税金/アルバイト・パートの税金

パート年収130万円以上となった場合の社会保険料と税金を計算してみました

パートでの年収を130万円未満に調整している人も多いようです。配偶者の社会保険上の扶養者になるためですが、実際に130万円以上となってしまったときには負担額にどのような影響があるのでしょうか? パート年収が130万円以上になったときの社会保険料の負担と税金負担を計算してみました。

坂口 猛

執筆者:坂口 猛

初心者のための相続税・税金ガイド

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<目次>
パートでの年収を130万円未満に調整している人も多いようです。配偶者の社会保険上の扶養者になるためですが、実際に130万円以上となってしまったときには負担額にどのような影響があるのでしょうか?

妻のパート年収が130万円以上になったら、自分自身で社会保険に強制加入!

パートの年収が130万円以上になった場合の影響が大きいのは、配偶者(夫や妻)の社会保険上の扶養に入れなくなることです。つまり、自分で社会保険、厚生年金と健康保険に加入しなければならなくなります。106万円の壁といわれる基準もあるので注意が必要です。

自分自身で社会保険に入るということは、つまり健康保険と厚生年金に加入し、保険料も支払うことになります。

健康保険料を支払うといくらかかる? 月5500円の負担

健康保険料は「標準報酬月額×健康保険料率」で求めます。協会けんぽ(政府管掌健康保険)の東京都の健康保険料率(40歳未満/介護保険未加入)は10%です(令和5年3月分~)。実際には会社と折半することになるので、自己負担するのは10%÷2=5%となります。

したがって標準報酬月額が11万円(年収130万円÷12)の人の自己負担健康保険料は、5500円となります。ちなみに40歳以上で介護保険に加入する人の場合は、6501円です。

年間の健康保険料負担額は、6万6000円(5500円×12カ月)となります。

厚生年金保険料も支払うと、月1万円以上の負担

また、健康保険料と同様に、厚生年金保険料も「標準報酬月額×厚生年金保険料率」で求めます。厚生年金保険料率は18.3%ですが、こちらも会社と折半することになるので、自己負担するのは18.3%÷2=9.15%です。

したがって標準報酬月額が11万円(年収130万円÷12)の人の自己負担厚生年金保険料は、1万65円となります。

年間の厚生年金保険料負担額は、12万780円(1万65円×12カ月)となります。

自分自身の所得税も課税される!

所得税法の改正が行われた結果、配偶者特別控除として38万円の所得控除を受けられるパートの年収基準は150万円以下となりましたが、自分自身の所得税の基準は給与収入103万円のままです(所得控除は基礎控除のみの場合です)。


パート年収130万円の場合で、所得控除が社会保険料控除18万6780円(健康保険料6万6000円+厚生年金12万780円)と基礎控除48万円のみの場合には、課税所得金額が8万3000円(年収130万円-給与所得控除55万円-所得控除66万6780円)となり、所得税は4100円です(100円未満切り捨て)。

ちなみに、社会保険料控除がない場合(基礎控除のみ)の所得税は1万3500円となりますので、社会保険料18万6780円を負担したことによる所得税の減額は9400円です(いずれも復興特別所得税を除く)。

※課税所得金額は1000円未満を切り捨て

自分自身の住民税も課税される!

所得税と同様に、住民税も課税されます。所得控除が社会保険料控除18万6780円(健康保険料6万6000円+厚生年金12万780円)と基礎控除43万円のみの場合には、課税所得金額が13万3000円(年収130万円-給与所得控除55万円-所得控除61万6780円)となり、住民税(標準税率)は1万3300円となります(100円未満切り捨て)。

ちなみに、社会保険料控除がない場合(基礎控除のみ)の住民税(標準税率)は3万2000円となりますので、社会保険料18万6780円を負担したことによる住民税の減額は1万8700円となります(いずれも所得割のみ)。

将来の受け取れる年金は?

では、標準報酬月額11万円(年収130万円÷12)の人が厚生年金保険料を払った場合、将来受け取れる老齢厚生年金はいくらでしょうか?

標準報酬月額11万円で40年間厚生年金に加入した場合
標準報酬月額11万円×5.481/1000×加入月数480カ月(40年×12カ月)
約28万9396円/年……約2万4116円/月(終身)

標準報酬月額11万円で20年間厚生年金に加入した場合
標準報酬月額11万円×5.481/1000×加入月数240カ月(20年×12カ月)
約14万4698円/年……約1万2058円/月(終身)

標準報酬月額11万円で1年間厚生年金に加入した場合
標準報酬月額11万円×5.481/1000×加入月数12カ月(1年×12カ月)
約7234円/年……約602円/月(終身)

※あくまでも現行の基準での試算であり、将来変動する可能性があります。

なお、老齢厚生年金の支給要件は、原則として、国民年金加入期間10年以上(保険料納付済期間と保険料免除期間の合計)で、厚生年金保険の被保険者期間が1カ月以上あること、となっています。

給与年収130万円として20年間社会保険に加入すると、91歳で年金受給額と保険料負担額が均衡する

給与年収130万円として、20年間、社会保険に加入したと仮定した場合、上記試算によると、年間保険料18万6780円×20年=373万5600円を負担することとなります(健康保険料分含む)。

一方、厚生年金を年間14万4698円受け取れたとすると、約26年で年金受給額と保険料負担額が均衡する計算になります(金利等考慮外)。

つまり、65歳から年金を受け取れたとすると、91歳で均衡する計算となります。

厚生年金に加入すると、終身で老齢厚生年金が、国民年金から支給される老齢基礎年金に上乗せされて受け取れることや、障害を負った場合は障害厚生年金を、亡くなった場合は遺族が遺族厚生年金も受け取れます。健康保険に入れば、傷病手当金や出産手当金などを受け取れるメリットもあります。人生100年時代といわれていますので、自分の将来設計(ライフプラン)を再確認してみてはいかがでしょうか。

●所得税の基本を知りたい方は、コチラの動画もご覧ください。ガイドが詳しく解説しています




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