個人賞を決定します。
  【2022年日本映画ベストテン】
1位:『恋は光』
2位:『ある男』
3位:『ハケンアニメ!』
4位:『偶然と想像』
5位:『さかなのこ』
6位:『さがす』
7位:『PLAN 75』
8位:『線は、僕を描く』
9位:『愛なのに』
9位:『冬薔薇(ふゆそうび)』
次点:『夜明けまでバス停で』

【2022年日本映画個人賞】
・作品賞:『恋は光』
・監督賞:小林啓一『恋は光』
・森田芳光メモリアル新人監督賞:早川千絵『PLAN 75』
・主演男優賞:瀬戸康史『愛なのに』
・主演女優賞:倍賞千恵子『PLAN 75』/吉岡里帆『ハケンアニメ!』『島守の塔』
・助演女優賞:河合優実『PLAN 75』ほか
・助演男優賞:柄本佑『ハケンアニメ!』ほか/磯村勇斗『さかなのこ』ほか
・最優秀新人賞:西野七瀬、神尾楓珠、馬場ふみか、平祐奈、以上『恋は光』より
 

第36回高崎映画祭

群馬県高崎市にて毎年3月下旬~4月に開催される高崎映画祭。受賞作品と俳優は、高崎映画祭選考委員が選出します。

映画祭では授賞式とは別に、受賞作品の上映や受賞作品の予告編上映会などのイベントも開催しています。
  ・最優秀作品賞:『ケイコ 目を澄ませて』
・最優秀監督賞:杉田協士『春原さんのうた』
・最優秀主演俳優賞:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
・最優秀助演俳優賞:永山絢斗『LOVE LIFE』
・最優秀新進俳優賞:佐々木詩音、諏訪珠理、以上『裸足で鳴らしてみせろ』より
・最優秀新人俳優賞:嵐莉菜『マイスモールランド』/大沢一菜『こちらあみ子』
 

第47回報知映画賞

報知新聞社主催の映画賞で、1976年に設立された映画賞。映画賞レースの中でも早い時期に発表されます。選考対象作品は2021年12月~2022年11月公開作。

審査は、ファン投票上位から報知映画賞事務局が作品15、個人10、アニメ10を選出し、選考委員会で受賞作、受賞者を決定します。
「沈黙のパレード」

福山雅治さんが主演男優賞を受賞! (C)2022「沈黙のパレード」製作委員会

・作品賞(日本映画):『ある男』
・作品賞(外国映画):『トップガン マーヴェリック』
・アニメ作品賞:劇場版『四畳半タイムマシンブルース』
・主演男優賞:福山雅治『沈黙のパレード』
・主演女優賞:有村架純『前科者』
・助演男優賞:横浜流星『流浪の月』
・助演女優賞:尾野真千子『サバカン SABAKAN』ほか
・監督賞:片山慎三『さがす』
・新人賞:嵐莉菜『マイスモールランド』/白鳥晴都『ぜんぶ、ボクのせい』
 

第35回日刊スポーツ映画大賞

映画ジャーナリスト、映画評論家だけでなく、政治、経済など多方面の有識者が選考委員となり、大賞ほか各賞が決定する日刊スポーツ映画大賞。対象作品は2021年12月~2022年11月の公開作品です。

主要部門のうち、石原裕次郎賞は、戦後を代表するスター、石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、最もファンの支持を得たスケールの大きな作品に贈られます。

また、石原裕次郎新人賞は、デビュー5年以内で石原裕次郎さんをほうふつとさせる将来性ある男優に贈られる賞です。
異動辞令は音楽隊

阿部寛さんが主演男優賞を受賞! (C)2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会

・作品賞:『ハケンアニメ!』
・監督賞:李相日『流浪の月』
・主演男優賞:阿部寛『とんび』『異動辞令は音楽隊!』
・主演女優賞:倍賞千恵子『PLAN 75』
・助演男優賞:柄本佑『ハケンアニメ!』ほか
・助演女優賞:清野菜名『キングダム2 遥かなる大地へ』ほか
・新人賞:河合優実『PLAN 75』ほか
・外国作品賞:『トップガン マーヴェリック』
・石原裕次郎賞:『キングダム2 遙かなる大地へ』
・石原裕次郎新人賞:道枝駿佑『今夜、世界からこの恋が消えても』
 

第77回毎日映画コンクール

毎日映画コンクールは、第二次世界大戦中に一時期中断していましたが、1946年、一級の娯楽である映画で日本復興の後押しをしようと再スタート。

第77回の対象作品は2022年1月~12月までに国内で14日間以上劇場公開された作品です。アニメーションとドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品が対象になります。映画評論家、映画記者などによる1次選考後、上位作品を2次選考で討議して賞が確定します。

なお、「TSUTAYA DISCAS映画ファン賞」では、一般投票で「日本映画部門」「外国映画部門」が決定します。
土を喰らう十二カ月

沢田研二さんが男優主演賞を受賞! (C)2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会

・日本映画大賞:『ケイコ 目を澄ませて』
・監督賞:三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』
・男優主演賞:沢田研二『土を喰らう十二ヵ月』
・女優主演賞:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
・男優助演賞:窪田正孝『ある男』
・女優助演賞:伊東蒼『さがす』
・田中絹代賞:寺島しのぶ
・スポニチグランプリ新人賞:番家一路『サバカン SABAKAN』/嵐莉菜『マイスモールランド』
・TSUTAYA DISCAS映画ファン賞
日本映画部門:『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』
外国映画部門:『トップガン マーヴェリック』
 

