何かあった時に子どもが住むところに困らないよう、中古マンションの購入も考えています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫と離婚前提で別居中の、40歳の自営業の女性。財産分与の話が進まず、別居が長期化しているといいます。これからの働き方や、保険や子どもとの住まいなどについて相談したいとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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離婚後の働き方や子どもの学費はどう準備する?

離婚後の働き方や子どもの学費はどう準備する?



 
■相談者
zookeeperさん(仮名)
女性/自営業・自由業/40歳
関東/借家
 
■家族構成
夫(40代)、子ども(3歳)
 
■相談内容(原文まま)  
夫と離婚前提で別居中。現在、婚姻費用として月13万5000円受け取っています。私は手元に貯金がない状態で別居し、夫が管理していた財産がいくらあるのかは不明。財産分与の話が進まず、別居が長期化しています。

下記についてアドバイスをお願いします。
・私はフリーランスで働いており、このまま収入が不安定な働き方を続けていてよいのかどうか。今は仕事が順調で子育ても楽になってきたので、来年の収入を増やせる見込みもあるが、年齢的に再就職するならそろそろ限界かと思う。
 
・保険は子どもの学資保険、自身の医療保険、中退共の退職金積立、生命保険が必要かどうか。

・私に何かあった時に子どもが住むところに困らないよう、中古マンションの購入も考えているが、自営業では金利が高く得策とも思えず。どうするのがベストか。

・婚姻期間中に築いた夫婦の財産は2500万円程度あるはず、しかしこれ以上長期化を避けるために、夫が提示した解決金500万円を受け取り離婚すべきかとも思う。しかし離婚が成立すれば、養育費は婚姻費用の半額程度になる。貯金もない現状では、しばらく婚姻費用を受け取り続けるべきかとも思う。
 
■家計収支データ
相談者「zookeeper」さんの家計収支データ

相談者「zookeeper」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)住居費について
中古マンションを購入するなら、2000万円が限界かと思っています。しかし、今の居住エリアでその予算で、2人で住める広さは築40年以上の物件ばかりで、長く住み続けられるのか不安があります。手元の現金がわずかなので頭金はゼロです。
 
(2)車両費について
必要な時だけカーシェアを使用しています。マイカーの購入・保有は検討していません。
 
(3)加入保険について
♢本人/医療保険(病気・けがの入院で5000円(女性疾病+5000円)/日、所定の手術で5万・10万・20万円/回)=年払い2万5000円
♢本人/退職金積立(今の納付額を10年支払い続け、廃業すれば約390万円、20年で約830万円)=年払い36万円
♢子ども/学資保険(18歳満期200万円)=年払い15万2000円(払込は12歳まで)
♢本人/就業不能保障(就労困難状態で8万円/月)=毎月の保険料2700円
 
(4)教育費について
児童手当は分けて管理していません。日々の生活費・貯蓄と一緒になっています。養育費は20歳まで受け取る予定です。大学に進学した場合は22歳までです。進路については、高校までは公立校のつもりで、大学に進学する想定です
 
(5)雑費7万円の内訳について
日用雑貨、家財、医療費、書籍、病児保育、ベビーシッターなど。
 
(6)家族について
両親は他界し、実家は兄弟が相続していて、戻る予定はありません。他にもサポートを頼める親類は近くにおりません。
 
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 離婚協議を長引かせるより、ある程度、妥協して前を向く
アドバイス2 再就職の道も検討を。保険などの見直しも必要
アドバイス3 マンション購入で家計はギリギリ。収入UPが見込めなければ慎重に
 

アドバイス1 離婚協議を長引かせるより、ある程度、妥協して前を向く

zookeeperさんからのご相談にお答えするにあたり、やはり離婚なさるかどうかで、今後の経済的なことは変わってくるように思います。確かに、財産分与は少しでも多く、というお気持ちはわかりますが、ご自身が書かれているように、長期化することで、弁護士費用もかさみますし、何よりも今のままの状態が続くことは、精神的にも負担になりませんか? まず、離婚された場合に今後、どうなるか、その前提で回答をすすめていきますね。それを見て、判断されてもいいかと思います。
 
仮に、解決金500万円を受け取り、子どもが20歳になるまで、養育費として月6万円程度受け取るとした場合、子どもが20歳になるまでの17年間で、約2500万円貯蓄できる計算です。ですから、ひとまず、お子さんの教育費については、問題ありません。ご安心ください。ひとつずつ説明していきます。
 
現在、毎月貯蓄として13万円できていますが、これは婚姻費用の分ですね。離婚後は、これがなくなるわけですから、貯蓄が思うようにできなくなります。
 
しかし、現在の家計支出を拝見すると、趣味娯楽費3万円、家族の小遣い4万円、ベビーシッター代があるとしても雑費で7万円。これを合計すると14万円です。毎月の支出額に占める割合として、40%にもなります。ここからどうしても削れないものがあるとしても、せめて4万円は削ってほしいと思います。
 
