夫婦関係

義実家との「正しい」距離とは?嫁×姑×大姑の波乱含みな関係

「血はつながっていなから無関係」と考えていても想像以上に干渉される。「近くにいるから親しい間柄」と思っていると、あらぬ角度から足をすくわれる……。義理の親戚との距離感は、なかなか難しいものがあります。

三松 真由美

執筆者:三松 真由美

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波乱含み? 嫁vs姑vs大姑の複雑な関係

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「血はつながっていなから無関係」と考えていても想像以上に干渉される。「近くにいるから親しい間柄」と思っていると、あらぬ角度から足をすくわれる……。義理の親戚との距離感は、なかなか難しいものがあります。

交際2カ月で結婚した眞穂さん(27歳・仮名)にとって、義母の第一印象は「押しの強い人」でした。「結婚式の内容についてうちの母が私たちに一任してくれたのに対し、夫の母は披露宴の会食メニューや引き出物、両親への花束贈呈のBGMまで口を出してきました。夫の父は反対に腰の低い人で、『母さんが、いろいろ口出しをして悪いね』と私たちに何度も頭を下げて恐縮していました。最終的にはお互いに妥協して着地点を見つけましたが、かなり大変でした」

そんな眞穂さんが結婚後驚いたのは、その押しの強い義母が、愛想笑いを浮かべながら何度も頭を下げて、おとなしくしている場面に出くわしたことでした。義母が借りてきた猫のようにおとなしくしているのは、眞穂さんの義祖母と一緒に居るときだったのです。

「夫の一族は代々続く質屋で、一族の長老である90歳の義祖母が絶大な権力を持っていました。夫を早くに亡くした義祖母は残された質屋を切り盛りするだけでなく、不動産投資などを積極的に行い、貸しビル業に進出。今の会社が大きく成長したのは、義祖母のおかげだそうです。たまたま体調を崩していて、義祖母は私たちの結婚式には出席しなかったので、私は理解が足りなかったのですが、この義祖母が一族のキーパーソンであり、義母は義祖母の前では別人のように小さくなっていたんです。私に対して義母がガンガン押してきていたのは、普段、義祖母に押さえつけられているストレスからだったんだとわかりました」

一族の長老である義祖母に、なぜか眞穂さんは特別気に入られたそう。

「義祖母とは韓流スターの話で盛り上がって、私は一気にお気に入りの孫になりました。一族内のランクでいえば、確実に義母より上ですね。義母が私に対して文句を言っているのを見かけると、義祖母が『眞穂ちゃんに文句を言う前に自分の行動を見直しなさい』とかばってくれます。義祖母が生きているうちは私の地位も安泰ですが、もし亡くなったら、義母から一気にリベンジされるかも。まさに韓流ドラマになりそう。今はただ義祖母の長生きを願うのみです」

嫁vs姑ならぬ、嫁vs姑vs大姑の複雑な関係は令和になっても波乱含みのようです。

 

夫に対する義弟のライバル心が厄介

友加里さん(48歳・仮名)にとっては「まだ先のこと」と思っていた介護が、今年になって急に降りかかってきました。今まで元気だった義理の父が1月に玄関先で転倒した際に激しく頭を打ち、左半身にまひが残ってしまったのです。同居はしていないものの、比較的近くに住んでいるので、義理の母を手伝うために夫の実家に顔を出すようしていました。

「若い時にホームヘルパー3級をとっていましたし、老人ホームでバイトをしていたこともありました。お年寄りとのお話の仕方も心得があります。体重の重い義父を支えたり起こしたりなど、腰痛持ちの義母には難しいことを代わってやってあげられるのでとても感謝されていました。

ところが、それが義弟にとっては面白くなかった。夫と1歳差の弟は小さい頃から何でも張り合うライバル関係だったようです。高校や大学の偏差値、就職した会社の規模、出世のスピード、購入した家のレベルまで、とにかく負けないように、という意識がとても強いんです。今回、私が義父の介護で『良い嫁』として目立ったことが、義弟のライバル心に火をつけてしまったようでした」

やがて義弟夫婦も毎週末実家に訪れるようになり、介護アピール開始。友加里さんのところにも、「うちの嫁が平日も行けるので、お義姉さんはそんなに来て下さらなくて結構ですよ」と義弟から一方的な電話があったそう。

それだけでなく家の中で車椅子で動けるように、実家全体を改装したほうがいいと言い出し、渋る義母を無視して業者を呼んでの見積もりを取ったりなど、相談なしに実家のリフォーム話を進め始めたそうです。

「それを見て、今度はうちの夫が『勝手に親に借金をさせようとしている』と激怒。『危険な家を放置していたのが、親父が転倒した原因だ。兄貴が何もしないから事故が起きた』と、転倒の責任を夫に押し付ける義弟と大喧嘩になってしまったんです。

また、私が『自分でできることは自分でしましょうね』と義父に言っていたことを取り上げて『冷たい嫁』とか『不親切な介助』と非難してくるんです。支援者がすべてやってあげてしまうと、どんどん体の機能が衰えてしまいます。ですから、被介護者が自分でできることは、温かく見守りつつも手を出さないというのが介護の基本なのに」

兄弟げんかに巻き込まれた末の「鬼嫁」扱いに、すっかり心が折れてしまった友加里さん。義父母の力にはなってあげられたのだと悲しそうな顔で話してくれました。

親戚だから力を合わせて仲良くしようなどできるものではありません。相続で揉める話がたくさんあるではありませんか。愛し合って一緒になった夫婦でさえ仮面夫婦だセックスレスだ熟年離婚だとネガティブな関係になってしまうのに、親戚だからといって理解し合えるはずもなし。

割り切って過ごすと腹立ちも和らぎます。「遠くの親戚より近くの他人」。心許せるお友達を作りましょう。


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