ストレス

怖いニュースを見るのが辛い…不安が強いときの対処法

【公認心理師が解説】「怖いニュースを見るのが辛い」「ニュースを見ると不安になる」「暗いニュースで憂うつになってしまった」……事件や事故、災害などの報道を見ることで心が不安定になり、不眠や胃痛、めまいなどの症状が出てしまうことがあります。適切な対処法について解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

怖いニュースで不安に……暗い報道が原因の精神的症状も

事件・事故のニュースで不安に

震災や事件・事故のニュースで強いショックを受けて、心が不安定に……。情報と距離を置くことも時には大切です

痛ましい事件や事故などのニュースを見ることで、不安な気持ちになってしまうことは、誰でも少なからずあるものです。私はカウンセリングの場で、ニュースを見て不安を抱えた人によくお会いします。

たとえば、震災や感染拡大のニュースを見続けて心配で眠れず、不眠症になった方もいました。地震ではないのに揺れているような感覚を覚え、耳鼻咽喉科や心療内科に通われた方もいました。痛ましい事故の報道などを見て「自分もいつか被害にあうのではないか」と不安に襲われる方にもしばしばお会いします。
 

怖いニュースで精神的に不安定に……不眠や吐き気などの症状も

人は、他人が受けた悲惨な出来事の話を聞いたり、事件・事故などのニュースを見たりすると、「他人ごとではない」と危機感を強めるものです。しかし、この危機感が過剰になると、現実に自分の身に生じていることではないのに、「いつ起こるか分からない」という不安に振り回されてしまいます。

特にテレビのニュースや動画では、事件や事故現場のリアルな映像を見ることになります。悲惨な状況を目のあたりにすると、戦闘態勢にあるかのような緊張感が続きます。この状態が続くと不眠やめまい、動悸、吐き気、胃痛などの身体症状につながってしまうこともあります。
 

事件や事故の報道で不安が強いときの対処法

危険を想定して備えることは大切ですが、日常生活に支障が出るほど不安が続くのは、よいことではありません。

悲惨な情報に触れるだけでつらくなるなら、不安につながるニュースや映像からいったん離れましょう。スマホはしばらくオフにすること。テレビもニュースを見ないようにしましょう。
 
眠れない、食事が取れない、不安で仕方がないという症状が強い場合には、早めに心療内科へ。そして、気が向くなら落ち着く場所に行き、「転地療法」をするのも有効です。自然の多い場所、静かでゆっくり過ごせる場所で過ごすとよいでしょう。

何かの動作や作業に没頭するのもおすすめです。時間をかけてご飯を食べたり、時間をかけて料理を作ったりする。ヨガ、呼吸法、散歩、陶芸、絵画、手芸、木工などの趣味や作業を、ゆっくりと時間をかけて丁寧に行うのもよいでしょう。

ひとつのことに時間をかけて没頭し、集中すること。そのときの自分の心身に生じている心地よさや感動を味わってみましょう。すると、外で生じていることに惑わされず、心の安定を取り戻すことができます。
 

ストレス源と適切な距離をとり、安定した心を保つことも大切

悲惨な情報に触れることでつらい思いをする人は、感受性が豊かで、優しい心を持っている方だと思います。そうした自分をぜひ大事にしていただきたいものです。ただし、悲惨な情報に振り回されてしまうと、安心して生活していくことができなくなります。

報道で見聞きする内容と「今、ここに生きている自分」とを、適切に切り離していく必要があります。そのためにも、悲惨なニュースや情報に振り回されていると感じたら、いったんその情報から離れることが大切です。そして、何か没頭できることに時間を使いましょう。こうしたことを意識して行っていくことで、心が安定しやすくなると思います。
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