人間関係

繊細な人の特徴・楽になる生き方は?過敏すぎるHSPとは

【公認心理師が解説】とても過敏で繊細すぎる特性を持つ人は、ハイリー・センシティブ・パーソン(HSP)と呼ばれています。繊細すぎるがゆえにストレスを受けやすく、疲れやすいという特徴も。HSPの特性を理解し、HSPの方が自分の特性と上手に付き合っていく生き方のコツをご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

繊細な人の特徴は? 刺激に過敏で人一倍疲れやすいHSP

人込みや話し声など、ちょっとしたことも気になりすぎてつらい……。それはHSPの特性かもしれません

人込みや話し声など、ちょっとしたことも気になりすぎてつらい……。それはHSPの特性かもしれません


とても過敏で繊細すぎる特性を持つ人は、「ハイリ―・センシティブ・パーソン(HSP)」と呼ばれています。

HSPには、優れた特性がたくさんあります。五感が鋭敏であるため、味、におい、音、色彩、質感などの微妙な差違を感じとることができ、その感性を芸術などの分野に生かしている方もいます。他人の心の微妙な動きに敏感であるため、その力を生かしてセラピストなどの仕事に従事している方もいます。

一方で、次のようなストレスを抱えていることも少なくないようです。
  • 人の気持ちがわかりすぎるため、他人の心情に振り回されて疲弊してしまう
  • 五感から刺激を強く受け止めるため、興奮しすぎたり、不安になりすぎてしまうことがある
  • 環境の変化や複数の物事への対応が苦手で、混乱しやすくなる
HSPであるがゆえの悩み、HSPのセルフチェック法、HSPの方が生きづらさを感じたときの対処法について考えてみましょう。
 
<目次>
 

ただの“繊細さ”ではないHSPとは……特徴と傾向

ハイリー・センシティブ・パーソン(HSP)は病名ではなく、人の特性を表す言葉です。そのため、医学的な診断に基づく治療法は確立されていません。HSPは、5人に1人ほどの割合で存在するといわれています。男女差はなく、性格も人それぞれです。HSPは下記のような書物により、多くの人に知られるようになりました。
 
『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(エレイン・N・アーロン著・冨田香里訳、SBクリエイティブ、2008年)
『ひといちばい敏感な子』(エレイン・N・アーロン著・明橋大二訳、1万年堂出版、2015年)
『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』(イルセ・サン著・枇谷玲子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年)

私自身もカウンセリングの場で、HSPに近いと思われる特性を持つ方とお話をすることがあります。彼らのなかには、他人の言葉の奥にある気持ちを敏感に読みとることができる人もいます。

たとえば、彼らは自分にかけられたほめ言葉の真意を、相手の声のトーンや表情から敏感に感じとってしまいます。そのため、心のこもっていない言葉をかけられると、言葉の裏にある相手の思い(おだて、悪意など)を感じて、とても傷ついてしまうことがあるのです。

また、HSPは環境や状況の変化、人の感情の動きにも敏感であるため、それらへの対応にエネルギーをたくさん消費してしまいます。「そんなに気にしなければいいのに」「もっと楽に考えてみようよ」などとアドバイスをされても、そう器用にはできません。防衛策もないままに過剰な刺激にさらされることで、生きづらさを感じている方も多いようです。
 

HSPの診断・HSPの可能性のセルフチェック法

「自分はHSPかもしれない」と感じたら、上記に挙げた本などにセルフチェック項目が掲載されています。自身の傾向を知るために、活用してみてもよいでしょう。ただし、先にお伝えしたようにHSPは病名ではないため、医学的な診断を求めることはできません。

とはいえ、HSPの特性から毎日のように憂うつや不安が募り、日常生活に支障が出ている場合には、うつ病や不安障害などの心の病に近づいている可能性もあります。早めに心の専門医に相談することをおすすめします。
 
またHSPは、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害の特性と重なることが多いといわれますが、憶測や決めつけは禁物です。発達障害には診断基準があるため、自分が発達障害かどうかを診てもらいたい場合には、発達障害に詳しい精神科医に相談することが必要です。
 

HSPかもと思ったときの対処法・生きにくさを感じたときに

では、HSPの特性を感じてつらいと感じたときには、どうしたらよいのでしょう。ここでは私がおすすめする3つの対処法のヒントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 刺激とは適度な距離でつきあうようにする
外部の環境に早く慣れようとして、不快な刺激に身をさらして疲れすぎていませんか? 無理は禁物です。つらいと感じたら刺激から適度に距離をとり、ストレスを軽減していきましょう。
 
2. 疲れやすい自分をいたわり、休養を多めにとる
刺激に敏感な人ほど、疲れがたまりやすくなります。だからこそ、毎日しっかり眠り、たっぷり休養をとることが必要です。他人と比べて「頑張ってあの人に追いつかなければ」などと考えないことです。自分が頑張れる範囲のことを行い、疲労をためない生活を送っていきましょう。
 
3. 共感できる人や理解者とのかかわりを持つ
身近な場所に、自分と似た特性を持つ人がいるかもしれません。共感できる人と知り合いになれたら、心に溜めている思いを分かち合ってみるといいでしょう。また、心理カウンセラーなどのHSPの特性を理解してくれる人とのつながりも、大切にしましょう。とてもよい心の支えになりますし、そうした人との会話を重ねて、自分を活かす方法を見つけている方も多いです。
 

生きづらさを感じているHSPの方へ

「HSPは豊かな感性の持ち主である」という視点を持ちましょう。HSPは自然や社会、人間関係のなかから、多くの人が見逃しているとても貴重なサインを敏感に感じとることができる人です。そうして感じとったものを自分ならではの表現で伝えていけば、多くの人に感動や癒やしを与えることができるかもしれません。

「HSP」という自分の特性をポジティブに受け止め、そのすばらしい力を無理なく活用していくことを目指していきませんか?

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます