藤嶋ひじりの恋愛コラム

40代、あらためて考える男と女の「性欲」の違い

レスになる原因は相性でしょうか、性欲の違いでしょうか、上手下手の問題でしょうか。本当は、お互いに自分の性と相手の性について、ただ、よく知らないだけかもしれません。

執筆者:藤嶋 ひじり

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男は知らない、パートナーの「性」

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昨年から離婚準備を始めていた愛さん(仮名)。小学生の子どもが二人いるが、独身のように見えるかわいらしい人。これまでにも何度も夫の浮気があったのだが、その理由は「僕は性欲が強いから」。セックスレスとなっていたため、夫はその相手を外に求めたのだそう。愛さんは納得がいきません。

人間の三大欲求にも登場する「性欲」は、しばしば夫婦間の問題になります。夜の営みがなくなっていく原因について、男女の違いについてお話しします。女性は自分自身の、男性はパートナーの「性」を知らないだけかもしれません。

 

男女の性への捉え方・探究心の違い

男性は性器が外に存在しており、見た目にもわかる反応があることから、基本的にオープンです。例えば、男性同士「つきあい」で風俗に行ったりみんなでビデオを見たりという文化について、やはり女性である私から見ると違和感があります。

それに対して、女性は「慎みなさい」と言われて育つことが多いもの。もちろんそれは家庭の文化的環境によって大きく異なります。例えば、筆者の母はまるで経験したこともないかのように、性的な話を毛嫌いしました。それは母自身が「性」に対して嫌悪感を抱いているだけでなく、そう洗脳することで、私たち娘を守ろうとしていたのだろうと今は思います。

最近は「女性のための大人のビデオ」もあるとはいえ、まだまだ女性同士でそんな話題が出ることに抵抗がある人がいるのも確か。以前、女性向けAVの監督にインタビューさせてもらったとき視聴品のビデオをいただいたことをSNSの投稿でつぶやいたところ、「観てみたい」という声をいただきましたが、「みんなで鑑賞会しましょうか?」と伝えると反応が悪かったほど。

女性は肉体的にも刺激して気持ちよくなる場所が秘めた部分にあるだけに、本来、自分ひとりでは気持ちよくなるには限界があるという難点がある。ゆえに、若いうちに自分のからだを性的に開発してきていない人もいます。どうすれば自分が気持ちよくなるのかを知らず、オーガズムを体験せずに中高年になっていく人も多いようです。

 

相手の手を借りないと気持ちよくなれない女性、自分のペースで進める男性

男性は自分が気持ちよくなるために探求している人が多い一方で、女性は自分の性欲に気づいていなかったり封印していたりするもの。そんなテンションの低い状態からスタートする女性が多いということを、男性には知ってもらいたい。

男性の性的な気持ちの変化はエレベーターのようですが、女性の気持ちの変化はエスカレーターのようにゆっくりゆっくり進みます。その間、男性は衝動に任せずに女性に寄り添うようにしてあげないと「待って! まだそんな気分じゃないの!」ということになります。

女性の気持ちを尊重しつつも、甘い蜜月の間に、からだを少しずつ開発してあげる必要がある。以前の記事にも書きましたが、「濡れている=興奮している」とは限らない、ということもいまだに男性の間に浸透していないように思います。

生理的なものが作用するので、排卵日前後は特に、なにもしなくても濡れていたりするもの。「濡れているから挿入可能だ」と考える男性が多いようですが、実は、濡れていても心の準備はまだできていなかったりします。そうすると女性もまだ気持ちが乗らないのに、気持ちのいい演技をしなければならなくなり、結果「面倒だなぁ」「早く終わってくれないかなぁ」「気持ちよくない」という印象になってしまいます。

 

慈しみのスキンシップがほしい女性、性的な欲求から触れようとする男性

女性はなかなか理性が外れず、心から安心しないと性的な行為に集中できません。性的なタッチよりも、まずは、局部から遠い、髪の毛や首、肩、手などに触れられることを好みます。

その前に、日常的に「慈しみのスキンシップ」がほしいものです。

自分が愛されているという安心感が開放的な気持ちへとつながっていきます。緊張がほぐれるほうが気持ちよくなれるのです。ところが、普段からスキンシップがないのに、そういうことをしたいときだけスキンシップをする男性がとても多いようで、女性たちから不満の声をよく聞きます。

「そういうときだけ触らないで」と言われたことのある男性も多いのではないでしょうか。

慈しみのスキンシップは、普段の関係性を高めます。女性は安心して身を任せる気になるのです。レスにならないためには、普段からハグしたり頭を撫でたりして関係性を育み、そのうえで、夜は彼女(妻)の快感のポイントをじっくり開発してあげる気持ちで、丁寧に優しくスキンシップに時間をかけて……。いっしょに気持ちよくなれたなら、性欲の差も少しは埋まるのではないでしょうか。

レスになっていてもいなくても、女性側が満足しているかどうかわからないまま回数だけ重ねてきてしまった……という夫婦は非常に多いようです。それを、ただ我慢したり受け入れる努力をしたりするだけだった女性側にも責任はあると思います。そして、男性が衝動的であることについて、夫が自己中心的だと非難するだけじゃなく、種の保存戦略の一環として備わったものではないだろうか……ぐらいに、女性側も根気よく認識する必要はあるかもしれません。

セックスに限らず、夫婦関係というのはどちらか一方の我慢のうえに成り立っている場合、非常に脆い。まだ愛の自覚があるうちに、「本当はどうしてほしいのか」を伝え合うことが大切です。夜の営みについても、二人で育んでいく努力が必要ではないでしょうか。


冒頭の愛さんは3月に離婚届を出し、地元に引っ越して求職活動中です。コロナ禍により離婚をあきらめることもありませんでした。いつか彼女に新しい恋人ができたとき、その性欲が変わることが、もしかしたらあるのかもしれません。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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