これができれば、4万円+養育費6万円で、毎月10万円は貯蓄できることになります。年間で120万円。子どもが20歳になるまでの17年間で2040万円。先の離婚解決金500万円を加えて約2500万円となります。
 
現在、毎月の貯蓄から年払いの保険料と住民税の支払いに備えているということですが、学資保険は貯蓄と考えれば、住民税の支払いのみです。そのほか、まとまった支払いがあるとしても、2500万円からの取り崩しは、それほど多くはないでしょう。いかがですか?生活にかかる費用のコストダウンできそうですか?
 

アドバイス2 再就職の道も検討を。保険などの見直しも必要

経済的には、現在の収入が維持できるようであれば、問題ないように思えます。ただ、ご自身が書かれているように、フリーランスとしての働き方に不安があるようなら、再就職の道も検討したほうがいいかもしれません。
 
やはり、自営業とは異なり、会社員であれば公的な社会保障が手厚くなります。将来的な公的年金の受給額も変わってきますし、もしも万一のことがあった場合、お子さんに遺族厚生年金を残すこともできます。再就職は簡単ではないかもしれませんが、収入が増やせるようであれば、検討してみてもいいのではないでしょうか。
 
また、保険については、現在、死亡保障がある保険がありません。割安な掛け捨ての定期保険で死亡保障2000万円、保険期間20年で加入してください。それこそ、何かあった場合、お子さんに残せるものがない状態です。これは至急対応を。加入したら、現在の収入不能保障は解約してもいいでしょう。その分を、死亡保障の生命保険の保険料にあててください。
 
もうひとつ、見直しが必要なのは、退職金の積立です。まだ加入して1年半ということですし、できれば解約、無理なら積み立てを減額して継続。中小企業退職金共済に手続きなどを確認してください。自営業者には、退職金代わりの制度で、税制上の優遇もありますが、zookeeper さんの場合、今現在、現預金がない状態ですから、退職金の積立よりも、現預金を増やすことが優先です。年払いの36万円は、少し負担が重いと思われます。
 

アドバイス3 マンション購入で家計はギリギリ。収入UPが見込めなければ慎重に

最後に、マンション購入の可否についてです。まとまった貯蓄がないので、もし購入するとしたら、解決金の500万円のうち、300万円を頭金・諸費用100万円とし、1700万円の住宅ローンを組むことになります。ローン金利1.2%(全期間固定)、返済期間20年(ローン完済60歳)で試算すると、毎月の返済額は8万円弱。現在の住居費と変わりはありません。しかし、マンションの管理費、修繕積立金が別にかかり、この分が2万~3万円とすると、毎月の貯蓄額は7万~8万円になります。
 
アドバイス1で、17年間で2500万円貯蓄できると試算しましたが、このケースでは、1600万円程度となります。半分は子どもの教育費。半分は老後に備えての貯蓄となるわけですが、少し余裕がない状態で老後を迎えることになってしまうかもしれません。
 
マンション購入は、再就職でき、ある程度まとまった貯蓄ができてから、再度検討してみてもいいのではないでしょうか。また、離婚協議、再就職の検討、保険の見直しなど、次々と手続きしなければならないことがあります。
 
お子さんのために、という気持ちは十分理解できますが、こうしたときに慌てて住宅購入してもいいことはありません。いろいろなことが落ち着いてからでいいでしょう。
 
老婆心ながら、離婚後の養育費は、必ず約束どおり支払うことを、弁護士を通して手続きすることが重要です。時間が経てば、養育費の不払いという問題が出てくる可能性がありますので、注意してください。お子さまのためにも、ご自身のためにも、最良の選択をされることを願っています。
 

相談者「zookeeper」さんから寄せられた感想

漠然とした不安や見通しの立たない状況を整理して可視化していただき過度に将来を悲観することはないと安心できました。ぼんやりと「こうした方がいいのかな」と思っていたこともはっきりとご指摘していただき、今後のことを自信を持って前向きに決断できそうです。別居後に不足していた家財を少しずつ買い足していたこともあり支出がかさんでいましたが、一通り揃ってきたので今後は絞っていけると考えています。死亡保障については、早急に手続きを進めるようにしたいと思います。保険のことは保険販売会社のFPにも色々と相談してきましたが、親身になっていただいても最終的には商品を販売するのが仕事の方なので、第三者のプロにアドバイスをいただける非常に貴重な機会を得られて良かったです。まだこれから周辺環境が大きく変化していきそうなので、またその時はご相談させていただけると嬉しいです。本当にどうもありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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