約40年後に自分が年金をもらえるとは思わず、長生きしたいとは考えていません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、将来親の面倒を見なければならないということを心配する28歳の契約社員の男性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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実家の家計状況を母から聞いた限り、かなり厳しいようで毎月の収支は赤字といいます

実家の家計状況を母から聞いた限り、かなり厳しいようで毎月の収支は赤字といいます



■相談者
なみたけ さん(仮名)
男性/会社員/28歳
北海道/借家
 
■家族構成
一人暮らし
 
■相談内容(原文まま)  
現在、毎年更新の契約社員として勤務しています。最長5年在籍できますが、現在4年目であり、あと1年しかいられません。早急に転職せざるを得ない状況であることはわかっていますが、なかなかうまくいかず、そのまま無職になり、生活に困窮する可能性が濃厚になりつつあります。また、近い将来、親の介護が必要になる状況になると考えていて、親の年金だけでは足りず、自分の家計から持ち出しになる可能性を恐れています。近年、ニュースを見る限り、約40年後に自分が年金をもらえるとは全く思っておらず、長生きしたいとは考えていませんが、今のまま生活していっていいか不安があります。投資して何か資産運用すべきなのかも併せてお訊きしたいです。※金額は1年間の平均を入力しています。
 
 
■家計収支データ
相談者「なみたけ」さんの家計収支データ

相談者「なみたけ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)家族について
■父について
現在、60代前半です。60歳で定年退職後、同じ会社で再雇用・嘱託社員として勤務中です。最長65歳になるまで働けるそうです。ただ、今の仕事に嫌気がさしているようで、65歳まで働くかは不透明です。62歳から厚生年金の特別支給が始まり、ほんの一部ではありますが年金を受給しています。また、企業年金も掛けていたようでその分の年金も受給しているようです。双方とも詳しい金額はわかりません。
 
■母について
現在、50代後半。現在は無職です。最近までパート(月の収入は3万円程度)として働いていました。足の手術を受け、今は療養中です。蛇足ですが、今は父の扶養に入っており、国民年金では第3号(納付不要)の位置づけですが、父が退職した暁には扶養から外れるので、60歳になるまで国民年金を自分で納めなければなりません。
 
仮に父が65歳になるまで働いたとしても最低2年分は払わないといけない状況です。そうなったときには、一括で私が払おうかなと考えています(実家の家計状況に加えて、そうした方が通常納付よりも安くなるため)。
 
実家の家計状況を母から聞いた限り、かなり厳しいようで毎月の収支は赤字、父の退職金は家のローン返済や修繕等で、65歳からの本格的な年金支給まで持たすつもりが、ほぼ使い切ったとのことです。
 
(2)加入保険について
現在、2件の保険に加入中です。
■生命保険……毎月の保険料1万2785円
■がん保険……毎月の保険料3104円

(3)ボーナスの主な使い道について
特に決めておらず預金口座に残留させますが、結果的に後述の奨学金の返済に回っています。
 
(4)今後について
実家(一軒家)には、自分以外の家族全員(父・母・兄弟)が住んでいます。実家は郊外にあり、公共交通機関が少なく、実家から通勤となると車の所持が必須だと考えています。車の所持はメンテナンス料やガソリン代、税金がかかりますし、できれば運転もしたくないので考えていません。また、一人暮らしから実家に戻るとなると、今まで自分で行ってきた家事をしなくなってだらしなくなる恐れがあるので、実家に戻ることも考えていません。よって、実家から通える範囲で仕事を探すことは考えておりません。今住んでいるところは交通の便が比較的良いので、ここを拠点に仕事を探しています。
 
(5)教育費について
本来と意味合いが違うかもしれませんが、教育費の中身としては、自分の仕事上や転職活動の物品購入費用です。例えば、ボールペンや履歴書、証明写真代などです。
 
(6)奨学金について
私自身で返済すべき奨学金(240万円・金利0.2%)は、繰り上げ返済を繰り返して、すでに完済済みです。ここで計上している奨学金とは、自分が大学在学中に親が金融機関で借りた教育ローン(150万円)の返済です。この案件は親が支払っていますが、金利3.5%が高いことを、申込資料を通して知り、「だったら、繰り上げ返済して無駄な利息の支払いをなくしたい」と思い、1年分として25万円を親の口座へ入金して繰り上げ返済させています。このペースで行くと、来年には完済する予定です。
 
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 当面、親のことは親にまかせ、自分のことを考えて
アドバイス2 根気よく転職先を見つけて、自分のためにお金を使う
アドバイス3 投資は生活が落ち着いてからで十分
 

