住宅ローンの借り換え・返済/住宅ローン返済の注意点

35年ローン2440万円。2年後に繰り上げ返済を希望しています【住宅のお金診断】

我が家は住宅ローンの繰り上げ返済をすべきかプロに診断してほしい! 今回は2年後に返済10年目を迎える40歳の方の相談。住宅ローンガイドの大島浩之さんが繰り上げ返済をシミュレートします。

執筆者:All About 編集部

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Q.我が家は住宅ローンの繰り上げ返済をしたほうがいいでしょうか?

住宅ローン繰り上げ返済試算

我が家は住宅ローンの繰り上げ返済をすべき?

 
◆相談内容
「2年後にローン返済10年目を迎えるため、10年過ぎた段階で繰り上げ返済しようかと考えております。当時組んだローンは、2440万円の35年ローン。10年までを金利0.2%、それ以降を金利1.7%という条件です。現在の貯金は800万円ほど。いくらくらいの繰り上げ返済が可能か、どれくらいメリットがあるか診ていただけますでしょうか」
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◆相談者/にゃんこさん(パート主婦・40歳・既婚)
家族構成/夫(会社員・40歳)、子ども2人(10歳・7歳)
住まい/滋賀県・持ち家(一戸建て)

◆現在の家計収支の状況
手取りの月収  夫30万円 妻8万円
夫の手取りボーナス金額(年間) 80万円
児童手当 2万円


毎月の支出 35万円
住居費 6万円
車両費 2万5000円
食費(外食費・日用品込)7万円
電気・ガス・水道料金 1万5000円
通信費 1万5000円
趣味・教養・娯楽費(美容代込)2万円
教育費 5万円
家族のこづかい 4万円
雑費(医療費込)1万5000円
保険料 4万円

ボーナスをほぼ全額貯金
貯金総額 800万円
 

返済11年目に1000万円の繰り上げ返済をする仮定で診断します

いただいた家計の収支状況を元に、今回は1000万円を経過年数2年後に繰り上げ返済したと仮定して、今後20年間のキャッシュフローを計算。繰り上げ返済した場合としなかった場合を比較してみます。

繰り上げ返済額を1000万円としたのは、仮に、2人のお子さんが中学校および高校も私立に進学する場合、1人当たり300万円以上のプラスの支出となるため、これを考慮したものです。

※収入と基本生活費は変わらないものとします。また物価上昇や運用利回りの変動率をゼロとしてます

◆経過年数20年後までの貯蓄合計推移

・繰り上げ返済しなかった場合
  2年後 10年後 15年後 20年後
収入合計 560 536 536 536
支出合計 441 574 527 374
貯蓄合計 1057 1444 1215 2025
ローン残債 1766 1345 1014 653

・繰り上げ返済した場合
  2年後 10年後 15年後 20年後
収入合計 560 536 536 536
支出合計 1441 469 441 288
貯蓄合計 57 368 513 1753
ローン残債 768 539 0 0

単位:万円

※教育費は子ども1人1350万円と仮定。(文部科学省「子供の学習費調査」平成28年度、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成29年度より)。高校までは公立、大学については公私・文理系を特定せずに平均的な金額により計算

この場合、経過年数20年後の実質残高(貯蓄残高-住宅ローン残債)は、繰り上げ返済しなかった場合の2025万円-653万円=1372万円と比較して、既に住宅ローンは完済しているばかりでなく、貯蓄残高は1753万円。繰り上げ返済したことによって、老後資金として約400万円多く用意できたことになります。

 

この家計は1000万円の繰り上げ返済のメリット大。ただし……

年ベースで見ると、繰り上げ返済した年や上のお子さんが大学生の間は収支がマイナスになり、貯蓄を取り崩すタイミングはあります。それでも上のお子さんが大学を卒業された13年後からは教育費が減ることもあり、貯蓄額が着々と増える家計に見えます。

加えて、12年後には既に住宅ローンが完済されているというのも強み。教育費、住宅ローンの返済がなくなれば貯蓄ペースはぐっと上がるので、老後に向けて、これも安心材料でしょう。

あくまで概算にはなりますが、今の家計状況で返済10年経過後、1000万円の繰り上げ返済することは可能でありメリットも大きいと言えるでしょう。

ただしこのご家庭の場合、シミュレート通りに一度に1000万円返済してしまうと2年後の貯蓄額が50万円ほどになるので注意です。また貯蓄額の大半をボーナスに依存しているという不安材料があります。

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繰り上げ返済は複数回に分けたほうが安全

子どもの成長を踏まえて繰り上げ返済を計画したい

子どもの成長を踏まえて繰り上げ返済を計画したい


この家計の場合ですと、お子さんがずっと公立校へ進学すれば、1000万円以上の繰り上げ返済も可能といえるでしょう。しかし、難関校へ進学するため、塾代や家庭教師代などで平均以上の教育費が必要となる場合も想定しなければなりません。
 
また、早いタイミングで繰り上げ返済することは、総返済額を減らすための鉄則ですが、繰り上げ返済をした後、教育費等が足りなくなってしまったため、教育ローンを組むといったことになれば、本末転倒です。
 
一般的には、住宅ローンよりも低金利で融資を受けられるケースは稀であるため、今回のシミュレーションとは異なり、様子を見ながら何回かに分けて繰り上げ返済していくということも選択肢として考えておきましょう。


解説・キャッシュフロー表作成 
大島浩之
 

 



住宅ローンを切り口に、ライフプランニングを提案するCFP
上智大学文学部新聞学科卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、現在では、FP試験の講師を務める傍ら、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングの相談を受ける。


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