ストレス

眠りたいのに眠れない…簡単に試せる3つの快眠法

【公認心理師が解説】眠りたいのに眠れない。カウンセリングの場でも「眠れない悩み」を訴えられる方は非常に多いです。日常生活の環境変化や悩み事は、安眠を阻害してしまうことが少なくありません。季節の変わり目は、自律神経が乱れやすく不眠につながることも。今回は簡単に試せる「眠りを誘う3つのアプローチ法」をご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

環境変化やストレスが原因? 眠りたいのに眠れない悩み

眠いのに眠れない原因と対処法

睡眠は健康に大切とわかっているけど、眠れないのはなぜ?

日頃のカウンセリングでも「眠れない悩み」を訴えられる方は非常に多いです。

就職や転職、進学や引っ越しなどで日常生活の環境が変わった方、結婚や離婚、出産などでライフステージが変わった方、仕事や学業、家庭、人間関係などで何らかの悩みを抱えている方は、日中の緊張が就寝時にも抜けきらず、安眠を阻害してしまうことが多いようです。それだけでなく、季節の変わり目は、気候や気圧の変動により自律神経が乱れやすく、不眠につながりやすいとされています。

睡眠は日中に蓄積した疲労を解消し、翌日に再び元気に活動するために必要となる、重要な心身の休養です。眠りたいときに眠れないという状況は、とてもつらいことです。

早めに眠りたいのに、なかなか眠りが訪れず、布団の中で何時間もゴロゴロ過ごし、やっと眠れたと思っても途中で何度も目が覚めてしまい、熟睡感が得られない……。こうした質の悪い睡眠によって、疲労からしっかり回復することができず、翌日に疲れを持ち越してしまう方は少なくありません。
 

眠れないときに試したい3つのアプローチ法

眠りたいのに眠れない……。そうしたときには、「眠りを誘う工夫」をいくつか試してみるとよいと思います。ここでは3つのアプローチ法をご紹介します。

1. 深部体温を下げる
体の深部体温(体の内部の体温)が下がると睡眠が訪れ、上がると目覚めが訪れます。深部体温を下げるためには、皮膚から体内の熱を放散させる必要があるとされています。そのためには、就寝の1~2時間前に入浴して深部体温を上げておき、入浴後には激しい運動などはせず、ゆったりと過ごすことです。就寝時にはほどよく体温が下降し、寝付きやすくなるといわれています。

寒くなると、電気毛布などで布団を温める方も増えますが、寝る前にはスイッチを切っておきましょう。温め続けると、深部体温が下がりにくくなるため、眠りの妨げになってしまうからです。

2. 緊張をほどく
心身の緊張が残っていると、体はリラックスできず、眠気はなかなか訪れません。緊張を解くには、筋肉のこりをほぐすことが大切。ストレッチやヨガで軽く筋肉を伸ばしたり、マッサージ機などのアイテムを活用するのも良い方法です。

また、体の感覚器官をやさしく刺激するのもおすすめ。心が癒される淡い色合いの絵本や画集を鑑賞する。お気に入りの香水を枕に一噴きしてよい香りを楽しむ。ふんわりした寝具に包まれ、全身をやわらかく包む。こうしたことで心身の緊張は、ほどよくほぐれていきます。

3. 呼吸に意識を向ける
スマホの情報検索に夢中になっていたり、仕事や勉強の資料を読み込んでいたりすると、なかなか眠りが訪れません。こうした時には呼吸が浅くなり、心身の緊張が持続してしまうものです。

そこで大切なのは、大きな深呼吸をすること。吐く息をゆっくり長くすると、副交感神経が刺激されてリラックスに導かれます。息を吐ききると、自然に吸う息も大きくなり、ゆったりした深呼吸が続けられます。吐く時にはお腹をへこませ、吸う時にはお腹を膨らませましょう。すると、じわじわと全身から力が抜けていくのを感じるでしょう。雑念が湧いても、再び呼吸に意識を戻し、全身の感覚を味わいましょう。すると、眠りが訪れやすくなります。
 

どうしても眠れない夜は「寝るのを諦める」という方法も

簡単にできる安眠法をご紹介しましたが、これらを試みても、なかなか眠気が訪れないという日もあるかもしれません。慢性的な深刻な不眠症などは別ですが、たまになかなか眠れない日があるという方には、「寝るのをあきらめて、起きてみてはどうでしょう?」とアドバイスすることもあります。寝室を暗くしたまま眠れずに焦るのではなく、一度寝るのをあきらめて、電灯をつけ、本を読んだり、音楽を聞いたり、好きなことをやって過ごすのです。

もちろん時間は刻々と過ぎていきますので、そのまま朝になり、結局徹夜に近い状態になってしまう日もあるかもしれません。しかし健康な人の体は、生命を維持するために、一時的に眠れなくてもいずれは体力回復のために眠れるようにできています。眠れずに疲れがたまれば、翌日はへとへとに疲れ、早めに眠気が訪れるはずです。翌日は日中のつらさはあるかもしれませんが、体の欲求にしたがい、夜は少しでも早めに布団に入り、眠りにつくとよいでしょう。ぐっすり熟睡できて、前日から溜まった疲れも解消されやすくなると思います。
 

慢性的な不眠や質の悪い睡眠が続く場合は、医師へ相談を

ただし、質の良い眠りを得るには一定のリズムを保つことが必要です。上記の方法をたまに試みる程度なら良いのですが、常態化して「不眠の日」と「爆睡の日」を交互に繰り返すような生活を続けると、体への大きな負担となってしまいます。そうならないためには、やはり前項のような安眠法を上手に取り入れながら、自然に眠りに就ける生活習慣を取り入れていく必要があります。

それでもやはり眠りにくい場合には、心身の病が不眠をもたらしているのかもしれません。眠りは、健康のバロメーターです。ぜひ早めに精神科や心療内科を受診し、相談してみてください。

■参考論文
ヒトの体温調節と睡眠
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