ビジネスマナー

なぜか「冷たい」「感じが悪い」と思われる人に欠けている、「言葉選び」より圧倒的に意識すべきこと

コミュニケーションの中で相手に与える印象の大部分を占める「非言語メッセージ」。その基礎知識と重要性について解説します。

美月 あきこ

執筆者:美月 あきこ

ビジネスマナーガイド

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「感じが良い人」「デキる人」と思われる、「非言語メッセージ」の基本

コロナ禍で「ソーシャル・ディスタンス」という言葉が一般的になり、当たり前の日常がどれほど尊いものか気づかされました。同時にこれまで何気なくおこなっていたコミュニケーションを見直す良い機会となっています。

すっかり定着したオンラインによるコミュニケーションをきっかけに、「脇役」として捉えられていた表情や服装、仕草、態度などの言葉以外の情報が、コミュニケーションを支える重要なファクターだったと再認識した人も多いはず。

コミュニケーションを制するものはビジネスを制す。さらにいえば、非言語コミュニケーションを制するものはビジネスを制す。「非言語コミュニケーション」(「身体言語」「非言語行動」「ノンバーバルコミュニケーション」などとも呼ぶ)とは何か? その重要性について解説します。
 

コミュニケーションにおいて最も重要な「非言語情報」

法人向け研修を担当する筆者は、よく「どのタイミングで、どのような営業トークが適切ですか」「相手の心に寄り添える言葉を教えてください」との質問を受けます。

たしかに、言葉の選び方ひとつで相手を喜ばせることも、不愉快にさせてしまうこともあるので、言葉(言語情報)選びはとても重要です。ところが、ベストな言葉選びであったとしても、なぜか「冷たい」「感じが悪い」「トゲトゲしい」との印象を持たれることがあります。

大体は、無表情で抑揚のない話し方、TPOに合わない服装、不適切な態度などの原因が考えられます。どんなにポジティブな言葉を使っていても、ネガティブな非言語情報に引っ張られてしまい、悪い印象を決定づけてしまうのです。

これは「ネガティブ・バイアス」という言葉で説明がつきます。人間の脳は、ポジティブな情報よりもネガティブな情報を先に察知し、それを記憶に残そうとする機能を持っています。天変地異や事故などの危険を回避するための防衛機能として脳が発達しており、ポジティブなメッセージが見過ごされるという残念なことが起きてしまうのです。
 

「非言語情報」はコミュニケーションの65%を占める

コミュニケーションは、「自己充足的コミュニケーション」と「道具的コミュニケーション」に分けられます。前者は、自分を満足させるためのもの。そして後者は、相手との良好な関係や信頼を構築するための、相手のためのものです。

ビジネス上、欠かせないホウレンソウ(報告・連絡・相談)や、部下への指示、後輩への助言、取引先への依頼など、ビジネスシーンでは相手ありきの道具的コミュニケーションが主です。そのため、相手がどう感じるか、どんな印象を抱くかが重要なので、言語・非言語、両方の要素をフル稼働したポジティブな情報発信と受信が必要になります。
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非言語メッセージの分解図(筆者作成)

私たちは、「どのような言葉を用いて、何を話すか」などと、つい言葉に頼りがちになってしまいますが、実際には言葉だけではなく非言語情報も同時に伝えていますし、その種類は多岐に分かれています。
 
アメリカの社会心理学者・バードウィステルは、「人のコミュニケーションの65%は、非言語による伝達である」と述べています。会話やメールなどから得られる言語情報は、コミュニケーション全体の35%に過ぎないということです。
 
もちろん、35%の言葉も大切です。しかし、相手の気持ちに寄り添ったり、自分の想いを相手にしっかり伝えたりするためには、言葉と同時に非言語の力が必要です。これらの合わせ技があってこそ、コミュニケーションが円滑に成り立つことを理解しておきましょう。
 

言語と非言語、両方を制するものが、コミュニケーションを制する

また、アメリカの心理学者であるメラビアンによれば、対人場面における相手に与える影響は視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%。相手が受ける印象は、話す内容に関わらず、表情や仕草、態度などの非言語情報によって9割が決まってしまうのです。
 
例えば、笑顔で声のトーンが高く、テンポの良い話し方だと「元気そうだな」「イキイキしているな」と相手は感じます。身なりがしっかりしていると、「スマートだな」「責任ある立場の人みたいだな」と感じます。このようにして、「この人はきっとデキるビジネスパーソンだろうな」と、相手は勝手に印象から推定し始めるのです。
 
初対面でのあいさつや名刺交換、ちょっとした雑談などの最初の短時間で、このような印象形成がなされていきますので、言語と非言語、両方を制するものが、コミュニケーションを制するということは強く意識しておくことを推奨します。
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