感染症

布マスクの感染予防効果は?逆効果にしないための注意ポイント

【医師が解説】布マスクは手作りもでき繰り返し使えますが、サージカルマスク(不織布マスク)に比べて目が粗く湿気も溜まりやすいため、適切な管理ができないと逆効果になる可能性もあります。しかし「感染拡大予防」には有効です。布マスクの感染予防効果の有無、咳エチケットとしての有用性、子どもの使用のメリット、洗濯や乾燥など清潔に使う上で欠かせない管理のポイントについて解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

布マスク2枚を政府が支給? 国内で続く医療現場も含めたマスク不足

布マスクの使い方

繰り返し使えて、手作りもできる布マスク。間違った使い方では逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です

日本国内のマスク不足が依然続いています。マスクが必要な医療機関においても、医療者のマスクを1日1人1枚のみとした施設や、すでに在庫がなくなりつつある施設も出てきました。通常では考えられないことですが、病院内の在庫状況を考え、数日間に渡って同じ1枚のマスクを使用しなくてはならないケースも出てきているようです。

私自身が通勤中に目にする方たちは、大体7割方がマスクをつけています。これを多いとみるか、少ないとみるかは分かれそうですが、症状がある人や咳エチケットとしてのマスク着用が推奨される中で、マスクを確保できていない方がいる状況はよいことではありません。

政府によると、国民の不安解消に取り組むために1世帯に2枚の布マスクが今後配布されるそうですが、布マスクには実際どの程度の効果があるのでしょうか? 今回は布マスクの効果と使用上の注意について解説したいと思います。
 

布マスクに感染予防効果なし? 不衛生な使用法では逆効果にも

使い捨てのサージカルマスクの品薄が続く中、洗って何度も使える市販の布マスクや、手作りの布マスクなどが注目を集めています。一方で、布マスクの実際の効果については正しく理解し、気をつけて使用する必要があります。

サージカルマスクと布マスクの効果については、『MacIntyre CR,Seale H, Dung TC,etal.A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers.BMJ Open 2015』で興味深い報告がされています。これはベトナムの医療機関で、18歳以上の医療関係者を対象に、4週間に渡って比較された研究報告なのですが、この報告によると、「一般的なサージカルマスクをつけていた人」「サージカルマスクを必要に応じてつけたり外したりしていた人」「布マスクをつけていた人」の3グループに分けて比較したとき、呼吸器疾患、インフルエンザ様疾患、ウイルスによる呼吸器感染症の全てにおいて最も感染率が高かったのが「布マスクをつけていた人」だったのです。

理由としては、布マスクはサージカルマスクよりも目が粗くフィルター効果が悪いこと(飛沫核の侵入も布マスクの方が通りやすかったと考えられること)、再利用されたり、布の中の湿度が高くなったりすることで逆に不衛生になりやすかったことが考えられます。この研究で調査対象となったのは感染症リスクが高い医療機関でしたが、一般的な使用においても、布マスクの感染予防効果は過信しない方が望ましいでしょう。

WHOによる医療関係者向けの新型コロナに対するマスク使用のガイドライン『Advice on the use of masks(英語)』では、「どんな状況でも布製マスクの使用は推奨しない」と示されています。
 

布マスクは感染拡大を防ぐ「咳エチケット」には有効! 子どもの感染予防に一定の効果も

では布マスクは完全に無意味なのかというと、そうとも言えません。布マスクであれ、つけている人の咳やくしゃみ、会話などによる飛沫が拡散する距離は、布が遮蔽物になる分、短くなります。現在の新型コロナウイルス感染症では、無症状感染者が自覚なく拡大を感染させていることも懸念されていますので、咳エチケットとしてのマスク着用は有用です。自分が感染予防するためというよりも、あくまでも自分からうつさないため、社会全体で感染拡大を抑える咳エチケットの一つとして取り入れるとよいでしょう。

新型コロナに限らず、呼吸器感染症は、くしゃみ、鼻水、咳などによって感染します。基本の咳エチケットとして大切なのはマスクを着用すること、マスクがない場合は、咳・くしゃみの際にティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆うこと、それもない場合は上着の内側や袖で覆うことです。布マスクもここに挙げられているものと同じような一つの遮蔽物と考えましょう。

また、小児科医としての立場から言うと、子どもはよく自分の手で、鼻や口など、顔を触りがちです。物についたウイルスなどが手に付着し、その手で自分の口や鼻、目を触ることで起こってしまう接触感染にも注意しなくてはなりません。その点、布マスクをしっかりしておけば、一般的なサージカルマスクと同様、自分の口や鼻を直接手で触りにくくなります。その意味では子どもや、つい口元などを触ってしまう癖のある方の感染予防効果には、一役買ってくれるかもしれません。
 

布マスク着用時の注意点……清潔に保てるよう洗濯・乾燥・適切な保管を

前述の通り、布マスクは、サージカルマスクに比べて目が粗いです。また、防水性もサージカルマスクよりも悪く、呼吸などで湿ったまま使用し続けるのは衛生上よくありません。細菌、カビの繁殖を防ぐ意味でも、しっかりと乾燥させることが大前提。そして、こまめに洗濯することが大切です。サージカルマスクよりも耐久性がよいからと、つけたり外したりして、注意なく置きっぱなしやカバンなどに放り込んで使用するのではなく、外した後はしっかり乾燥させた上で、清潔なビニールなどに入れておくなど、適切な管理を心がける必要があります。繰り返し使い続ける場合は、細菌の繁殖を抑えるためにもしっかりと洗剤で洗い、乾燥させるようにしましょう。

また、布マスクは管理が難しそうだからと、キッチンペーパーなどで簡易的な使い捨てマスクを自作する方もいるかもしれません。しかし、キッチンペーパーを含め、飛沫や、さらに小さな飛沫核を通さないような紙は通常なかなかありません。粉塵などのある程度大きな粒子を防ぐ目的ならば、これらの手作り簡易マスクでも効果があると思いますが、マスクと顔の間に隙間がある場合、感染症予防の面ではさらに難しくなります。ウイルス感染予防のためには十分に顔にフィットさせる形状である必要があるため、布マスクと同様、これらの手作りマスクも予防効果はかなり低いと考えた方がよいでしょう。
 

咳エチケットとしてマスクも活用しつつ、基本の手洗いで感染予防を

感染拡大が続く中、マスク不足や子どものマスク使用、正しい使い方や効果に不安を抱えている方は少なくないと思いますが、いずれにしてもマスクをしていればうつす心配もうつる心配もない、というものではありません。咳エチケットとして正しいマスク使用をした上で、やはり大切なのは「手指衛生」です。子供においても、しっかりとした手洗いにより呼吸器感染症、上気道感染症の発生率が減少しているとの報告があります。

密閉した空間、人が密になっている空間、人と人の距離が短い空間を避けることなど、できる感染対策をしっかり取りながら、適切に対処していきましょう。
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