亀山早苗の恋愛コラム

自粛期間に浮気の痕跡を残した夫…白黒つけるべきなのか

この自粛期間に、夫婦仲はよくなったのか、あるいは悪くなったのか。一般的なアンケートでは「特に変わらない」が多いようだが、ベテラン夫婦に限ってはあまりいい話は聞かない。自粛が解けた今、さらにこの期間での夫の不実が発覚するケースもある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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自粛明け、何気なくパソコンに電源を入れてみたら……

夫の浮気

この自粛期間に、夫婦仲はよくなったのか、あるいは悪くなったのか。一般的なアンケートでは「特に変わらない」が多いようだし、若いカップルは「仲良くなった」という答えが圧倒的。だが、ベテラン夫婦に限っては、今まで見たことのないパートナーの側面を見てしまったり、蓄積された不満が爆発したりと、あまりいい話は聞かない。

自粛が解けた今、さらにこの期間での夫の不実が発覚するケースもある。

 

家のパソコンに残っていた不審なメール

5月半ば、首都圏、関西圏、北海道を除く多くの県が緊急事態から解放された。

「うちの夫はそれ以来、毎日出社しています。それまで週に2回だったから、体がきついとぼやいています」

ワカコさん(45歳)はそう言う。夫が出社するようになってからは、高校生と中学生、ふたりの息子たちも登校準備を始めた。

「オンラインでの勉強から実際に学校で勉強するとなると大変だよなあなんて言いつつも、子どもたちは学校が始まるのはうれしそうですね。あとは自宅待機になっている私のパート仕事がどうなるのかが心配です」

そう言いつつも、ワカコさんはせっせと家の中の片づけにいそしんだ。ずっと家族がいたので、思うように掃除ができなかった場所もあるのだ。

「私は家族がいる間は、ほぼスマホですませていたので、夫が出社するようになってから、久しぶりに家のパソコンを開いてみたんです。家のパソコンといっても、使うのは夫と私だけ。夫も会社からパソコンをもって帰ってきていたので、ほぼ使っていない。子どもたちはそれぞれもっていますから」

ずっとスイッチをオフにしていたので、たまには入れてみようというくらいの軽い気持ちだった。だが、そこでワカコさんは「見なければよかったもの」を見てしまうのだ。

「よくわからないんですが、自分宛てのメールを読もうとしたら、夫宛てのメールまで見えてしまって。そこに特定の女性からの怪しい雰囲気のメールが来ていたんです」

明らかに浮気という感じではない。だが、どこかふたりの間で符丁を使っているような雰囲気もある。ただならぬ仲なのか、軽い友だちなのかが判断しかねるのだという。

「でも、そもそも私と共用のパソコンを使って、女性とメールのやりとりをしているだけで、私としては気持ちのいいものではありませんよね。同時に、会社のパソコンでそれをやらない夫のまじめさにも気づきました」

まじめな人だから浮気などするはずがない。ワカコさんはそう思おうとした。

 

出社から数日後に帰宅しなかった夫

出社するようになってから数日後、夫が帰宅しなかった。

「何度も携帯に電話したけど、電源が入ってなかったみたいです。翌朝6時過ぎに帰宅、『久しぶりに同僚たちと飲みに行ったら酔いつぶれちゃって』と言い訳しながら、シャワーを浴びて出社していきました。なんだかおかしい。いまだかつて、そんなことはなかったから。久しぶりに会った女性と泊まってしまったのではないか。そんな気がしました」

さらにその週末は、休日出勤と言って出かけていった。その晩も遅い帰宅だった。翌日の日曜日には、夫は昼過ぎまで眠り続けていた。

「息子たちは久しぶりに会社に行ったから、おとうさんも心身ともに疲れたんじゃないのと笑っていましたが、私はそういうことではないだろうと思っていました」

その晩、ワカコさんは久しぶりに夫のベッドに潜り込んだ。自粛期間中は、なかなかそんな気分になれなかったのだ。夫からも誘ってはこなかった。

「ベッドに潜り込んだから、夫が『明日は月曜日で朝から会議なんだよ。しかも疲れてて。眠らせて』と背中を向けたんです。まあ、コロナ以前だって、もうそれほど頻繁にセックスがあったわけじゃないけど、私が誘いをかけたときにあんな断り方はしなかった」

夫は浮気している。ワカコさんは確信をもった。自粛期間中も会っていたのだろうか。出社と偽って女性と密会していたのかもしれない。それに気づかずに、「大変なときにお疲れさま」と言っていた自分がおめでたい。彼女はそう自嘲したという。

「これから証拠集めですかね。私は白黒はっきりつけたいほうなんですが、知ったところでどうするべきかもわからないのも本音。いろいろ迷って、学生時代の親友に話したら『拙速はダメよ』と言われてしまいました。じっくり証拠を集めて、しかるべきタイミングでつきつけたほうがいいって」

コロナの心配が終わらないうちに、別の心配に見舞われたと、ワカコさんは深いため息をついた。知りたい、でも知りたくない。浮気を疑う妻の心は複雑である。
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