亀山早苗の恋愛コラム

恋人から突然「明日、別の女性と結婚する」と告げられ…

つきあっている独身男女にとって、ふたりの関係の行き着く先は「結婚か別れか」になる傾向が強い。どちらかが結婚を望んでいれば、つきあっていくうちにその壁が立ちはだかることになるだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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恋人から突然「明日、別の女性と結婚する」と告げられ…

つきあっている独身男女にとって、ふたりの関係の行き着く先は「結婚か別れか」になる傾向が強い。どちらかが結婚を望んでいれば、つきあっていくうちにその壁が立ちはだかることになるだろう。

結婚はまだ考えないと言っていた彼

恋人から突然「明日、別の女性と結婚する」と告げられ… 

恋人から突然「明日、別の女性と結婚する」と告げられ… 

 

同い年の彼と3年間、つきあっていたサワさん(34歳)。つきあって半年ほどで彼女は結婚願望が高まった。

「そのころ勤務先での人間関係がよくなくて、仕事を辞めたかったんです。それで結婚なら誰にも文句を言われないし、結婚してから転職したほうが精神的にも余裕がもてるような気がして、彼に『結婚したいなあ』と言ってみました。すると彼はちょうど仕事にノってきたところで、おもしろいプロジェクトに参加できたから、今はあまり結婚という気分ではない、と」

彼女自身、「逃げ」での結婚だと自分でも認識していたので、そのときはすんなり提案を引っ込めた。その後、職場で大幅な人事異動があり、雰囲気が激変。急に仕事が楽しくなり、やめなくてよかったとつくづく思ったそうだ。

「つきあって1年半くらいたったときかな、彼がそろそろ結婚を考えてもいいかもと言い出した。でもそのとき私は、仕事をしながら週に3回、専門学校に通おうとしていたところだったんです。仕事のスキルをアップさせるために。結婚したいタイミングがすれ違うねと、そのころは笑い話にしていました」

その後、どちらからも結婚という言葉は出なくなった。だが、つきあい自体は充実していたとサワさんは言う。

「近場から海外まで旅行もしたし、週末は時間をやりくりして一緒に過ごしていました。私が土曜日、出勤になってしまったときは夕方、彼が会社近くまで車で来てくれて、そこから郊外までドライブしたり。毎日連絡をとりあっていました」

彼は実家、彼女はひとり暮らしなので、彼は週末はよく泊まっていった。

彼女が友人に連れていってもらって楽しかったクラブに、彼を連れていったこともある。もうクラブなんて行くような年齢じゃないと言いながら、実際に行ったら彼も楽しんでいた。

「サワちゃんといると、自分の世界が広がる気がすると彼が言ってくれて。それはうれしかったですね。お互いの世界をもちよってさらに広いところへ一緒に行けるのが恋愛の醍醐味だから」

結婚という言葉から離れて、ふたりの関係を純粋に楽しんでいた。

「結婚したかった」とぽつりと言った彼

2年半を越えたころ、彼がまた結婚話を持ち出した。ふたりとも33歳。

「形として結婚という選択肢をとるのがいいかどうか、ちょっと迷ったんですよね。私たち、すごくいい関係を築いているし、ここで親きょうだいが絡んでくるような煩雑な関係にしなくてもいいんじゃないかとも思って。すると彼は、『でも家族を作るというのも楽しそうじゃない?』って。まあ、それもそうだけどと言いながら、私は煮え切らなかった。自分でもわかっているんです、煮え切らない態度をとっちゃったなあ、と。ただ、彼はそれに対して激しく答えを迫ってくるわけでもなかったので、相変わらず彼も別に急いで決めたいわけでもないんだと思ったんですよね」

そのままつきあいが続いて数カ月後、いつものように週末に会っての帰り道、「泊まっていく?」と尋ねたサワさんに、彼は「今日はちょっと」と言った。

「実はさ、明日、結婚するんだよと、明日は天気がいいね、みたいな言い方をしたんです。何を言っているのかよくわからなくて、誰がと聞いたら、オレがって。その瞬間、笑っちゃったんですよね、私。人間ってあんまりびっくりすると笑うんですかね」

ちょうど彼が結婚の話を出す直前、彼は幼なじみの女性に再会したのだという。

彼が家に帰ったら、昔、近所にいた一家の母と娘が居間にいた。娘とは同い年で、すごく仲良くしていた。だけど小学校の中学年のころ、一家はある日突然、引っ越していったのだそう。

「親は連絡をとりあっていたみたいだけど自分は知らなかったと彼は言っていました。とにかく20数年ぶりの再会で、その日、ふたりは遅くまでいたんですって。その後、ふたりで会うようになって、両方の母親が結婚したらいいと盛り上がっちゃったらしい。それで彼、私に結婚話を打診してきたんでしょうね」

ところがサワさんは煮え切らなかった。彼はかつて好きだった同級生に引っ張られるように1度だけ関係をもち、なんと彼女は妊娠。両家は大喜びで、とりあえず婚姻届を出して両家で食事会を開くことになったのだという。

「まったくわからなかった。彼が彼女に恋していたのなら、私と会っていても心ここにあらずみたいな状態になるはずですよね。そうではなかったということは、彼は恋しているわけではないのかもしれない。両方の親に引きずられての結婚なのかと彼に聞いたら、『自分でもよくわからない』と言っていました。彼女に会えたのはうれしかったけど、つきあっているという感覚はなかったって」

しかも妊娠となれば逃げることもできない。

「ただ、彼が言うには、私との結婚は3年たってもすれ違うばかりでうまくいかなかった。彼女とはたった1回の関係で妊娠してしまい、周りも結婚でみんな喜んでいる。こんなにいろいろスムーズにいくのなら、彼女と結婚するしかないような気がした、と」

それもそうかもしれないと、サワさんは妙に納得してしまったのだという。結婚は勢いとタイミングだといわれるが、サワさんとはそれがずれてしまったのかもしれない。納得はできないが、阻止する気力はなかったと彼女は言う。

そしてつい先日、子どもは無事に生まれたそうだ。

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