亀山早苗の恋愛コラム

女性は既婚より未婚が長生き?「夫という名の他人」と暮らすストレス

2000年以降、ずっと未婚女性のほうが既婚女性より長生きだという。既婚女性にはそれだけストレスがかかっているのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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女性は既婚より未婚のほうが長生きする!?

長生きできない既婚女性

日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳(2018年 厚生労働省「簡易生命表」より)となっている。だが、どういう環境にある人が長生きしているのだろうか。

Newsweekによれば、未婚男性の平均寿命は66歳とかなり若い。一方、女性は有配偶者が78.3歳、未婚が81.9歳となるそう。未婚の男性は長生きしないのに、未婚女性は長生きするという結果が出ている。

2000年以降、ずっと未婚女性のほうが既婚女性より長生きだという。既婚女性にはそれだけストレスがかかっているのかもしれない。

 

母は父の死後、若返った

男性が亡くなったあと、その妻は元気で長生きするというのはよくある話だ。

「うちの母もそうです。父は定年になって3年後に急死。そのとき母は60歳。あんまり仲のよくなかった夫婦なので、母は相当ホッとしたらしく、それからはひとり暮らしをしながら友だちと旅行をしたり、新しく習いごとを始めたり。70歳を越えましたが、趣味の陶芸にも熱心で、先日は知人を通して器が売れたと喜んでいました」

会社員のアカリさん(35歳)はそう言う。父が亡くなったとき、遠方に住む兄が、アカリさんに一緒に住んだほうがいいのではないかと言ったが、それを聞きつけた母は拒否。

「私も両親の不仲で家の雰囲気がよくなかったので、大学卒業と同時にひとり暮らしを始めたんです。母がよほど弱っていれば同居も考えましたけど、元気だったから一緒に住むのはイヤだなと思っていた(笑)。すると母のほうから、『もう家族に気を遣う生活はしたくない』と。夫だけではなく、子どもたちの存在ももううっとうしいんだろうなと思いましたし、それは理解できました」

母には愛情をもって育ててもらったと思っているが、冷たい夫婦関係はそのまま家庭の雰囲気となっていた。だからアカリさん自身も、あまり結婚に興味をもてずにいる。

「父は零細企業の平社員だったんですよね。おそらく給料もそんなにもらっていなかったと思う。母は、内職やパートをかけ持ちして家計を助け、私たちを大学まで出してくれた。父は『女は大学なんか行かなくてもいい』と言い放った人。でも母は知らん顔して、行きたければ行きなさいと言ってくれた。そういう意味では感謝しています」

今でいうワンオペで、母がおしゃれしているところなど見たことがなかったとアカリさんは言う。だからこそ、父亡き後は好きなように生きてほしかった。そして実際、母は好きなように生きている。

「よかったと思います。父が亡くなった直後、母は『私はあの人にずっと我慢させられてきたけど、唯一の妻孝行は、介護もさせずに亡くなってくれたことだわ』と言ったんです。つらい結婚生活だったんでしょうね」

アカリさんは複雑な表情でそう言った。

 

実際、ストレスまみれな妻たち

「姉を見ていると、結婚はいいやと思うようになりました」

そう話すのはカナさん(40歳)だ。年齢的に、もう今さら子どももいらない、仕事と趣味と友だちがいればいいと腹をくくったという。

カナさんの姉は43歳。29歳で結婚、共働きをしながら3人の子を育てている。末っ子が今年、小学校に入学したばかりだから、まだまだ子育ては続く。

「義兄もまあまあ、家事はやっているみたいですが、やはり女性の負担のほうがずっと大きい。姉は、同期の独身女性より出世が遅れているそうです。バリバリ仕事をしたいタイプの人だから、そこはいろいろ葛藤もあったでしょうね。時間があると甥や姪に会いに行きますが、姉はいつも疲れていてキリキリしています。もうちょっと穏やかになれないのかなと思うけど、結婚もしていない私がそんなことも言えないし。だから私が甥や姪の逃げ場になれればいいなと考えています」

姉が抱える夫へのストレスも相当なものだとカナさんは感じている。一見、それほど問題がなさそうに見えるし、義兄は週末になると子どもと一緒に時間を過ごす。浮気をしていそうにはみえないし、モラハラをするタイプでもなさそうなのだ。

「義兄がのんきすぎるというのが姉の言い分。姉は厳しいんですよ、子どもたちの教育に関しても、いい学校へ行けという抑圧がすごい。義兄は子どもは元気がいちばんだと思ってる。『あの人は田舎育ちで自分がのんびりしているだけ。これからの子はそんなわけにはいかない』と姉はにべもない。せっかちで効率を重視する姉と、ムダを大事にしながら人間らしさを重視する義兄。私があの家の子だったら父親のほうにつきますね(笑)」

カナさんがいても、姉が義兄を叱責することがある。義兄は何も言い返さないが、夫婦それぞれにストレスがたまるだろうなとカナさんは胸を痛めている。

「姉も独身時代はもうちょっと穏やかだったし、遊び心のある人だったんですけどね。やはり子どもができてから、いい母親にならなければという呪縛が強くなったみたいです」

夫からのストレスもあるのかもしれないが、“母親”をとりまく世間の圧力も大きいのだろう。既婚女性より未婚女性のほうが、人目を気にせず、自由に自分だけの人生を歩んでいける分、ストレスが少なくて長生きなのかもしれない。

「私は特に長生きしたいわけではないけど、夫という名の他人からストレスをかけられるのは耐えられない。独身でのんびり自由に生きていきます」

自由だと寂しい。だが社会と関わっている限り、その寂しさは埋めることができる。他人と同居して家族となっていくのは、自分のコントロールの利かない範疇に入っていくことだとカナさんは言った。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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