第65回ブルーリボン賞

ブルーリボン賞は、東京のスポーツ新聞7紙(スポーツ報知・デイリースポーツ・サンケイスポーツ・東京中日スポーツ・東京スポーツ・スポーツニッポン・日刊スポーツ)の映画担当記者で構成された「東京映画記者会」が選ぶ、1950年から始まった映画賞。対象作品は2022年1月~12月の公開作品です。
PLAN75

倍賞千恵子さんが主演女優賞を受賞! (C)2022「PLAN 75」製作委員会 / Urban Factory / Fusee

・作品賞:『ある男』
・監督賞:早川千絵『PLAN 75』
・主演男優賞:二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』『TANG タング』
・主演女優賞:倍賞千恵子『PLAN 75』
・助演男優賞:飯尾和樹『沈黙のパレード』
・助演女優賞:清野菜名『キングダム2 遥かなる大地へ』『異動辞令は音楽隊!』『ある男』
・新人賞:Koki,『牛首村』
・外国語作品賞:『トップガン マーヴェリック』
 

2022年 第96回キネマ旬報ベストテン

キネマ旬報ベストテンは1924年スタート。日本の映画賞で最も古く歴史のある映画賞です。

映画評論家、新聞記者、映画雑誌編集者などから選抜した120人前後の選考委員が各部門10本の映画を選び、1位:10点など数値化して合計点で順位を決定。対象作品は2022年に公開された作品です。

【日本映画ベストテン】
1位:『ケイコ 目を澄ませて』
2位:『ある男』
3位:『夜明けまでバス停で』
4位:『こちらあみ子』
5位:『冬薔薇(ふゆそうび)』
6位:『土を喰らう十二ヵ月』
6位:『ハケンアニメ!』
6位:『PLAN7 5』
9位:『さがす』
9位:『千夜、一夜』
※6、9位は同率

【外国映画ベストテン】
1位:『リコリス・ピザ』
2位:『トップガン マーヴェリック』
3位:『パラレル・マザーズ』
4位:『クライ・マッチョ』
5位:『アネット』
6位:『Coda コーダ あいのうた』
7位:『ベルファスト』
8位:『ウエスト・サイド・ストーリー』
9位:『戦争と女の顔』
10位:『あなたの顔の前に』
   
ケイコ 目を澄ませて

岸井ゆきのさんが映画賞を席巻! (C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINEMAS

・主演女優賞:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』ほか
・主演男優賞:沢田研二『土を喰らう十二ヵ月』
・助演女優賞:広末涼子『あちらにいる鬼』ほか
・助演男優賞:三浦友和『ケイコ 目を澄ませて』ほか
・新人女優賞:嵐莉菜『マイスモールランド』
・新人男優賞:目黒蓮『月の満ち欠け』ほか
 

第46回 日本アカデミー賞

日本アカデミー賞は1978年にスタート。審査は日本アカデミー賞協会会員(国内の映画関係者)による投票です。テレビ放映もされるので、ご存知の人も多い映画賞かもしれません。

授賞者は授賞式で発表するというアメリカのアカデミー賞スタイル。対象作品は2022年の公開作です。
「ある男」

2022「ある男」製作委員会

・最優秀作品賞:『ある男』
・最優秀監督賞:石川慶『ある男』
・最優秀主演男優賞:妻夫木聡『ある男』
・最優秀主演女優賞:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
・最優秀助演男優賞:窪田正孝『ある男』
・最優秀助演女優賞:安藤サクラ『ある男』
・最優秀優秀外国映画賞:『トップガン マーヴェリック』
・最優秀優秀アニメーション作品賞:『THE FIRST SLAM DUNK』
   

まとめ

作品では『ある男』が強かった! 次に『ケイコ 目を澄ませて』。女優部門では『ケイコ 目を澄ませて』の岸井ゆきのさんが主演女優賞を多数受賞。岸井さんは『神は見返りを求める』でも素晴らしいお芝居を見せていましたから、まさに2022年は「岸井ゆきのイヤー」でした。
岸井ゆきの

2022年は「岸井ゆきのイヤー」になった!(C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINEMAS

助演男優は『ある男』の窪田正孝さんがリード。個人的には『流浪の月』の横浜流星さんが席巻すると思ったんですが……。彼は2023年4月公開の映画『ヴィレッジ』にも出演するので、2023年度の映画賞レース参戦も大ありです!

主演男優賞と助演女優賞は、賞によってバラつきがありました。大本命がいなかったんだと思います。
 
ちなみに、映画賞によって受賞作品の条件が異なり、2022年に公開されたすべての作品が対象となる場合もあれば、2021年12月~2022年11月公開作の場合もあるので、「なぜあの作品が選ばれないの?」「あの俳優は?」と疑問に思うこともあるかもしれません。

2022年12月の公開作(『ケイコ 目を澄ませて』『ラーゲリより愛を込めて』など)は2023年の映画賞レースにも乗ってくる可能性も!
 
これから授賞発表の映画賞もあるのでお楽しみに。まだ公開している作品もありますので、ぜひ劇場へ足を運んでみてくださいね。
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