
「Tさんは『ゆったりした時間を過ごしたい、いいものに囲まれて暮らしたい』というコンセプトに加え、デザインに関しても明確なリクエストをお持ちでした」と語るのは、この家を手がけた三井ホームデザイン研究所の建築家、荒井信之さん。
「最初の打ち合わせ時から施主、及びアドバイザーとして施主の友人である商業建築のデザイナーが同席。デザイン・性能に関して妥協のないものを作りたいと、高いレベルの話し合いができました」

和室から続く坪庭には、RCの型枠の杉板の表面を磨いて木目を浮き上がらせ、表面に凹凸のある表情をつけた壁を用意した。
地階の外壁のタイルは、とある作家の記念館の外壁と同じタイルを使いたいという施主の要望により、荒井さんが現地でリサーチ。すべてのタイルを張り合わせた後、その表面を職人が薄く削り取ることで柔らかいテクスチャーを表現したという労作だ。
インテリアにおいては、不要なラインや造作を表に見せない設計に苦心した。そうした無駄を排した空間だからこそ、無垢材の床やウォルナットの壁が印象的に響き合う。
中でも目を引くのはダイニングの天井に見せ梁としてあしらった古木だ。古木といってもその使われ方や古さ、状態は一本一本異なる。荒井さんはTさん、及びTさんのアドバイザーと一緒に四国の木材店までわざわざ足を運び、それぞれの材の長さや太さ、風合い、状態の良し悪しを見定めたという。
「Tさんもアドバイザーのご友人もとにかく意識が高くて私たちも大いにやりがいを感じました。おかげさまで『この家みたいな設計・設えを』、そんなオーダーを頂くことも多いのですが、この家ができたのはTさんとそのご友人、インテリアコーディネーター、RC造りの専門家、全員のコラボレーションのおかげです。それぞれがアイデアを膨らませ、知恵を絞ってより高みを目指す。そんな家づくりのケーススタディになったと自負しています」

※「&Stories by MitsuiHome」の情報を元に編集しました。
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