アドバイス1 当面、親のことは親にまかせ、自分のことを考えて

なみたけさんは立派すぎます。しかしながら、なんでもかんでも自分一人で背負うことはありません。確かに、自分の大学資金のために親が借りた教育ローンの返済をしなければと思う気持ちは大事ですが、奨学金の返済も繰り上げ返済で完済したわけですから、それだけで十分です。
 
とはいえ、もうすでに教育ローンの返済の目途もたったということですから、これ以上、ご両親のために、経済的な援助をするのは、いったんストップしてみてはいかがでしょうか。
 
お母さまの国民年金の支払いに加え、将来的な介護費用の心配までしていたら、いつまでたっても親への援助は終わりません。特に介護は、何年続くかわかりません。これからの、なみたけさんの人生が、親のためだけに使われることを、一番心配します。
 
幸い、病気やケガで働けないわけではないのですから、お父さまには、もう少し頑張ってもらって、二人の生活は二人でまかなってもらうようにしたほうがいいでしょう。冷たいようですが、それがご両親のためでもあります。今のままでは、ご両親もなみたけさんに頼りきってしまい、お金の援助をあてにするようになってしまいます。万一、介護が必要になったときには、経済的援助ではなく、公的サービスの手続きなど、事務的な部分で支援していくことをオススメします。もちろん、そのときのご両親の経済状況で、金銭的援助もありうるかもしれませんが、そのためにも、今は、なみたけさんの生活、経済的な基盤を整えることが、なによりも大事です。
 

アドバイス2 根気よく転職先を見つけて、自分のためにお金を使う

転職は簡単ではないかもしれませんが、それでも、あと1年あります。まずは、転職活動に全力で取り組んで、自分に合った職場が見つかるよう、根気よく探してください。その際、できれば正社員、少なくとも厚生年金加入ができる職場にしてください。
 
将来の年金受給を疑問視されているようですが、受給額が減ることはあっても、厚生年金がなくなることは考えにくく、社会保障が整っている会社で働くことは、給料以外の恩恵があります。ぜひ、前向きな気持ちで転職に取り組んでください。
 
その上で、現在の収支状況を拝見すると、毎月3万円の貯蓄をし、来年からは6万円に増やせそうです。ただ、なみたけさんの場合は、毎月3万円の貯蓄で十分です。浮いた3万円は、少なくとも半分の1万5000円~2万円は自分のために使ってください。無駄使いをしろということではなく、たとえば、転職に必要な書籍を購入する、場合によっては資格取得するなど、自分の将来につながることにお金を使ってほしいと思います。
 
さらに、保険は終身保険に加入されていますが、これは現時点で払い済みとし、以降の保険料の支払いをなくします。今後、結婚、子どもを持つというように、守るべき家族ができたときに、あらためて定期保険などに加入すればいいでしょう。現時点では不要です。また、がん保険もがんが心配であれば、やむをえませんが、一般的な医療保険か、共済で十分です。終身保険の払い済みで浮いた1万円も可能であれば自分のために使っていいです。貯蓄してまとまったら、旅行するなど、楽しみのために使ってほしいです。もちろん、将来に備え貯蓄しておくという選択肢もなみたけさんが納得するならOKです。
 

アドバイス3 投資は生活が落ち着いてからで十分

この1年、毎月3万円の貯蓄ができれば、今ある貯蓄と合わせて170万~180万円になります。これは万一に備えた保険のようなものです。
 
どうしても転職先が見つからないとなった場合でも、現預金があれば、当面、生活はできます。実家には戻らないと決意されているわけですから、これはなみたけさんにとって、大事なお金です。投資は、生活が整ってから始めても遅くはありません。今、資産運用を勉強しておくのはいいですが、実践するのは、少なくとも転職先が決まってからにしてください。
 
いずれにしても、なみたけさんは、転職しかり、趣味や娯楽しかり、もっと自分が幸せになることを考えてください。一度きりの人生です。ひとつでも、楽しいと思えることを見つけてください。
 
説教くさいアドバイスになりましたが、応援しています。転職、頑張ってください。

相談者「なみたけ」さんから寄せられた感想

先生のアドバイスを聞き、自分ではなく親のためにお金を使っていたと感じました。自分が大学を卒業するまでに色々迷惑や面倒をかけたと思っていましたし、親の厳しい家計状況も加わって、支援したい気持ちが年々強くなっていた気がします。

家事の手伝いなどお金以外でできることを考え、今後お金で支援するにしても、少し規模を小さくして行うようにしたいと思います。転職活動は「あと~しかない」等と、慌てて考えずに続けていきたいと思います。転職活動だけに限らず、何事も慌てずに前向きに考えることが大切だとわかりました。最後の助言にもありましたが、「一度きりの人生」なのでよく考えてこれから生活していきたいと思います。この度はアドバイスいただきまして、本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  

 

 
 

 

 

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/伊藤加奈子

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