人間関係

即レスがプレッシャーに…仲間同士のSNSストレスから逃れる方法

【公認心理師が解説】「SNSには即レス」というプレッシャーは、中高生などの若い人の間で蔓延しやすいものです。中高生はなぜ、即レスを求めるのか。仲間同士でのSNSのコミュニケーションをストレスなく続けるための考え方についてお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「即レス」の心理的効果とは? 手軽に承認欲求を満たせること

即レスが強迫観念に 集団のSNSストレスから逃れる方法

中高生の仲良しグループに多い「SNSには即レス」というプレッシャー


メッセージを受け取ったら、即座に返信する「即レス」。中高生などの若い人の間では、「SNSでは当然のマナー」と考えている人も少なくないようです。

「即レスされないと不安」「即レスしないと不安」な心理への対処法」でもお伝えしましたが、即レスを送る側は、すぐに「共感」の気持ちを伝えられ、効果的に「承認」の気持ちを示すことができます。即レスを受ける側は、相手と気持ちが通じ合える喜びと自分を大切に思ってもらえた喜びを実感できます。スタンプ一つ、シンプルなメッセージ一つでも、承認欲求が大きく満たされるものです。
 

即レスしないから仲間外れに? 即レスがプレッシャーになる背景

では、なぜ中高生の仲良しグループでは、即レスを求めあってしまうのでしょう? 中高生にとって、仲間同士の「共感」や「承認」は他の年代より非常に重要な意味を持ちます。

なぜなら、思春期にあたる中高生の年代は、「親からの巣立ち」を模索する年代だからです。親から巣立ち、外の世界で生きていくことには、とても大きな不安が伴います。でも、いつもそばに気の合う仲間さえいてくれれば、大きな安心感を得ることができます。

だからこそ、中高生の仲良しグループでは、即レスをしあって互いの存在を認めあうことで安心感を共有しているのです。その感動は快感となり、即レスはどんどんエスカレートしていきます。

しかし、即レスには感動がある一方で、「即レスしなければ仲間外れにされしまうのではないか」というプレッシャーも生じます。グループの中に「即レスがあたり前」という雰囲気が出来上がると、即レスになじまないメンバーはマイノリティになってしまいます。

マイノリティになると、仲間のなかでは不利な立場に置かれ、集団内では要らぬ苦労を抱えてしまいます。そのストレスを避けるためにしょっちゅうスマホをチェックして、後ろ向きな気持ちで即レスを続けている子もいます。
 

SNSによるストレスは成長と共に自然に解消される

即レスによるストレスで悩んでいる方は、その苦労が一生続くとは思わないでください。子どもの心は、日一日と成長していきます。

すると、仲間同士の間では互いに「即レスにこだわっていても仕方がない」「いつまでも友だちとベタベタするのはくだらない」などと感じるようになります。こうして、即レスを通じた同調圧力もプレッシャーもなくなっていくでしょう。

もし、大人になってもグループとの距離の取り方で悩まれている方がいれば、「大人も子も…仲良しグループの関係が息苦しくなったら」もご覧ください。
 

SNSでのコミュニケーションをストレスなく続けるコツ

今の時代、SNSなくして人とのコミュニケーションは成り立たないと感じる人は多いでしょう。とはいえ、SNSの中だけで人間関係を発展させるのは、実際にはとても難しいものです。なぜなら、肝心の相手が目の前にいないからです。

人と人とが会話する際には、言葉だけではなく、表情の変化や声のトーンなどから、たくさんの情報をキャッチしています。ところが、SNSのやりとりだけではこうしたノンバーバルな情報を受け取りにくく、しかも、やり取りの途中で突然音信不通になってしまうこともあります。こうしたコミュニケーションを続けていると、相手の本心がつかみにくく、互いの心に疑心暗鬼がたまっていきます。

人との人間関係を発展させていくためには、SNSだけに頼らず、きちんと顔と顔を合わせて話をする機会を設けることが必要です。SNSの利便性をうまく活かしつつも、対面でも話し、互いの気持ちや思いを理解しあっていくようにしましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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