亀山早苗の恋愛コラム

子連れで帰省したお盆休み、同級生と思わぬ形で再会し…

お盆休みに地方の実家に帰り、リラックスする人は多い。つい気が緩み、ふだんはしなかったことをしてみる女性たちもいる。今年のお盆休み、悲喜こもごもを探ってみた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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お盆休みに出会い系にアクセスしてみたら

お盆休み

お盆休みに地方の実家に帰り、リラックスする人は多い。つい気が緩み、ふだんはしなかったことをしてみる女性たちもいる。今年のお盆休み、悲喜こもごもを探ってみた。

 

 

冗談から出た真……?

お盆休みは日程の合わない夫は自宅から出勤、自分は子どもたちと実家に戻ってのんびりするのが恒例だというのは、ミカさん(44歳)だ。

「小学校6年と3年の子どもはいとこたちと毎日、外で遊んだり親戚に海へ連れていってもらったり。その間、私も中高時代の友だちと毎日のように遊び回っていました。実家近くに住んでいるかつての悪友から、『最近、このあたりで出会い系が流行ってるのよ』と聞いて、いつもならしないのに、面白半分にアクセスしてみたんです」

気持ちが開放されていたせいだろう。知り合った男性とその日のうちに会うことになった。どんな人が来るんだろうとわくわく待ち合わせの場所へ行くと……。

「笑っちゃいましたよ。やって来たのは中学時代の同級生。最初はお互いにあれ、という感じだったんですが、私のほうが先に気づいて、『ケンちゃん?』って(笑)。なんと彼も都内近郊に住んでいるんだけどお盆休みで帰ってきて、ヒマだからアクセスしてみたんですって。まあ、地元でやれば地元の人しかアクセスしませんよね。ふたりで大笑いしながら、せっかく会ったんだから飲みに行こうかと居酒屋へ行きました」

高校はケンちゃんと一緒だったが、ミカさんは東京の大学へ。彼は大阪の大学へ進学したため、会うのは25年ぶりだった。

 

 

なぜあんなことになったのか

さんざん思い出話をして笑って、店を出るとどちらからともなく「海に行ってみようか」ということになった。海辺は若いカップルがしっとりと散歩していたり、仲間同士が花火を楽しんでいたり。

「浜辺でうっかり私が躓いてしまったんです。ケンちゃんがぱっと抱きしめてくれた。そのまま手をつないで歩きました。『そういえば、オレたちの秘密の場所、知ってる?』と彼が言い出して。岩場に洞窟みたいな場所があるんですが、彼らは中学生時代、そこを秘密の基地にしていたんですって。行ってふたりでそこを探検していたら、すっかり当時に戻ってしまった。わいわいきゃあきゃあ、いい年してはしゃいじゃいましたね」

疲れて岩場に腰を下ろすと、彼が隣に座り支えてくれた。

「ミカちゃんは幸せ? 彼にそう聞かれて、実は答えにつまってしまった。思わずケンちゃんはと聞き返すと、彼は『考えないようにしてるんだ』って。私も不幸というほどではないけど、夫と結婚して本当によかったかといわれれば首を傾げちゃう。ケンちゃんも同じなんだろうなと思った。『今日は本当に楽しかった。元気をもらったよ』としみじみ言ってくれたケンちゃんが愛おしくなって、思わず抱きついちゃったんですよね。彼もぎゅうっと抱きしめてくれて。男の人に抱きしめられるって、何年ぶりなんだろと思わずつぶやいてしまいました」

彼は「オレも」と言った。そして彼は彼女の手を取り、洞窟のような場所の奥へと誘った。そして彼は自分のTシャツを脱いで敷くと彼女を座らせた。

「暗いからよくわからなかったけど、なぜかそこだけ乾いた場所があったみたいなんです。彼の手が胸に触れてきたとき、いや、そんなつもりじゃないと思ったんだけど、なんていうのかな、そういうことがあってもいいかなという気にもなって……。魔が差したってああいうことを言うんでしょうね」

恋ではない。もちろん一目惚れとも違う。むしろ、昔を知っている人だからこそ癒やされたいという欲望なのかもしれない。

「外であんなことしたのは初めて。ここは誰も来ないよと彼は言ったけど、ひょっとしたら地元の人が来るかもしれない。スリルと慌ただしさで、ゆっくりできなかったけど、ああ、こういうセックスもあるのかと非現実感を楽しみましたね」

ポンと簡単に、たまっていた欲望を弾けさせたとき、人は新たな気分になれるのかもしれない。重大なことをしたわけではない、だけどふっとタブーを犯して秘密をもってしまった興奮は大きいだろう。

「ふたりで手をつないでまた繁華街に戻りました。彼のTシャツが汚れちゃって、それを見てふたりで笑って。うちまで送ってもらって『じゃあ、またね』って。彼と何かが始まるわけではない。だけど自分が18歳まで育った地で、もう一度自分を取り戻せたような気持ちになりました。別れ際、彼が『ミカちゃん、ありがとう』って言ったんです。私もこちらこそありがとうと言いました」

ふたりとも同じ気持ちだったのだろう。日常生活でたまっていく澱のようなものを吐き出し、互いに癒やされたのだ。誰にも言えない秘密、とミカさんは笑った。
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